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2015'08.25 (Tue)

頂き物「夜祭」

こんにちは。
とんでもなく暑かった夏。しかし雨の多い夏休み終わりでした。今日は寒いです。涼しい通り越して寒い?。連日朝から30度超えだったのが、本日20度を下回り 身体がついていけませんよね。九州地域は台風直撃だとか。大きな台風、被害のないことを祈ります。
こちらは まず、本日より小学生が始業式です。三兄弟バラバラな始業日ですので順に夏休みも終えることになります。早う母ちゃんも夏休み欲しい٩(●˙▿˙●)۶…⋆ฺ。

本日は頂き物で更新です。٩(^ᴗ^)۶。
ブログ相互リンクなまめこさんからのリクエストでイラスト「花火」を描かせていただいたのですが、まめこさんが丁度執筆中だったお話も夏祭りだったとか!。そして偶然にも髪型も同じな素敵シチュエーション♡。
お話とイラストも相互リンクさせていただきましたヽ(≧▽≦)/。可愛い郁ちゃんに振り回されつつも、ちゃっかり虫除けしてる堂上さんが(〃艸〃)。
まめこさん宅でもお読みになられてるかと思いますが、こちらでも宝物を飾らせて頂き、今年の夏を締めくくりたいです(●´ω`●)。
嬉しい゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*

↓こちらからどうぞ


【More】

「夜祭」(頂き物:まめこさんより)
※時期:恋人期(付き合い始めてから二度目の夏)



恋人同士になって一年。二度目の夏。
去年一つも叶えてやれなかった夏デート。
彼女が最初に選んだのは、

─── 夜祭りだった。




「あ! りんご飴!」
「待て待て、そのチョコバナナ食ってからにしろ」
屋台めがけて今にも飛び出していきそうな勢いに繋いだ手と手が伸びた。
犬に例えられることもあるこの彼女。それはさながらピンと張った散歩紐の先で、早く走りたくてうずうずしている犬のようだ。
「大丈夫ですよ、両方交互に食べますから。だから、ね?」
「ダメだ」
「小さい姫りんごのやつでいいですから」
─── お願い。と器用な上目づかいにほだされそうになりつつ、手を引っ張って自分の隣に戻す。
痛いくらいに手を強く握りしめられたのは彼女なりの抗議か。
「バナナ食い終わってからだ。つぅか、この後うなぎ食いに行くのに甘いもので腹いっぱいにするなよ?」
「ご心配なく。本命の分はちゃーんと空けてありますっ!甘い物の一つや二つ、なんてことありませんよ。あたしの別腹なめないでください!」
同室の親友に着付けてもらったという紺地の浴衣は艶やかで大人っぽいのに、発言内容は相変わらず。
お囃子に浮き足だつ彼女の手を取って、熱気と喧騒が混ざった雑踏の中を二人歩いた。
「 …… これ食べ終わらないと次買っちゃダメですか?」
「片手で持てる分だけにしとけ。手離してはぐれたら面倒だろ」
「もう …… 子供じゃないのに」
ぷぅっと膨れた頬がりんご飴みたいに赤く上気していてパクリと食いつきたくなるのは、自分も夜祭り特有の色と音に浮き足だっているせいだろうか。
いやそれだけではない。
短い髪を編み込んで露わになった彼女の項の後れ毛に欲情しているからだ。
「そんなだから皆に過保護って言われるんですよ?」
「ほっとけ」
この一年。デートのときは決まって手を繋いでいた。人に過保護と言われようが心配性と言われようが常に。
殊更、人が多い場所では手は離さない。
彼女が他の人にぶつからないように、興味を引かれた方へふらりと行ってしまわないように。馬の手綱を操るように彼の左手は彼女の右手と繋がっている。
もちろん彼女も手を繋いで歩くことは嫌ではない。むしろ大好きだ。
でももう少し信用してくれてもいいのにと思ってもいる。迷子になるような年齢でもないし、ちょっとした有事には一人で対応できるくらいには成長しているのだからと。
だからちょっとだけ悪戯をしたくなった。
「あ! こら!」
一瞬の隙をついて彼女は彼の手から逃げ出した。
人と人の間をすいすいと抜けて、あっという間にその姿を人ごみの中に消してしまう。
彼の手に柔らかな感触だけを残して。




