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2015'03.30 (Mon)

「堂上、2人」1

こんにちは。
お久しぶりです。本当にお久しぶりです。

すっかり暖かくなりました。
と、バタバタは変わりのない日々を送っています。いったいいつ落ち着くのか?
基本ハンドル握ってる家族の奴隷な運転手なのでスマホをポチポチ出来ないでいましたが、昨日は1人新幹線に乗ったのでちょこっとだけ更新準備しました。
とっとと更新です。不定期連載?予定です。(いや、落ち着くまて続くかも。短く切るから。)
上官・部下で、郁ちゃん査問中です。
宣言通り毛色違うかもですので、ご了承下さい。

↓こちらからどうぞ

【More】

「堂上、2人」1


『ちょっと似てる。正義の味方みたいなとこが。』

堂上は郁にそう言われたことがある。
まずいことがあると 必ず駆け付けてくれる。入隊した時からずっと。―――まるであの時の王子様のようにと。

違う。
今の堂上はもうあの時の図書隊員ではない。
郁のいう「運命の図書隊員」は、正義の味方だ。
本当のその男は 後先考えない軽率さと感情に流される脆弱さをあわせ持ち、結果規則違反した未熟な図書隊員だ。勝手な行動で組織を揺るがす大問題を起こした出来損ないの図書隊員。
そんな――後悔はしていないが反省したからこそ切り捨てた 欠陥だらけでみっともない昔の自分を、カッコイイだの優しいだのと勝手に憧れて追いかけて来ても・・・・・もうどこにもいないのだ。

そんな郁にイラつき 何とかして追い返すつもりでいたのに、どうしても放っておけなくてここまで来た。気に掛かり過保護になってしまうのは、郁を見ていると冷静になれない自分がいたからだ。
随分前から感じていた、心の奥で湧き上がる 大きくて苦い存在。


=============


寝返りをうった。そろそろ起きる時間だと意識が浮上する。アラームの鳴る前には大抵目が覚めるのが習慣だ。
「ん・・・・・」
ギシリとベッドの軋む音はいつもより低い。
右を下にしていた体の向きを変えようとするが、何か背中に当たる。自然に腰を浮かせて体勢を整えるが。
(・・・・・狭い。)
寮備え付けのベッドは広いものでは決してなく、ベッドの端に追いやられて―――いる?
堂上は反射的に身を起こした。
人の気配。
布団を勢いよく剥がすと同時にアラームが鳴り響いた。
「なっ!?」
慌ててついた手がベッドから外れて体ごと床に転げ落ち、ガタンと音をたてて近くにあったローテーブルに頭をぶつけた。
痛い。夢ではないらしい。しかし堂上は目を疑った。ベッドの上には背を向け横たわる人間が1人。
「こ・・・・・小牧・・・・・か?」
いや、違う。見慣れた誰の背中でもない。堂上はアラームを止めることもせず、記憶の糸を手繰った。


昨日は。
手塚慧に呼び出されて、研究会の勧誘などと未来企画から何か仕掛けられたであろう郁を取り返しに行った。それが隊の正当な行動基準を逸脱していると 上官として判断したことであっても迎えに行かずにはいられなかった。
「わざわざ迎えに来なくても自分で断ったのに」と気丈に答える郁の肩は小刻みに揺れていた。
その肩を引き寄せたい衝動に駆られたが思い止まる。
査問の重圧や寮での孤独に1人で耐え、辛くないはずはないのに それでも頼ろうとしてこないのは、自分がただの上官だからか。郁が心底慕う王子様になら、助けを求めるのだろうか。王子様なら、懸命に涙を堪えようとしている彼女を包んでやれるのだろうか。
郁に伸ばした手を1度握りこんだ後、肩から頭にスライドさせた。
「何、お前踵の高い靴履いてんだ。」
抱きしめてやれない自分の苛立ちを理不尽にぶつけながら、いつもより高い位置の頭を撫でた。

無言で帰る間、踵の高い靴を履いている郁に歩調を合わせ 普段よりゆっくりめに先を歩いた。響くのは靴音だけ。
手塚慧のことだ。巧妙に心を揺さぶる誘いをしたに違いない。それを断った郁の疲労感がその靴音に現れているようで。
堂上はピタリと立ち止まった。
「きゃ。」
背中にぶつかってきた郁の顔を振り向き見れば まつ毛が濡れている。いつもより隠しきれていないのは角度のせいか。
慌てて涙を拭い小首を傾げる郁の手を取る。
「・・・・・遅い。」
手塚慧の元から連れ出した時のような 痛いと言われない力加減で包み込む。
郁が息を呑んだのは分かったが構わない。
こんな時だ。胸の奥で大きな音が鳴るのは。

その後は 郁の手を引いて再び無言で歩いた。基地が見えてきて自然と手が離れるまでそのまま。
玄関でぺこりと頭を下げて、郁は女子寮に入って行った。その背中を見送ったのは覚えている。


で、コイツは誰だ。
アラームは自然と止まってから、スヌーズ機能を発揮する。
再び鳴り響くアラーム音に、ベッド上の人物が身動ぎし 煩そうに手を伸ばした。
堂上は身構える。
その人物の腕は空を切り、仕方無いように寝返りをうってから起き上がった。バリバリと頭を掻き、んー と伸びをした「男」が寝ぼけ眼で部屋を見渡した。
そして互いに目が合うと・・・・・互いに驚愕した。

同じ、顔。
いや、若干違和感。
「「お前は・・・・・誰だ。」」
ユニゾンする言葉も声も同じ。
目の前にいるのは。
暫しの沈黙の後、零れた言葉もタイミングも同じだった。
「「俺、か?」」
ありえない事態に『2人』固まった。


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 | 2015年03月30日(月) 22:01 |  | コメント編集

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