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2015'09.21 (Mon)

「堂上、2人」7

こんばんは。
シルバーウイークだそうです。多分 世の母ちゃん方には非常に迷惑であろう、いや、その、ねぇ・・・。
しかし、そのシルバーウイーク。我が家は初日を母ちゃんのためだけに使いましたよ!(*´ ³ `)ノ
なんと!歌って踊る教官を堪能するべく、家族を捨てて公認浮気をして来たのです♡。
生まれて初めてです。この歳でどうかと・・・と旅慣れぬオバサンコンビはビクビクしながら これまた初めての土地へ。しかし!。結構オバサンいっぱいじゃん♪と安心しました(´▽`)ホッ。
キラキラ世界。遠慮がちにペンライトを(主に木魚を叩く要領程度に)振り、時々周りに合わせてみたり。もう、夢の中でしたよ~。
というレポを直ぐにアップするつもりが、夜中に帰宅し 翌朝古紙回収の現実と奮闘した挙句にダウンしちゃいまして(ノД`)。
あかんやん。ババアを実感。もう既にガッツリ日常ですわ(´•ω•̥`)。
でも、でも!目を瞑れば!!(〃艸〃)ウフフフフフ。
いやぁ、クセになりそうです。

更新です。連載の続きになります。
コレ、もう少し続きますが、いいですか壁|ω・*)コソッ…
↓こちらから どうぞ

【More】

「堂上、2人」7


図書大を卒業し、三正として防衛部に配属されたのは6年前。
成立過程に黒い噂が取り沙汰されていた機関だったが、好きな本をこの手で守る職業に就きたかった志は確固たるものだったし、図書隊の理念、特に良化法に対抗するには武装組織化を徹底した稲嶺の信念の潔さに感銘して迷わず入学した。
図書館業務も戦闘業務もこなす苛酷なカリキュラムに鍛えられ、次席で卒業した。あの頃の自分は 実際周りからも高い評価を得ていたし、教育の賜物か 業務部員としても防衛員としても そこそこ出来ていた。と思っていた。但し 若かったこともあり 今よりずっと鼻っ柱も強く 無駄にプライドも高かった。すぐむきにもなるし頭に血が昇るのも早かった。
だからだ。入隊したてのくせしていっぱしのつもりでいたひよっこが勝手な行動をとったのだ。
あれは────。

バン!

思い出せば出すほど汗が吹き出すような 出来損ないだったあの頃の存在が、勢いよく寮の部屋のドアを開けて目の前に飛び込んできた。
堂上は はぁとため息をつく。
「・・・なんだ、騒ぐな。目立つようなことは止せ。」
肩で息をする三正の堂上は、二正の堂上を睨みつけていた。
「なんで彼女が査問にかけられてるんだよ。」
チッ、と舌打ちしたくなる。隠し通せるものならそうしたかった。コレを知ったら奴がどう反応するか。元々自分だ、想像出来る。
「濡れ衣だ。しかし査問会からの出頭命令は免れない。だから班全体でサポートしているんだ。・・・余計な心配はいらん。」
「は?あんた、査問会がどういうものか知ってて言ってるのかよ。大の男でさえ精神的重圧で頭がおかしくなるっていうんだぞ。それに寮生活で、しかも女の集団の陰湿さを一身に受ける身になってみろよ。」
若堂上がそう捲し立てて詰め寄ってくるのを睨み返す。
そんな事は知り過ぎるほどに知っている。あの気の重い日々は、覚悟していた事とはいえ かなり神経にこたえて疲弊した。この俺でも、だ。行政派の査問会のやり口は身にしみて知っている。当然辛くないはずはないのだ。
しかしあの泣き虫が強がりしか言わない。いっそ泣いてくれれば上官の立場を利用してでもこの腕に抱きしめてやれるのに。いくらでもハンカチ代わりになってやる。それが出来ないもどかしさに腹が立つ。
「何より、上官としてなんで守ってやれなかったんだよ!。」
言われるとは分かっていても、若堂上の言葉は刺さった。
守りたいさ。自分が矢面に立てるものならそうしたいに決まっている。しかし今の状況では支えてやるのが精一杯。そしてそれに応えようとしている部下を認めないわけにはいかない。甘えて欲しいと思うのは自分のエゴだ。
「笠原一士の身体能力が特殊部隊に耐えうるのは分かった。将来的に女性隊員をという声が上がったというのも頷ける。でも、なんで彼女がわざわざ危険な戦闘職種を選んで 更にこんな苦しい思いをさせされなきゃならないんだよ!」
堂上が矢継ぎ早にいい放つ若堂上の胸倉を掴んで引き寄せて言った。
「うるさい、黙れ。」
「何だと!?。あんた、彼女のこと駒扱いするのかよ。そんなんでよく────」
「お前が言うな!」
堂上の拳が若堂上の頬を鈍い音をたてて殴った。狭い室内だ、殴られた勢いで若堂上が棚にぶつかって物が散乱する。
「何するんだよ!」
「────っ!」
騒ぎに駆けつけたのは小牧だ。
「ちょ、堂上!」
躊躇なく間に入ると2人を引き剥がす。
「後ろめたいから殴るんだろ!?。部下さえ守れない、こんな上官持った彼女が可哀想だよ!。」
堂上の顔が苦痛に歪む。小牧には郁の査問が若堂上に知られた事がわかった。多分2人の指す後ろめたさの意味が違うのも。
「────っ。」
互いに睨み合った末、二正の堂上は部屋から出ていった。