「すみませーん、一本くださいっ」
居酒屋に行けば必ず浅漬けを頼むほどこの夏野菜が大好きな彼の為にきゅうりの一本漬けを買い、斜向かいの屋台でビールを買って任務完了。あとは彼を探すだけ。
でも、彼女が見つけるより先に彼に見つけられる。これが二人のお約束のようなものなので再会の時はきっとすぐにそこまでやってきているはずだ。
「よっと」
両手が彼の好物で塞がっていたから、頭を屈めて屋台の横幕をくぐった。
もしかしたら過保護な彼が目の前に仏頂面で立っているかもしれない。
そう思ったところで肩を叩かれて、ほらやっぱりすぐ見つけてくれる。と笑顔で顔を上げると、
目の前にいたのは今どき風のひょろっとした二人組の若者だった。
「おねぇさん、一人できゅうり丸かじり?もしかして欲求不満?」<
「口にチョコつけちゃってかわいいね」
だらしなく緩んだ顔と、下品な笑い声。夏の熱さに浮かされたナンパだ。こんないかにもな輩など二秒で沈めてやることができるが、両手が使えなければそれも叶わない。
さて、どうやってあしらうか?

二人組の両手が伸びてくるのと彼女が構えをとったのはほぼ同じタイミングだった。


*


「まったくお前は …… 。こういう事が危惧されるから手を離すなって言ってるんだろ」
ビールは自分で、きゅうりは彼女に持たせ、再び賑わいの中を進んでいく。
また不意を衝いて逃げられないように、きっちりしっかりと手を繋いで。
「心配しすぎですって」
「し過ぎじゃない。普通だ」
今夜はいつにも増してすれ違う男たちの視線を感じているのだ。
舐めるように彼女を見て、隣に立つ背の低い彼にメンチを切る。ここまでがワンセット。
「あんなひょろいナンパ二秒もいらなかったですねー。ん?あ、」<
はいどうぞ。と彼女が彼の口へきゅうりを運んだ。繋いだ左手で合図をすると彼女が食べさせてくれるというシステムである。
いい塩梅に漬かったきゅうりもプラスチック容器に注がれたビールも、どちらも一口目から冷えていて旨かった。
「それも状況次第だ。脛蹴られたくらいでへたる相手だからよかったものの、うちのおっさん連中みたいな強者だったらどうする?一人で倒すつもりか?」<
きゅうりとビールを放り出すのは致し方ないとして、彼女が浴衣で大外狩りなど彼氏としては勘弁願いたい。ついさっきだって、浴衣の上前を割って蹴りをいれる瞬間を目の当たりにして卒倒しそうだったのだ。
「んー。技をかける、のは今日の格好だと厳しいから、逃げるが勝ちってことで走ります!」
「アホウ! 下駄で逃げても高が知れてる。俺が行くの分かってんだろ?プライベートの時くらいか弱いふりして守られとけ」<
「あれくらい自分で!」
「彼氏の特権奪うなバカ」
「え?」
最近は年相応の色気を無自覚に醸し出して彼氏を困らせることも多々あるが、きょとんとした表情だけは幼く見えて。そのギャップが彼には堪らない。
「彼女の前でカッコつけたい男の気持ちも少しは分かれ …… って言わすなアホ!」
「え …… だって、いつもかっこいいですよ? だからたまにはあたしもいいとこ見せ ─── 」


祭りを活気づけるお囃子がより賑やかな調子に変わった。
澄み切った笛の音と深く余韻を残す太鼓の響き。日本人の遺伝子に組み込まれた血が騒ぎだし心を熱く囃し立てていく。


「 ─── かっこいいところより、もっとかわいいとこが見たいんだがな、俺は」
薄っすら汗の滲む彼女の項のするりと一撫でして、解いてしまった手をもう一度結び直す。
ぎゅっと握りしめると固まっていた彼女がハッと我に返った。
「な …… なめ … た …… ? な! な、舐めましたね!?」
「チョコついてた」
下駄の分背が高くなった彼女の頭を引き寄せて唇の端をペロリと舐めたのだ。
ビールの苦みが残る舌に彼女の甘い味が滲みる。
「え? だ、で、ここ、外だし …… !」
「誰も見てやしない」
「言ってくれれば自分で!」
「気にするな。虫よけだ」


大人っぽい浴衣と後れ毛が彼女をいつもよりも艶やかに魅せるから。
提灯の橙色が彼女のぽってりとした唇を姫りんごみたいに赤く見せるから。
だから触れたくなるのだ。
ノスタルジーに浮かぶ、ぼやけた彼女の輪郭に。


「うなぎ食いにいくぞ。腹へった」
「りんご飴 …… 」
「 …… 分かったよ。土産に買ってやる。どの店のにするんだ?」
「大きいりんご買ってもいいですか?」
「あぁ。大きいのでも小さいのでもどっちでも好きにしろ」
「やった! 向こうのお店のにします!」
彼女に手を引かれてもう一度、熱気と喧騒の坩堝へ。




夏の夜祭りのお囃子を聞くたびに、彼は思い出すだろう。
染まる彼女の赤を。きっと。


Fin.

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