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2015'01.20 (Tue)

「リベンジ」

こんばんは。
あれ?今日は何日ですか?←

頭の中にはお話があっても、なかなか書き進めることが出来ずにいたら すっかり過ぎてしまいました。はい、カミツレデートには まったくもって間に合わず(ㆆ_ㆆ)。
今更感ありありで恥ずかしい上、何だか微妙な気がして仕方なくて 更にズルズルと・・・。

しかし今日は個人的に朗報が!。
受験生らしい受験生の娘。滑り止めの私立は無事合格\( *°ω°* )/。
ま、遠いし、入学の予定はありませんが、ここで弾みをつけて本番にのぞめたらいいな(๑•̀ㅂ•́)و✧と。
で、この勢いにつられて更新です(・∀・)ゞ。←?

恋人期、カミツレデートから1年後です。
↓こちらからどうぞ。


【More】

「リベンジ」


ヒンヤリ冷たい空気の朝、郁は目覚めると同時に部屋の暖房をつける。部屋が暖まるまで暫し布団に潜り込むのが常。そのまま2度寝して柴崎に叩き起こされるのも珍しくない。
ベッドの上からでも見える棚の小さなカレンダーに目を向けると、今日の日付けには赤い丸が見えた。郁はエヘヘと1人頬を緩ませると勢いよく布団を捲った。
郁にとって今日は大切な思い出の日。
早めの出勤に備えて準備した。


昼休憩。
テレビから流れるニュースは 敦賀原発の事件についてだ。
深夜に大規模な襲撃を受けて、黒煙を吹き上げていた。そして施設のどてっ腹に突き刺さった2機のヘリコプター。この女性キャスターのレポート映像は繰り返し放送されてきた。
今から丁度1年前の事件だ。
ワイドショーの中に「今日は何の日」というコーナーがあり、今日と同じ日付けに起こった過去の事件を取り上げる。今日は1月15日。
事件が終息すれば、それがどんなに大きな事件でも 日々新しく発生する事件に埋もれていく。水面下では 検閲抗争で火器の使用を禁止する動きがあったり、良化法に対する問題提議がなされたりもしているが、世間一般には過去の事件の1つだ。
しかし未来企画もメディア露出が増え、事件の折パス報道の為に作られたマスコミ連合はインパクトを残した。今日は特に事件発生の日。事件が風化されないよう『新世相』でも特集記事が掲載されていた。

「あれから1年だな〜。」
特殊部隊事務室の見上げた位置に置いてあるテレビでも、事件に関するトークショーが映し出されていた。食堂から戻ってきた隊員達も鑑賞している。
「と、いうことはだ。お前らの初デートから1年ってことだ。」
くるりと振り返った進藤が郁にポンと声を掛けたが、意外にも郁は くっと口を結んだ。

郁がカレンダーに印をつけたのは、堂上と初めて2人で出掛けた日であるからだ。
『カミツレのお茶の飲めるお店に案内する。』
そのささやかな約束に心踊らされた1日だった。互いに私服で待ち合わせし、女の子扱いに意識し、普段と違う柔らかな表情に心臓を鷲掴みされた日。途中 中断されたが、柴崎の計らいで偽装デートもした。
まだ片思いだった時だ。この恋を叶えたい、と夢を見た日。
進藤は他隊員から 手を繋いで事務室に現れた2人を面白おかしく伝え聞いたのであろう。
「そ、そんなんじゃなかったですよっ。」
からかい顔の進藤に 郁の吐く強がりは覇気を欠く。
あくまで約束。あくまで仕事。
恋人未満の2人にとっても特別な日だったと思っていたのは自分だけ。
郁は空席の堂上の机を見た。


今朝、張り切って事務室に入った。堂上ならいつも早めに出勤しているはず。案の定人もまばらな事務室に堂上は席についていた。昨日仕上がらなかった書類に向かっている。
「おはようございます。お茶、淹れましょうか?」
いそいそと用意してきたティーバッグをカバンから取り出そうとした郁に、堂上は返事をした。
「ああ、コーヒーを頼む。」
「あ、今日は・・・」
「濃い目のがいいな。」
朝の挨拶は辛うじて向き合ってくれたが、その後は書類から目を逸らすことはない。
朝は濃いコーヒーで目を覚ましたいのかな。
「─はい。」
ちょっとがっかりして給湯室に入った。
去年は公休だった。しかし今年は通常勤務。しかも堂上は午後会議に出席するからほとんどいないという。
朝しかお茶する機会はなかったんだけど──カバンの中にはとっておきのカモミールのティーバッグを忍ばせてきたのに。郁は 淹れたての熱いコーヒーの湯気が揺らめくのをぼんやり見詰めた。
会議に行ってしまうまでの間に 堂上とはそんな話題に触れることはなかった。原発や当麻の話はあっても 2人で出掛けたことはまるでなかったような。
その温度差に寂しさを感じたのは勝手なんだろうか。
──朴念仁だからしかたがないのよ。そんな柴崎の声が聞こえてくるようだった。


そう元気のなさ気な郁に 進藤は首を傾げた。「どうかし・・」
「堂上 お帰り。」
小牧の声に振り向くと、疲れた顔の堂上が長い会議から帰ってきていた。手には支給されたものであろう ペットボトルのお茶。
──手元にあるのに わざわざお茶はいらないかも。
今日は完全に お茶を出すチャンスを失った。
手塚と小牧が早々に日報を堂上に提出するのを見て、郁も取り掛かる。が、筆は進まない。
集中出来ていない1日だった自覚はある。こんな時に良化隊との抗争が勃発したら──絶対に迷惑かけてしまっただろう。浮かれていた自分を戒める。
「ほら、さっさと書け。」
いつの間にか横についていた堂上の声に意識が引き戻された。
「わ、はい。」
見れば堂上は帰る準備を終えている。
「あれ?教官、今日は残業ないんですか?」
このところ連日の残業が当り前になっていたので、てっきり今日も遅くまで残るのかと思っていた。
「む、なんだ 残業して欲しいのか?」
「そんなことないです!」
眉間の皺が増えたのを感じて 慌てて日報を書き終える。
一緒に帰れる。ささやかな喜びが素直に湧いた。