堂上が入隊した年の10月に茨城で見計らいをして問題になった。数ヶ月後のこの若堂上がしでかす事件だ。
しかしそれこそ若堂上に知られるわけにはいかない。自身がこの先 勝手に見計らいをして査問にかけられることを。それは人生の大きな岐路で、郁との出会いでもあるのだから。知れば未来が大きく変わるかもしれない。
郁が入隊してきた頃、自分が間違った背中を見せたことで郁の人生を狂わせたと、自身の行動を後悔し頑なに彼女を排除しようと苦しんでいた堂上を見てきた。漸く 彼女が選択した運命だと受け入れ、過去のこだわりを取り払おうとしているところなのだ。その葛藤を若堂上に説明するわけにもいかない。
「────あれが未来の俺だなんてガッカリだ。いや、あんな奴になるものか。俺なら、何が何でも彼女を守ってやるのに。」
吐き捨てる若堂上を前に 小牧は目を見張ると笑がこぼれた。納得するしかない、おたくら やっぱり堂上篤だよ、と。無意識に郁に惹かれていく若堂上に、この先の展開を案ずる小牧だが、半分楽しんでいるかもしれない。


頭を冷やすために部屋を飛び出してきた堂上が電気の落とされた共有スペースに足を踏み入れると、ソファーに人影があった。郁が1人 誰もいない中、眠りこけている。
物騒な事を言って寮に入っていった若堂上を気にしながら、かといって追いかけて中に入るわけにいかずに どうしようかと思案する間に寝入ってしまったのだ。
「・・・おい、笠原。」
いくら暖かくなってきたといってもこのままでは風邪をひく。
しかし普段の寝不足も祟ってか 深く眠り込んでいる郁はなかなか起きない。
「無防備だな。かさは・・・」
明らかに憔悴の跡が見える頬。
『余計なお世話です。辛くなったら言うって約束したじゃないですか。』
手塚慧から奪還した夜、懸命に堪えた末に涙でよれた言葉を絞り出した唇から、今は微かに寝息が漏れ聞こえる。
くたりと折れた首では苦しかろうと堂上は下になっている郁の頬を包んで引き上げた。
このところつい探してしまう。涙で睫毛は濡れていないか。頬に涙の筋がついていないか。から元気な表情から少しでも辛さが見て取れないかと。
もし奴が、過去の俺が、この先自ら起こす勝手な見計らいで査問にかけられることを知ったなら。浅はかに権限を振りかざすことをせず、軽率な行動を抑え、本来取るべき『見過ごす』選択をするだろうか。そうすれば、コイツが妙な幻想を抱いて 図書隊という危険な世界に足を踏み入れる事もなく、こんな苦しみのない ごく平穏な生活を過ごしている未来があったのだろうか。
────いや。
例え知っていたとしても、自分は同じ行動を取る。今なら分かる。あの少女を見たらきっと────動かずにはいられない。
郁の半開きになっている唇をそっと撫でる。
「あほう、言えよ。」
辛ければ辛いと。でもへろへろになっても意地でも言わないのが らしいというところか。
郁が追いかけて来なかった世界は有り得ない。
『結構ちゃんと憧れていますよ。王子様とおんなじくらい。』
「お前の・・・・・・」
堂上は言葉を切り、頬にあてていた手を外して拳を握った。
ガツン。
「いたーい!」
郁は頭を抱えて目を覚ました。
「あ、ど、堂上教官。」
「こんなところで寝てやがって。風邪をひくだろが。」
眉間に深いシワの入った いつもの堂上がいる
「あれ?無事?」
「何のことだ。いいから、寝るなら自分の部屋に行け。」
ぐい、と郁の腕を引っ張りあげた。
「大丈夫か?」
「・・・教官の方こそ 大丈夫ですか?」
郁が堂上の顔を覗き込んだ。
「っ、あほう。」
郁を女子寮に押しやると、自分も男子寮に向かった。
どんな顔をしてたんだか────堂上は顔を覆うように撫でた。



郁への査問は唐突に終わった。隠蔽への関与について、一応は潔白らしいとのことで終結に至った形だ。
特殊部隊一同安堵の中、2人の堂上は互いにギクシャクしたままだ。郁の方は 柴崎の広報のおかげもあって寮内の風当たりも少しずつ収まってきた。若堂上の積極的な声掛けも気分向上に一役あるようで明るさを取り戻してきた。
しかしそんなある日、郁宛に届いた書留によって事態は複雑になる。

封筒の送り主は『未来企画』手塚慧。
中には1万円札が2枚と、便箋。
目を通して、郁が叩き出した悲鳴は、柴崎がいたら目覚まし時計が飛んでくるであろうほどの音量だった。

22:22  |  図書戦  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2015年09月22日(火) 19:26 |  | コメント編集

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