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2015'09.08 (Tue)

「魔法の鋏」(リク4)

こんにちは。
毎日毎日毎日 雨です。カビ生えて腐ってしまいそう。
衣替えしようにも、1度晴れて貰わないと 出すことも仕舞うことも出来ません。悩ましいですね(´・ ・`)。
いよいよ実写映画も露出が増えてきました。ワクワクソワソワ。(でもその前にジュラシック・ワールドが観たい。←結局行けてない)

コメントのお返事が滞っていますが先にお話を。リクエストがね、もっと滞っておりましてm(_ _)m。リク募集以降 スマホ版にもカウンター入れたので リク終わる前に40万迎えてしまう(;゚Д゚)!。あかん。

リクエストの更新です。時期は上官・部下の革命初期。隙間とはちょっと違うかも?。リク内容は最後です。
↓こちらから どうぞ

【More】

「魔法の鋏」(リク4)


柴崎の手には魔法の梳き鋏。
パサリと髪を落とせば、未来に向けての戦闘態勢が整っていく。


郁の棚に置いてあるスタンド式のカレンダーには印がついている。
1月15日
堂上班の公休日だ。しかしいつもはただの赤丸だけなのに、そこには「11:00」と小さく時間が書かれている。
昨年暮れ、郁が帰寮するなりいそいそと書き込んでいた時に柴崎がドアを開けたことがあった。
「あら、出掛けるの?」
その日の柴崎は通常勤務。何気なく訊いただけなのに過剰な反応をするのだから分かり易い。
「や、え、と・・・。ちょっと 教官と・・・」
しどろもどろになった郁の顔に、柴崎は上着を肩から落としかけた手を止めてニヤニヤ笑う。
「ふ〜ん、デートか。」
「はあ!?」
郁は目を剥いた。頬はみるみる赤く染まる。
「ち、違うって!。ま、前にちょっと約束してあって!。」
慌て始めた郁を尻目に、柴崎はスルリと袖を抜いた上着をハンガーにかけた。
「ただカミツレのお茶が飲みたいって言うから案内するだけだし。」
「2人だけで出掛けるつもりなんでしょ?」
「だって教官が・・・」
つ と視線を逸らす郁の横顔は更に赤く。
「ほほう、教官からデートに誘ったのか。」
「だーかーらーっ・・・」
ムキになっていた郁だったが、急に勢いがなくなった。
「デ、デートとかになるわけないじゃん。」
「なんで?妙齢の男女が2人きりでお茶しに行くんでしょ?」
柴崎は2人分のお茶をいれてテーブルに置いた。女同士とは話が違うんだから、と。
しかし郁にしたら そんな簡単な話ではない。
「だって・・・」
ストンと腰を落した郁がカップを見つめながらぼそりと呟く。
「教官はあたしのこと 女と思ってないんだろうし。」
ぶっ
柴崎は熱いお茶をすすり損ねた。
「何よ、ソレ。」
どこをどう見たらそう感じるのか。柴崎は内情を知っているのもあるが、最近の堂上は傍から見ても郁に対して腹を決めたのが伝わってくるのに。
デートに誘っても本人に本気にされないなんて不憫な男よね。柴崎は眉間に皺を寄せる堂上を脳裏に浮かべた。
「だって、教官は『これに女を感じるほど飢えてない』って言ってたし。」
「はあ?あんた いつの事言ってるのよ。ソレ教育隊の時の話じゃない。たしかあんたも『教官なんかに女感じられても嬉しかない』って言ってなかったっけ?」
「う、だってぇ・・・」
あの頃の2人といったら まるで山猿とゴリラの睨み合い。まあ、堂上にしたら本気で郁を排除しようとしていた頃だ。しかし他に言いようってもんがあっただろうに、と柴崎が呆れたのも事実。
目の前でちびちびとお茶を啜る今の郁は、間違いなく全身で恋してる女の子。もう、あの頃とは違うのはあんただけじゃないのに。しかし鈍い娘が察せられるほどのアプローチも出来ない朴念仁との前途は多難だ。柴崎はふぅ、と息をついた。


