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2014'11.04 (Tue)

「触れたくて」

おはようございます。
毎日毎日 車で送迎に明け暮れてる気がする英香です。
電車もない村。バスも1日数本で使えないし方向が違う。
受験生は真面目に夜中11時半まで毎日街まで塾に通う。
母ちゃん大活躍です。はい。
すっかり朝晩は冷え込むようになりました。北の方では雪ですかΣ(゚ロ゚;)
まさかの大雪のために、今年は早めに準備せねば!ですね。結構トラウマです。

更新です。恋人初期です。
隙間といえば隙間で、えーい!と堂上さんを後ろから叩きたくなりますので覚悟して下さい。だって 原作なるべくなぞりたいんだもん←

↓こちらからどうぞ。



【More】

「触れたくて」


領事館駆け込み成功によって当麻事件が収束してからほぼ3ヶ月経ち、関東図書基地周辺も すっかり秋真っ盛りだ。
リハビリも順調に進み、堂上は漸く隊に復帰した。
退院して暫くは山積みの仕事をこなすのに時間が取られ、それでも合間を縫って体力の回復に筋トレも怠らない。
堂上の傍らには常に郁の姿。もともと同班でバディも組んでいたから違和感はない。
想いが繋がった2人だが、以前の落ち着いた日常が戻ってきた。

郁にしたら入院中の堂上はもう、なんというか──甘かった。
部下であった頃は 怒鳴られ説教されることも多かったのだが、プライベートでの堂上は違った。まあ、入隊した頃ギャンギャンつっかかっていた郁に 堂上の方が諸事情あって厳しく指導しなければならなかったのは事実。ただ郁が成長するに連れ見せるようになっていた堂上の温かさが全開になったのだ。
声だって穏やかだし、眉間の皺はなりを潜め表情は柔らかい。触れてくる指は優しくて、なんだか最初は慣れなかった。しかし入院中は個室だったのもあって、そんな堂上を前にドキドキしつつも何とか恋人として接することができた。
見舞いの間にしか会えないのに、いや だからこそ触れる機会が多かった。
「贅沢になっちゃったのかなあ・・・」
尊敬する上官が戦列に復帰したのは純粋に嬉しい。でも。
キス、したいな。
物足りないなんて──言えない。
郁は小さく溜息をついた。


「映画にでも行くか。」
恋人らしくデートの機会が増えた。外で待ち合わせしても 帰るところは同じ寮だ。その間は手を繋いだり寄り添ったり、少し甘めの空気感に浸る。それでも寮に近付くにつれ 繋いでいた手を離してしまうのは、お互い人前でベタベタすることをよしとしないから。
「今日は楽しかったです。」
「 ああ、次行きたいところ考えておけよ。」
次 もある。郁はこくりと頷いた。
「「・・・・」」
「あ・・え と・・じゃあ。」
「ん。」
郁は踵を返すと 名残惜しさを振り切るように女子寮に入っていった。
堂上はそんな郁の背中を最後まで見送ると、自販機でいつものビールを買って 人気のないロビーのソファーに腰をおろした。
明日になればまた会える。職場も同じだし寮生活なのだ、四六時中顔を合わせる環境といえる。なのにどうしてこんなにも離れ難い。
郁のぶつけるようなキスに生還させられたからなのか、郁とのキスは甘美であるだけでなく 何かを繋ぎ止める魔法の如く囚われる魅力がある。
入院中は それまで抑えていたものが開放されたということもあってか、まあ恋愛初心者相手だから控えめにだが、割と好き勝手触れていたが、今は──。
「よう、堂上。寝酒の調達か?」
コンビニ帰りらしい同期の男がロビーに入って来た。
「ま、そんなところだ。」
なんせ規模の大きな基地だ。人目も多い。特殊部隊所属というだけでもお互い目立つ存在だという自覚もある。
ビールのプルタブを開けて一気に飲み干す。空になった缶は帰りながら自販機横に備え付けられたゴミ箱に放り込んだ。
郁で潤したいのに。
大きく息を吐いてから 寮に入っていった。


冬を迎えた。
図書館はイベントが目白押しだ。日々の業務に忙殺される。
堂上は残業で帰るのが遅かった。恋人となって初めて迎えるクリスマスに何も予定を入れてやることが出来そうにない。それを理解してくれるのは同じ職場だから当然と言えるのだが、あまりに理解良すぎて複雑だ。郁の物分かりのいいことに甘えている気がしないでもない。
甘えて欲しい。そうすれば思う存分甘やかしてやるのに。
そんなことを考えながら歩いていると、寮近くの物陰に人の気配。
思わず身構える。まさかこんなところに不審者が潜んでるだなんて考えにくいが、職業柄警戒する。相手に悟られないように近付くよう試みる──
(「····アン」)
耳にした微かな喘ぎ声と僅かな息遣い。
「・・・・」
堂上は更に息を殺してその場を離れ 帰寮の道に戻った。
寮内にカップルは数組ある。
寮暮らしの悩みは同じ。
「気持ちは分からんでもない。」
堂上は苦笑して静かに玄関に入った。


