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2015'03.12 (Thu)

「0に戻した後は」9


こんにちは。お久しぶりの更新に来ました!。
androidからiPhoneの画面がデカいのに変えて、文字もデカくしておばちゃん快適です。
機能は追々覚えるとして、まずは入力練習も兼ねて書きかけのお話を仕上げねば――と。
しかし罠が待ち受けておりましたよ!。
ほぼ仕上げたお話を保存し直したら なんと全ての文字が数字とアルファベットに変換されてしまいました!(٭°̧̧̧ω°̧̧̧٭)。全部パーです!。
このところ 子供の受験や主人の転勤などで落ち着かなく、何とか細切れでコツコツためてきた文章が 一瞬にして暗号文に。
消してしまうことは何度もあったんで今更びっくりすることもないのですが(ショックは受けますが)、正規の手続きを経て消さない為の対処をしたのに!しかも文字の痕跡は目の前にあるのに!全く使えないなんて・.:゚。┣\(’ロ´\)オリャ-。文字コードが違うらしい、なんて素人には理解不能でございます。
ま、半分は元のスマホに保存してあったのですが、書き足した文章はもう2度と書けないのは経験上明白で。
とりあえず半復元してみましたが、当初より短く?。です。2度書くには小っ恥ずかしい気がしたのでした←。

通常更新です。半年Σ( °_°; )ぶりの 「0シリーズ」です。
indexは5。107「0に戻す」及び 116「0に戻した後は」の続きです。
すみません、リンク方法までまだ習得していません(-人-)。

↓こちらからどうぞ

【More】


「0に戻した後は」9


季節は秋だ。
図書特殊部隊の全体会議で郁は悲鳴のような声をあげた。
「い、茨城県立図書館──っ!?」
後ろから堂上がすかさず郁の口元を押さえた。
「いい子だから黙ってろ。」
耳元で囁かれては黙って固まるしかない。
構わず緒形副隊長から説明があったのは、毎年11月に開催している茨城県立図書館と近代美術館の共同イベントへ特殊部隊が応援出動をするということだった。
10年前から続いている平和的なイベントに初の応援だ。しかも特殊部隊が出動するとは。その理由は次の説明で明らかになった。
「今年の最優秀作品を見てみろ。」
緒形の指示で手元の資料の最後のページまで捲ると、その場にいる隊員全員が言葉を失った。
タイトル『自由』。
コンクリートの壁の中央に貼られた良化特務機関の制服。その身頃が大きく切り裂かれ、裂かれた穴から覗く青空の写真。作品に表現されているのは、不当な検閲に対する怒り。攻撃性に託された 自由を渇望する意志と、その先にある希望の光。
「既に良化法賛同団体が入り混じって 凄まじいデモが繰り広げられているそうだ。この先良化特務機関が検閲・没収をかけてくるのは明白だ。しかし茨城県司令部水戸本部はこれまで大規模な火事場を凌いだ経験はない。しかも現在の体制では指揮系統が巧く作れないとの理由で うちが補助をすることになった。」
地元の部隊が『統括できないから丸投げでお任せ』なんて情けない状況に陥っているとは。そして郁は玄田から言い渡された応援の編成に更に驚愕した。


「ほ、本当にうちの班が行くんですか?」
会議が終わって郁は弱気な顔を堂上に向けた。
茨城の実家には戦闘職種配属を内緒にしている両親がいる。特に母親が知ったら卒倒か逆噴射確実だ。出来れば編成に加わりたくなかった。
「小田原の攻防戦でお前を外したのは明らかに間違った采配だった。女子でもお前なら使いどころはある。手塚にはある大規模攻防戦の経験を奪った不公平も作ったしな。それに──」
玄田はその辺の是正を鑑みて編成に入れたのであろう。
「お前なら上官の指示に従ってる限り、どんな作戦でも足手まといにはならないからだ。」
きっぱりと言い切った堂上の言葉に、郁は嬉しくてどうにかなってしまいそうだ。しかし行き先が郷里である。
「──っ、嬉しいんですけど、でも、」
まだ『バレたら』と踏ん切りのつかない郁に小牧が口を挟んだ。
「堂上は笠原さんを部下としてバッチリ認めたよ。自分の都合で逃げ出して堂上の信頼を裏切ってもいいんならそれはそれで──」
「嫌です!。堂上教官を裏切るのは、絶対に嫌です・・」
懸命に顔を上げて堂上を見つめる。
「もし──ここで俺に『お前を危険な闘いに連れていきたくないから残っていろ』と言われたらどうする?」
「え?」
小牧でさえ意表を突く質問だった。
しかし堂上は表情も変えずに郁と向き合っている。
「残りません。あたしは戦力になってみせます!」
郁は反射で答えた。考えるまでもない答えだ。
その宣言に堂上は大きく頷くと表情が優しくなった。
「親に見つかるとも限らんさ。例え見つかったとしても──意外な味方がいるかもしれんぞ。」
ポン、と郁の頭を叩いた堂上は 踵を返すと会議室を出ていった。


移動用のバスが2台正門手前に到着した。戦闘にも盾として対処出来るように後方支援部が改造した特殊車輛だ。
乗り込むと天井には蝶番式の盾が 鉄のつっかい棒で止めてあった。物々しく並ぶ盾を見上げて郁は息を呑む。
「怖いか?」
後ろから声を掛けてきたのは堂上だ。
「いえ全然!。むしろ窓から知り合いに見付かる方が恐怖です!」
水戸インターからは、実家の周辺をたどるルートと知り 膝から崩れ落ちた。例えば 信号待ちの窓から見える姿が知り合いの誰かの目に止まる。そんなまさかの偶然が高確率で起こるのがイナカなのだ。
堂上に少しは認められているのなら その信頼に応える働きをしたいと思うのに。しかし親に配属がバレるのだけは意地でも避けたい。
「分かった。・・ほら。」
堂上は窓際に座ると後ろの席に背嚢を放り込んで郁を促した。外から見られても自分の影に入るよう通路側に座れとのことだろう。
え、と躊躇した郁だったが、堂上にグイッと袖を引っ張られてつんのめる様にして席についた。バスの座席は案外密接している。顔を上げると至近距離に堂上の顔。堂上を意識していることを自覚している郁の鼓動は跳ね上がった。

