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2015'04.23 (Thu)

「堂上、2人」3

こんにちは。
今度こそ暖かくなってきましたかね?。花見する間もなく桜は散ってしまいましたが、我が家目の前の1本だけある山桜は満開です。
新1年生もそろそろ学校というところが分かってくる頃。
うちの庭先が朝の集団登校集合場所なんですが、昨日は1年生の男の子が大泣きで。2つ上のお兄ちゃんもいるのですが、それはもう「お母さーんヽ(`Д´)ノウワァァン!!」状態。母ちゃん仕事に出ちゃってるよ、で 何とか泣きやませて出発させたのですが。
暫くして私が用事で車を走らせたら、本来ならとっくに学校に到着している時間なのに、道半ばに4人の小学生。あ、うちのチビもいる。
どうやら動かなくなった1年生をお兄ちゃんが抱っこして、班長さんとチビがランドセルを持ってあげながら 遅れて登校している様子。
それぞれ頑張って世話してるなぁ、と感心しながら 母ちゃん追い越して行きました←。
今朝はニコニコ登校していきましたよ。日々成長ですね。

さて、ちょっと書いては放っておくを繰り返し、パズルの様に文章入れ替えての連載更新です。

って、まだコメントお返事してなかったのねΣ(・ω・ノ)ノ!。また後ほど。

↓こちらから どうぞ


【More】

「堂上、2人」3


寮に帰った郁を待ち構えていたのは、無言で抱きついてきた柴崎だった。
堂上が迎えに来たのは、書き置きを読んだ柴崎が班の皆に知らせてくれたからなのだろう。

心配をかけた。
『研究会の勧誘だそうです』とメモを残して手塚慧に会ってきた。それがどんな意味を持っているかを 柴崎なら知っているのだろう。
小刻みに震える柴崎の背中に手を回してポンと叩く。
「ただいま。・・・ありがとね。」
郁がそう呟くと、つい と離れた柴崎はそのままお風呂の準備に取り掛かった。いつもの様に。何事もなかった様に。
「別に。心配するのはあの人の仕事なんだから。」

柴崎には柴崎のケジメを付けなければならない事がある。郁には知られたくないことだ。────この柴崎麻子を騙し討ちのシナリオに入れるなんて。しかもそれに気付きながらもこの娘1人でカッコつけさせて何もしてやれなかった自分に怒りを覚える。
そう、だから心配して支える役目はあの人に譲ってあげる。
「美味しいモノ食べて来たんでしょ。さっさとお風呂入って休みなさいな。」
水面下で動いた別の話があったことは、郁や堂上に知られることはなかった。



入浴を終え 自室に戻った郁は、ベッドに横になり目を閉じた。
未来の検閲撲滅は喜ばしい事だが、難しい理屈は分からない。ただ 手塚慧の語る壮大な構想を前に 改めて考えたのは、今 好きな本を好きに読む為に自分が出来る事は何か だ。
理想的な未来の為に 駆け引きをしながら回りくどい方法をとって、その間何十年かは自由を捨てて検閲を我慢して受け続けなければならない────なんていう強要はするのもされるのも嫌だ。そんなことなら仲間と共に「今ある自由」を戦って守りたいのだ。

堂上をはじめ周囲の教育の賜物か。落ちない郁に手塚慧が持ちかけた話は、郁には到底納得できないことだった。理想を掲げ 社会の歪みを正すと謳いながら、弟を手に入れたいという己の欲の為には平気で他人を罠にかける。その罠は手塚にとって酷い裏切り行為だ。「仲間への負い目でなびけ」そんな事をさらりと口にする不敵な笑みに背筋が凍った。
自分がこんな男の罠に落ち、更に利用されようとしてるなんて。
査問で精神的にも肉体的にも追い込まれている思考は 怒りを感じながらも麻酔にかかったように迷走する。それでも負けまいと踏ん張れたのは、 ずっと支えてくれている仲間のおかげ。突っぱねられたのは、大きな存在が目の前に現れたからだ。
ガラス越しに叩かれた堂上の手。幾度となく助けられてきた手だ。
この手があれば、この人がいれば、丸まった背中も俯いた顔も まっすぐ伸ばして前を向いていられる。

手塚慧の元から連れ出された時のきつく握られた手からも、寮までの帰り道に包み込むように握られた手からも、伝わってきた熱は郁の心に染み渡った。
堂上に握られた手の温もりは消えず、無意識に胸の前でその手を包むように握りしめる。いつからか ただの憧れだけじゃなくなった堂上の存在が何なのか。あと少しでその答えが見つかりそうな───そんな予感を抱いて眠りに落ちる。

王子様。

査問で苦しんでいたあなたにも、心の支えがあったなら。迷った時 真っ先に思い浮かぶような存在があったなら。それが。王子様が査問を乗り越えた原動力────。





翌朝、気疲れもあったのか少々遅れ気味での出勤になった。雷でも落とされるか、と覚悟したのに主がいない。
「おはようございます。って。あれ?堂上教官は?」
普段ならとうに席にいて仕事に手を付けているはずの堂上が見当たらない。
「堂上二正なら隊長室だ。小牧二正も一緒らしい。」
昨夜の件についてだろうな、と難しい顔をした手塚が郁に何か言おうとした時、隊長の呼ぶ声がした。



.....................................................



「よし、わかった。」

早朝、相談したいことがあるとの堂上からの連絡で玄田は早めに隊長室にやってきた。そこへ早々と入ってきたのは・・・。玄田は暫く目の前の光景を腕を組んでじっと観察していたが、説明を聞き終えるとばぁんと両手で膝を打った。
「何が『わかった』ですか。」
明らかにニヤニヤした顔の玄田に堂上は訝しんだ。悪い予感しかしない。


三正の堂上にしてみれば玄田は他部隊の隊長だ。
まだ他の隊員が出勤して来る前に連れられて来たのは特殊部隊事務室。────二正になった自分は特殊部隊に配属されているのか────それは目指していた先であり、その為に自主訓練も重ねているのだ。見た目からして強面で迫力のある隊長は特殊部隊を象徴する存在だ。誇らしい気持ちで大柄な玄田を見据えてその判断を待った挙句の無茶振りだった。


「今日から堂上班は5人とする。」
「はあ?」
「堂上が2人いるなら使わにゃ損だろ。そっちの堂上も加われば効率良く仕事も回るし、遊ばせておくには勿体無い。」
「なっ!そんな簡単に決めないで下さいよ!。大体こんな非現実的な現象を何の疑いもなく受け入れてどうするんですか。事の重大性を──っててて」
玄田が堂上の頬を摘まんで引っ張った。
「夢でもなければ受け入れる他あるまい。我等図書特殊部隊は如何なる状況にも迅速に対処し実行する。ただそれだけだ。」
鼻息の荒い玄田は明らかに楽しんでいる。横の三正の堂上を見れば、初めは虚を突かれていたが 徐々に興奮しているのが分かる。
降ってわいた特殊部隊入りだ。玄田の一言で不安感が拭われたようで、元々突き進むタイプなのだから方向性を提示されて活き活きとしてきた。しかしその単純さは今の堂上には痛い。
玄田に相談した時点で もう混乱波乱は決定事項。正直下手に隠しているよりは動きやすい。──が。
「手塚と笠原にも話は通しとかなきゃならんな。」
堂上の肩が跳ねた。班員ともなれば部下達と共に行動するということで・・・。


「ややこしい事になんなきゃいいけど。」
横で小牧がポソリと呟いた。


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 | 2015年04月23日(木) 10:31 |  | コメント編集

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 | 2015年04月23日(木) 13:06 |  | コメント編集

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