「お疲れ。」
風呂に入って漸く落ち着いた頃合に ノックと共に顔を出したのは小牧だ。堂上はガシガシと髪を拭きながら暖房器具のスイッチをいれた。
たわいのない話をしながらビールを傾ける。
「そういえば、クリスマスどうするの?。初めて2人で迎えるんだし。今から予定立てとかないと間に合わないよ。」
何気なく小牧が訊くが、堂上は苦った顔でテーブルに缶を置く。
「・・・そっちは。」
小牧は左手の薬指にはめている指輪を何げにくるりとまわした。
「当日は無理だから 前倒しで公休に食事にでも行くよ──っと、そうか。」
その公休に堂上は急な仕事が入って出勤が確定しているのだ。
「あー···まあ、その代わり元旦からの3日間休み貰ったんだからさ。」
少々憐れみを含んだ小牧の言葉に、堂上は肩をすくめた。
「ま、いつものクリスマスだ。代わり映えない。」
「は?堂上、それはないんじゃない?」
ツマミの手を止めて小牧が言った。
「笠原さんはワガママ言うタイプじゃないけど、だからこそそれに甘えてばかりじゃ男じゃないよ。」
「甘え?」
気にしていたことを言い当てられて、堂上が目を剥くと、ヤレヤレ と小牧はため息をついた。
「聞き分けがいい ってことは、不満を我慢させてることが多いんだからさ。」
甘えてこない じゃなくて、甘えさせない堂上が悪いんだよ。さらっと言われて身が縮む。
「で、我慢されちゃうと こっちまで手が出せないことになるんだしさ。結局男なんて女には適わないんだよ。」
分かったような分からないような、堂上は最後のビールを飲み干した。
「んなこと言ったってだなぁ。」
小牧のようにスマートにいかないのが事実。
「相変わらずめんどくさい奴だよ。」
小牧は笑って、つまみが尽きた頃に帰っていった。

触れたい、と思うのは当然で。触れられてカチンと固まる郁も、うっとりする郁も可愛くて。
かといってがっつくのも余裕なさげな──要するに この歳になってどう扱えばいいのか分からないほど 郁に溺れている。触れたら最後 止まらなくなりそうでいて、でも彼女のペースに合わせてもやりたい。そう思うのは郁にだけなのだ。
まだ眠れそうになくて、酒でも追加しようかと部屋を出た。

門限近くのロビーに人影はなかった。冷える体にはカップ酒、と手にした自分に自嘲する。
すると静かに、こっそり といった態で玄関に入ってきた人物がいた。
郁だ。
「お、どこ行ってたんだ。」
堂上に気付いた郁は顔を真っ赤にして立ち竦んだ。
「え と、コンビニまでアイスを買いに・・」
手にあるコンビニ袋を掲げて見せる郁は落ち着かない様子だ。
何気ない会話を交わしていたが、ふと途切れた。

キッチリとダウンコートを着た郁なら、多少外に誘っても大丈夫か。門限ギリギリだが、少し触れ合うくらい──
堂上が出くわしたカップルの様子が頭を過る。
郁の表情を伺えば、そわそわと身を揺らしては視線を泳がし、何だか今すぐにでも逃げ出しそうな素振りを見せる。
──逃がさない。
甘えて欲しい?。根本的に間違ってる。俺が甘えたいんだ。
「あ、じゃあこれで・・・柴崎が待ってるんで。」
堂上は駆け出そうとした郁の腕を掴んで、郁の顔を覗き込んだ。
「や、見ないで。」
郁が 掴まれていない方の手で顔を隠すのを、堂上は咄嗟に遮った。手から離れた酒が床に転がる。
「あ・・・」
その顔が見たかった。構わず堂上は郁を引き寄せた。

「「・・・・・」」

暫し温もりを感じる。
「あ、あの・・」
戸惑う郁の声が耳元に聞こえた。
「ん、溶けるもん持ってるしな・・。」
首まで真っ赤な郁は、きっと全身染まっている。
そんな顔をさせたことに小さな満足感を得て、そっと体を引き離した。


女子寮に入っていく郁をいつものように見送ってから、転がったカップ酒を拾い上げた。
「・・・タイミングが悪かったな。」
呟きながら頭を掻いた。アイスを溶かしては柴崎から何を言われるか。
触れ合いたい、キスがしたい、そしてもっと郁が欲しい。遠慮なんかしてくれるな。


言質を取るまであと僅か。
強引に行く決心がつくまで、なかなか合わないタイミングに四苦八苦する堂上の姿があった。




部屋飲みで 手塚とは飲んでない設定です(^_^;

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 | 2014年11月04日(火) 18:17 |  | コメント編集

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 | 2014年11月05日(水) 08:40 |  | コメント編集

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