庁舎を出て 寮に続く道。定時に帰ると 僅かに日脚が伸びてきているのがわかり、夕陽に照らされた堂上の影が郁の影と重なる。そんなことさえ嬉しく感じるのは──自分だけ、なんだろうな。
郁は小さくため息をついた。

ぱし、と郁の手が取られた。堂上に。
「へ?」
「飯、外に出るぞ。」
言うなり郁の手を自分のコートのポケットに突っ込んで、ぐいぐいと引っ張って歩き始めた。
「ど、どこへ・・・」
「それは、お前。決まってるだろが。」
ずんずん進み、駅の券売機の前。もしかして、と連れてこられたのは。
「ここは──」
1年ぶりに来たのは 立川駅ビルのハーブカフェ。初めて2人で出掛けた店だ。
但し。
店の前で立ち止まった。
「・・・貸し切り、ですね。」
どうやらパーティーが入っているらしく、貸し切り札が掛かっていた。
「「・・・・」」
暫く札とにらめっこして、無言になっている堂上の顔をのぞき見た郁は プッとふき出した。
困ったような 情けなそうな、堂上のこの表情はめったに見られまい。
「あー・・・っと だなぁ・・」
郁と繋いでいない方の手で、バリバリと頭を掻き始めた堂上は言いにくそうに口にした。
「カミツレのお茶を飲むなら 郁とここで、と思ったんだが。飲むなら今日かと・・・まさか、な。」
駅ビルのカフェだ。定休はないからと安心していたのに不意を突かれたというか。
でも。
暖かなモノが 郁の胸を満たす。
「どうして今日 来たいと思ったんですか?」
そりゃ まあ、と言い淀む堂上の目は泳いでいたが、意を決したように向き合うと郁の視線と絡めた。
「お前に初めて案内してもらった味だしな。その楽しみにしていた外出は中途半端に召集がかかるし、リベンジしたくなるだろが。だから、あの日のデートのやり直しだ。」
郁は目を見張った。
「デート?」
「もっとも お前はそう思っていなかったようだがな。」
「あ・・聞いてたんですか。」
不機嫌な顔をした堂上がいる。進藤との会話は聞いていたようだ。
お互い同じ様に楽しみにしていたと言ったあの日の外出は、例え気持ちは確かめ合っていなくとも デートと言ってくれるのか。自分に都合よく解釈してしまうのを必死で否定するのに精一杯だったのを、この人は汲み取ってくれるのか。
「──嬉しい。言ってくれれば良かったのに。」
郁は 繋いだ手をキュッと握り返した。
公休にならなかった今日、ここに来るために連日残業していたのだろう。ここでカミツレのお茶を飲むために堂上なりに考えてくれたんだろう。そういえば 前日の進藤から回されそうになっていた書類は断固として拒否してた。
やや途方に暮れる堂上の様子に、郁は身を寄せた。
「教官、可愛い・・・」
ポツリと零した言葉に 堂上は口を尖らせた。
「む・・・そう言われると思うと 余計にだな──」
「言えなかったんだ。」
郁はクスクス笑いが止まらなかった。不貞腐れているこの不器用な朴念仁が可愛くて愛おしくて。今日1日寂しいと思っていたことはもうチャラだ。

「あたし、この辺に食事の美味しいお店知ってます。今日はそこに案内しますよ!」
食事して、映画観て───
初めてのデート、叶わなかったその先を出来るだけなぞるように。
腕を組み直して、今度は弾むように引っ張る郁に連れられて歩いていた堂上が歩を緩めた。
「?」
振り向いた郁を、そのまま建物の影に引き込んだ。
「可愛いついでにだな──」
郁のダウンジャケットの襟を掴んで唇を寄せた。
チュッと音を立ててキスをする。
「なっ・・」
影になっているとはいえ繁華街。油断していた郁の頭は沸騰した。
「ここまで持っていく計画は立てていた。」
こんなこと実践されていたら・・・
「ん。真っ赤なほっぺの可愛い郁が見られた。」
ニヤリと満足気な堂上は、形勢逆転に成功したらしい。
なんて意趣返し。
「よし、案内してくれ。」
通路に戻った堂上の背中をペシリと叩いて手を繋ぐ。
「可愛くない!」
プンプンと怒る郁は 傍からみたら幸せそうだ。

恋が叶った。あの日の自分に祝福を。今日はカミツレデートの記念日です。


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Comment

初めまして。いつも作品を楽しみにしております。
お嬢さん、合格おめでとうございます。うちの娘は滑り止めが22日が試験、その日のうちにネットで合格発表です。でもお天気はどうやら雨がひどいとの予報。
先週は雨の日に願書持って行ったら印鑑押してなくて数日後もう一度持っていくはめになったし。願書だしで雨、試験日雨って、雨女かも。

特別な日に特別なお茶を飲ませたかったのに、コーヒーやお茶にされて、自分だけだったのかなって落ち込んだところでの、あのカフェで一緒に飲もうとしてた教官。同じように考えてたとわかってほのぼのとこの日を過ごせてよかったですね。いつも暖かい作品ありがとうございます。また更新楽しみにしております。
ちーまま | 2015年01月20日(火) 09:21 | URL | コメント編集

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 | 2015年01月20日(火) 12:14 |  | コメント編集

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 | 2015年01月22日(木) 13:48 |  | コメント編集

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