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2015'01.09 (Fri)

「アジテーション」4

あけましておめでとうございました←

ご無沙汰が定番化していますが、私は元気です。
北の雪は被害多いようで。いえ、北だけではなく 南も雪だとかあったようで。
・・・これから、なんですかね。こちらは今のところ平和に地面を踏みしめています。

冬休みも終わり、新学期です。だらだら生活も通常にシフトせな!ですね。
放っておいたコチラもぼつぼつ。その前に 久しぶりにお仕事いただきまして。いえ、随分前から貰ってはいたんですけど・・・
イラストとはいえ、コチラで遊ぶ落書きとは違うので萌えがなく(^ω^;)←
しかも久しぶり過ぎて要領得ず。ただ分かったことは──ムスカの如く「目がー!目がー!」なんですよね。細かいところがヽ(≧Д≦)ノなんです。根気もなくなったから 進まない進まない。細い線が震えるわ 手がつるわ・・。
で、久しぶりにお話書こうと。
並行しながら更新です。
ウソ(๑°ㅁ°๑)‼。「連載3」から1ヶ月以上?
なんで、すっかり繋がらなくなりました。頭の中では一瞬なエピソードが、無駄に長く。
なので 2回に分けて連続更新です。
過去パートがメインです。

↓こちらからどうぞ。


【More】

「アジテーション」4


博物館で警備をするにあたっての追加資料を防衛部に届けた堂上に、部屋の奥から声をかけた人物がいた。
「よう、堂上。斎藤から聞いたぞ。島津有理子が来たってな。」
「・・・・」
苦った表情の堂上の肩を叩いた年配の隊員は、防衛部時代の上官の1人。
「まだ諦めきれんかったようだな。」
有理子が防衛部に出入りしていたのは まだ堂上が特殊部隊に抜擢される前だった。

===============

「管理出来ないなら集めなきゃいいじゃない!」
六年前、博士課程に所属し 論文を手掛けていた有理子は、祖父から博物館に呼び出されて些か気が立っていた。
島津敬三氏の孫娘である有理子は幼い頃から後継者になるべく教育されてきた。有理子自身経営に興味を持ち 学生でありながら幹部にも登用され、すでに頭角を現すようになっていた。
「大体 私は博物館の方には興味無いって言ってるのに!」
投資家はコレクターも多く、交流では 美術骨董品の取り扱いは不可欠なのだが、有理子自身には特に興味のない分野だった。

小さな図書館は併設してあるが、その他の書物は博物館の奥の2つの書庫に保管されている。今や大半が分類されないままで書棚に積み込まれているだけの状態だ。しかし見る人が見れば宝の山であろう。
日野にある稲嶺の自宅は、元々祖父敬三が若い頃手掛けた物件だった。その縁で懇意にしている稲嶺を通じて 武蔵野第一図書館に寄附することになったのだが、貴重な資料の多い書庫は手にあまり 直接図書隊員が選定作業に訪れているという。検閲対象の本も多数含まれているためだ。
──さっさと終わらせてしまおう。
有理子は書庫に足を踏み入れた。

数人の図書隊員が忙しく動いていた。博物館の館員と 持ち込んだ端末で蔵書確認をする者、選定する者。移動させる者。人員は防衛員だと聞いていた。
有理子はぐるりと見回すと書庫の奥に進む。
つい最近まで山積みであったり無意味に並べてあった本が、棚に整然と並べられていた。
「へぇー、大したもんだわ。」
有理子は 経済や運用哲学といった、仕事に直結するような本しか読むことはない。
大学で手に入る資料は粗方目を通してある。しかしここには ジェレミー・シーゲル博士やウォーレン・バフェット、ジョン・テンプルトンといった大物投資家の本の中でも、一般に出ていない資料もかなりある。
「読んだことない本があるわ。こうして見ると 案外貴重よね・・。こんなにも埋れてたんだ。」
有理子は壁にもたれ、図書隊の仕事を眺めていた。自分が口出しする必要もない。短時間で手際の良い、いかにも統率の行き届いた人員の動きだった。
「ちょっと。」
有理子は前を通りがかった隊員に声をかけた。
「現場の責任者は誰なの?」
登録済の書籍を運んでいた隊員が立ち止まって答えた。
「二班で作業していますが、今回の指示は主に私の班長である堂上三正が取り纏めています。」
視線を廊下に向けた隊員から察するに、その堂上という男は隣の書庫にいるのだろう。有理子は一旦廊下に出た。

隣の書庫は 既に分類が完了しているらしい。その整頓された書架の間に1人の図書隊員の姿があった。
小柄で自分より明らかに若そうな男。今年26になる有理子は、こんなヒヨッコがこれだけの仕事をするのか と感心せざるを得なかった。
ここは児童書を集めた書棚。絵本・伝承文学・ファンタジーや伝記といった書物が並んでいる。有理子は原本ならいざ知らず、挿絵の多い 噛み砕いたような内容の本は幼稚に思えてあまり手にしない。そんな書物の前に難しい顔をした堂上という男が立つのは、似つかわしくないように思えた。
「子供っぽいのは嫌いなの。」
テキパキと確認作業をしていた堂上が手を止めた。顔をあげて有理子に漆黒の瞳を向けると、訝しげに目を細めて再び本へと視線を落とした。
「私はここの館長代理よ。ここの本は適当に処分してもらっても構わないわ。近所の児童館にでも引き取ってもらって結構よ。そんなに価値のあるものなんてないんじゃないの?」
有理子の言葉に微かに眉をひそめたが、これといった反応はなく無愛想な印象だ。普段有理子の周りにいる男達は、必ず言った言葉に対して話を合わせてくるのに。
「指定した資料以外で図書館が欲しい本があればいくらでも寄附するわ。あなたの好きにすればいいから。童話なんて、子供しか読まないでしょうけど。」
こっちを向かせたい。そう思った。
それでも一向に手を休めない堂上に 有理子はムッとして部屋を出ようとした時、堂上がふと視線を落とした先にある本を見て歩を進めたのが分かった。
手を伸ばして武骨な指で背表紙をなぞる。
その仕草に有理子はドキリとした。
先ほどまでの無愛想な表情とは違い、暖かな眼差しの堂上に囚われたように動けなくなった。
「童話には 平易な表現で根本的なことが語られていたりして、秀逸な作品も多いですよ。何よりも──」
堂上は一冊の本を取り出した。
「生き生きとした世界がここにある。温かな言葉で綴られた本を読んで心満たされるのは 子供だけでは勿体無い。素直に読んでみれば大人でも得るものがありますよ。」
意義とか価値とかは勝手な大人が見出すものだ。読みたい本を読む、ただ純粋に。それを守りたい。そう教えてくれたのは──堂上は再び本を収めた。愛しいものを扱う様に。
いかにも堅物そうな男だったのが違った印象を受けた。
作業を終えて書庫を出る堂上の背を見送った後に、有理子は書棚の前に立った。そして堂上が手にしていた本を取り出してみる。シリーズもののファンタジー童話の最終巻。
「堂上・・・か・・」
興味が湧いた。児童文学にも、あの男にも。
以来 有理子は図書隊に足繁く通うことになった。

02:34  |  図書戦  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2015年01月09日(金) 11:48 |  | コメント編集

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