デート(とは頑なに認めないが)前日。入浴準備をする郁に 柴崎は声をかけた。
「ほら、いらっしゃいな。」
170cm級戦闘職種大女と自分の客観を決めつけている郁に オリーブ色の戦闘服以外の武器を。
「?」
キョトンとする郁を座らせて、バサリとケープを被せた。
「ほら、真っ直ぐ向いて。毛先だけ整えてあげるから。」
「え、なんで?」
「いいから。」
訓練で汗と日差しと埃にまみれる郁の毛先は傷みが出る。しかし栗色掛かったその柔らかな髪は、少し整えるだけで輝きを取り戻すのだ。柴崎は何も言わずに郁の髪に鋏を入れた。
短くし過ぎず、ごく自然に流れるように。傷んだ毛先をカットしてやれば、シャープな顎のラインと馴染んでくる。
「出来上がり。さ、残りはお風呂で流してきましょ。」
量にしたら僅かだが、スッキリした髪は指通りが良くなった。
手際良く片付けをする柴崎に郁は礼を言う。
「ありがとね、柴崎。」
「せっかくのデートだもの、コレも使うといいわ。」
「だからデートと違うんだからね。」
柴崎がいつも行くサロン御用達の高級トリートメントを手渡された郁は、素直に言葉にしないものの、有り難く使わせて貰うことにした。


デート。
と言えるものだっただろうか。
髪を整え、慣れないメイクも極薄くだがした。仕事中ではしない ちょっとだけ濃いめの口紅とふんわり載せたチークは、朝 柴崎に借りたコスメボックスの中にあったもの。
堂上に「女」を感じて貰いたいと思うのは、「女」として堂上を好きだと自覚しているから。恋をこの人と叶えたいと思うから。
敦賀原発事件が勃発し、甘い時間は途中で打ち切られてしまったが、郁の精一杯の時間だった。


そんな郁の目の前で、昨日自分の髪を切った鋏が 今度は当麻蔵人の髪を切っている。当麻を良化委員会の追っ手から図書基地で匿うことになったのは隊内でも極秘事項だ。変装の一環として髪型と色を変えれば時間が稼げるとは柴崎の発案だった。
今日の柴崎は大胆で、サクサクと音を立てるその手元に郁は見とれた。当麻の、これから始まる逃避行生活の戦闘準備だ。
そんな光景をみながら、つい、ぼーとしてしまう。
未だ夢の中のようにふわふわしている。それほどに堂上とのプライベートは郁の心を鷲掴みしたのだ。だって女の子モードのスイッチを入れたのは紛れもなく堂上のいつもと違う態度。お茶するだけで終わらせようとしなかった堂上の言動。
「好き」と言ってしまいたくなる、「もしかして」と思ってしまう。
でも気を引き締めなくては。今まさに大規模な言論狩りが行われるきっかけになってしまうかもしれない事件に遭遇しているのだ。なんとしても阻止しなければならない。今必要なのは当麻を警護する特殊部隊隊員の笠原郁。・・・なのに。

......................................................

堂上は基地の正門を出ると、少し離れて後ろについている郁を振り返った。
今日の郁はいつもと違う。
自分との待ち合わせに時間を気にして走ってやって来た。
2人きりで出掛ける為に 一生懸命オシャレしてきた。
自分に見せる為に化粧を施してきた。
いつもより女らしく。自分との外出に思いを馳せながら綺麗になった郁に目を細めると 片手を伸ばした。もっと早くに手を伸ばしていれば、もう違う関係になれていたのだろうか。今日は悔やまれるタイミングだった。
恐る恐る差し出された郁の手を強く握るが、今はまだ ただの上官と部下だ。
ならば。
わざとらしく気を遣われたのは、敢えて気が付かない振りをする。偽装であろうと 2人きりの時間の続きを送れるのであれば。いっそ見せつけてやろう、見張りの奴らに。
郁の温かい手ごと自分のジャケットのポケットに突っ込めば 2人身を寄せる形になる。今だけ。今だけは俺の女だ。真っ赤に染めた頬の温度をも感じるほどに引き寄せると、柴崎に言われた通り当麻の眼鏡を買いに眼鏡屋に向かった。