「よお、座席に余裕あるのに仲良く並んでるのか。」
乗り込んできた玄田はからかい口調で言うと、2人のいくつか後ろの席に座った。
「堂上、なんなら笠原の実家に挨拶に行ってきてもいいんだぞ。」
郁は縮み上がった。戦闘の応援に来ました、なんて言われたら──
「そうですねぇ。」
チラリと郁を見て口角を上げる。
「・・考えておきます。」
「へ?」
堂上のニュアンスに違った意味合いを感じてドギマギする。そんな2人を 郁と通路を挟んだ隣に座った小牧が見て、携帯を片手に上戸に陥った。
──ど、どんな挨拶するつもりなんだ・・・
狼狽える郁を乗せて バスは出発した。


「実家はどの辺だ。」
「えと、水戸の端っこにあるJRの赤塚ってとこの近くなんですけど。」
「帰るの何年ぶりだ?」
「大学の・・3年まではお正月だけは帰ってたから──4年ぶりですね。」
「誰かに会ったりはしないのか?。友達とか兄弟とか・・・・・親父さんとか。」
郁は凄い勢いで頭を振る。
「まさか!有り得ないですよっ!。絶対にバレないように 期間中敷地外には出ない覚悟ですから!」
「お前なぁ・・・」
堂上は困ったように眉間に皺を寄せた。
「別に直接会わないまでも、合間を見て電話でもしてやったら親父さん喜ぶんじゃないか?。いつまでも意地張ってると折れ時を逸するぞ。」
今の郁には到底無理な話だ。
「な、なんでそんなこと・・・特にお母さんは──母はあたしみたいな娘なんて欲しくなかったんですよ、きっと!。」
確かに父親の方は仕事を認めてくれていると思える節があったかもしれないが、堂上が知るわけはない。以前両親が基地に来た時に何か話したのか。
郁の昂った感情に、堂上は諭すように言葉を紡ぐ。
「親御さんにとって お前は大事な女の子なんだしな。連絡もしないで頑なな今のお前は 拗ねてる女の子の言い分にしか聞こえない。」
「!?女の子だなんて、あたしもう25だしっ。」
「俺が保証する。笠原郁はちゃんと愛されてるよ。」
堂上らしくもない言葉の連続に唖然とした。
「・・・・・」
絡み合った視線を先に外したのは堂上だ。
「寝るっ。」
腕を組んで寝る態勢に入った堂上の耳が赤い。
照れたんだ、と思うと途端に可愛く見えて、沸騰していた郁の頭は逆に落ち着いてきた。
「・・・有り難うございます。」
ぼそりと呟いて力が抜けると、急速に睡魔が襲ってきた。そしていつの間にかウトウトと船を漕ぎ出して、次第に堂上の肩にもたれかかっていった。

堂上は郁の頭を肩に受け止め、座席の間に無防備に置かれた郁の手に自分の手を重ねて目を閉じた。
立派な女の子だよ。そして愛しいよ。
そう思うのは堂上だけではない根拠がある。今は言ってやれないが。
郁にはこれから、乗り越えなければならない戦いがいくつか待っている。
必ず守るから。
堂上は重ねた手を 起こさない程度に握り締めた。


「水戸のインター降りたぞ。」
堂上の声に郁の意識は はじめゆっくり浮上した。が。
「!、スミマセン!」
堂上にもたれて熟睡していたことに気付いて飛び上がりそうになった。
「いや、可愛い寝顔だったからいい。」
んなはずないじゃん、絶対間抜けな顔してた!。郁は居たたまれなくて両手で顔を覆った。
そんな様子に、ブッと吹き出したのはやはり小牧だ。最近は上戸に遠慮がなくなった。

バスは4年振りの郷里の道を走る。
堂上の陰から隠れるように外を見れば、懐かしい見慣れた風景が流れていく。
馴染みのガソリンスタンド。子供の頃に通った道。それでも4年の月日を物語るように 記憶にない建物や道も増えてもいる。
そんな懐かしくも新鮮な景色に、王子様に救われたあの中堅書店を思い出された。同時に窓際に座っている堂上の横顔も目に入る。
遠くを見詰め もの想いに耽っている。その先に何を見ているのか。でもその目はまるで──
「懐かしい、ですか?」
郁は声に出してから慌てて口を手でおさえた。
「いえ、何でもありません。」
堂上が王子様だと知っているからこそ つい突いて出た質問だったが、辛かった査問の記憶まで思い出させてしまうに違いないと後悔した。しかし堂上は意外にもすんなりと認めた。
「そうだな・・・。」
窓の外から郁へと視線を移された。
その視線を受けて何となく気まずい。
今でもあの光景はハッキリと覚えている。正義の味方と憧れた背中は堂上の背中。気付かなかったとはいえ、長いこと散々のぼせ上がっていた相手が目の前にいる。
そして堂上はもう、郁が王子様の正体を知った事を承知していて、その上で『待つ』と宣言しているのだ。
『待つ』って?
「あたしは もう──」

「どういうことだ、あれは。」
バスは千波湖畔にさしかかっていた。茨城県立図書館と近代美術館が並んで建っている。
そこは荒っぽい光景だった。

13:50  |  図書戦  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2015年03月12日(木) 22:16 |  | コメント編集

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