堂上は伊達眼鏡を試す郁を遠慮なく眺める。顎のラインの綺麗な郁は、案外眼鏡が似合うようだ。だから自然とかける言葉は甘くなる。意見を求められて、一番自分好みの郁になる形を選んだ。薄いカーキのすっきりしたフレームから覗く郁の目は、ちょっと知的で また別の雰囲気を醸し出す。からかえば 簡単に噛み付く掛け合いも小気味よい。

ふいに堂上の手が、眼鏡のフレームによって僅かに乱れた郁の髪を耳に掛けた。触れたい欲求は加速する。
「ひゃっ。」
堂上の冷たい指に小さな声をあげた郁の耳が熱を持つ。嫌じゃない。されるがままに身を置いた。
そこで堂上は気付いた。髪に触れた指を、そのまま柔らかな髪の流れのままに滑らせる。
「髪・・・」
更に郁の髪の小さな束を掬って呟いた。
「あ、昨日柴崎に切り整えてもらったんです。巧いでしょ?。だから当麻先生も大丈夫・・・。」
遠慮なく触れているのに はにかむ笑顔が眩しく映る。
今日の郁がいつもと違った雰囲気になっている理由の1つかと、その滑らかな感触に納得してから堂上はさすがに手を離した。至近距離で目が合えば、あまりに近くて逆に目が覚めたのだ。
「────っ」
だめだ。自制が利かなくなる。
偽装でもいい?。ンなわけあるか!
堂上は自分の軽はずみな行動を呪った。今だけ、だなんて無理だ。そう思うと堂上の顔は急に難しくなった。郁が可愛いことを言えばいうほどに。
「次、行くぞ。」
当麻の眼鏡の加工には時間がかかるという。他の買い物もしなければならない。それが仕事。
郁が買ったばかりの眼鏡を掛けて鏡を見て楽しんでいると、先に店外に出ようとする堂上が鏡に映った。その表情は先程より固く、急に素っ気なくなった堂上に郁は不安になった。
眼鏡をポケットに突っ込んで、追って店の外に出て立ち止まると、思い切って口に出した。
「堂上教官!」
「なんだ。」
冷たい風が頬を掠める。
「教官は、あたしに────」
仁王立ちになって叫ぶことだろうかとは思ったが、もう訊かずにはいられなかった。
「女を感じますか!!」
浮かれた自分を自覚している。でも、でも距離を縮めているのはどちらなの?。郁の精一杯は前に進む可能性を求めてしまう。これからやるべき事は分かりきっているのに、宙ぶらりんのこのままでは 特殊部隊の自分に戻れない。

「今だけ。今だけ訊かせて下さい!」
人の往来のある道だ。ざわりと風の向きが変わった。
堂上は正面から向き合うと、郁の手を乱暴に引っ掴んだ。
「あほう、女を感じてなかったら 今日という日は来なかった。」
「え?」
「今だけだぞ。もう言わん。」
言いながら手を繋ぎ直し、自分のポケットへ。
俺は今だけなんてごめんだからな、と指を絡めて握った手に力を込める。
「ぎゃ、痛いです!痛い!」
望む未来が同じなら、今するべき事に立ち向かう糧として欲しいという言葉を囁こう。
サラリと髪が流れた耳に唇を寄せた。
これは鋏が奏でた魔法。



後日、良化委員会の報告書に書いてあったとかなかったとか。

『図書隊には、衆人環視の中でイチャイチャを繰り広げるバカップルがいる。』


==============


リクエストは 「なかさん」より。
リク内容は「郁ちゃんが教官に対してちゃんと恋心を自覚している時期。 教育期間に言われた「これに女を感じるほど飢えてない」 って言葉がずっと残っていて自信を持てない(前に進めない)郁ちゃんと、 それに対する堂上教官のイケイケな感じが希望です。」でした。

今回は魔女柴崎?の魔法の世界、というところでしょうか。フライング未満・ぎりぎりのところのつもりです。終わりが中途半端な気もしなくはないのですが、後は脳内補完でお願いします←

なかさん、大変遅くなりましたが、こうなりました。リクエストありがとうございました٩(^ᴗ^)۶。





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 | 2015年09月08日(火) 16:55 |  | コメント編集

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