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2015'11.04 (Wed)

「堂上、2人」8

こんばんは。
今日は日中ポカポカ陽気でした。でも 今のうちに冬支度しておかないと!ですね。
我が家はファンヒーターと掘り炬燵は既に準備万端。しかし この炬燵の罠に日々嵌っております。なんて幸せな温もりなんでしょう。ちょっとだけ、がちょっとだけには終わらないww。今からこれじゃ、先が思いやられます。

さて、実写映画も公開一ヶ月近く経過しました。3回観に行きましたが、未だ前売り券は使えないでいます。だって結構○○デーとかにかち合って割引で観られるので、前売り券使う時ないんですよ。誤算はネット予約じゃ使えないとか。家族で行ったのに1枚も減らず。と、前回更新時と同じ状況www。
そして下手すると上映時間がそろそろ減らされてきちゃいますよね(´・・`)。学校が終わるまでに家に帰れないと困るので、午前から始まる回でないと!。この際割引デーでも 行ける時に前売り券使わないと無駄になってしまう。と、焦り始めています。
大きなスクリーンで もう少し堪能したいです。

このところ更新少なく寂しい我が家。
細々とでも続けたいなぁとは思ってますので、お付き合いいただければ嬉しいです(^-^)。
さて、久しぶりに更新です。連載の続きになります。忘れちゃったよ~と言われそうですが、大丈夫、私も同じようなものです←。
やっと次回から動かせそうかな、と思ってるんですが。
まとまった時間プリーズ(>_<。)。

↓こちらから どうぞ


【More】

「堂上、2人」8


宛名には「笠原郁様」。封筒の裏の差出人には「手塚慧」。中には一万円札が二枚と便箋が入っていた。
お金は堂上が置いてきた金額と同額だ。ご馳走すると言っていたから返金してきたのであろう。そして開いた便箋にあった 流れるような達筆で書かれた手塚慧の文面が突き付けてきた内容は、郁にとって絶大な破壊力を持っていた。
まさか持ち掛けられた未来企画の計略なんてもうどうでもいいと思えるほどのショックを受けようとは。

『高校生以来の憧れの王子様が上官の女子になんかちょっかいを出すものじゃないね』────。

憧れの王子様が上官?。それは王子様が堂上教官だ、としか読めない・・・いや、実際そう書いてあるのか。
しかもその指摘は これまで別々だと思っていた王子様と堂上教官を容易に結びつけ、1度重なってしまえば、今まで何故気付かなかったのかが不思議なほど合致する。若い頃の研修場所や査問経験も。そして何度となく似ていると感じた部分などがパズルのピースのようにカチカチとはまり込み、郁にとっての正義の味方の像になる。
・・・そうか。そうだったんだ。そうなのか。
びっくりなのに思い当たる節が多くて納得できる。
まるでウルトラマンの正体が 実はいつも隣にいた隊員だった、みたいな、いや違うか、ううん似てるよね・・・。郁の頭は混乱してまともな思考回路から外れていきそうだ。
が、はたと気付く。まともじゃないのは今の状況もだ。簡単に受け入れてしまっている、堂上が2人いる状況。その突然現れた若い堂上の顔が浮かぶ。
「ということは・・・」
彼は入隊間もない三正だ。堂上本人ということは、まさに近い未来茨城で見計らいを起こす「あの時の三正」であり、「王子様」なのだ。
顔も忘れてしまっていたと思っていたけれど、今ならあの時の光景がハッキリと思い出せる。
────万引きの汚名を着てまでこの本を守ったのは君だ。
そう言って本を差し出した図書館員の顔は、若堂上そのものだ。
疑うこのとない確信へ。
5年間想い続けて追いかけていた王子様に 実は面接時点で既に再会していただなんて・・・。
「こうじゃないだろ。」郁の顔色は青ざめた。
急激に記憶が襲いかかる。
面接の時に本人目の前にして情熱的に語った憧れの図書隊員。さぞかしいたたまれなかったのだろう。その場に突っ伏していたのは堂上教官だった。その後のドロップキックや腕ひしぎ、何度となく衝突しいがみ合っていた教育期間のあれやこれや。全てがロマンチックでも甘酸っぱくもない殺伐とした思い出。これまでの自分の言動が恥ずかしく身悶えが消えず、全てを葬りさりたくなる。
今も当時そのままの本人が現れたというのに気付けなかった自分の記憶力の悪さが呪わしい。
ただ、先日頭に乗せられた若堂上の手に既視感を覚えた。それを「王子様の手」よりも「教官の手」を先に思い浮かべたのは────もう自分の頭にしっくりくる温もりになっている手が「教官の手」になっているから・・・・・・
そこに思い至って 郁の目に涙が滲む。教官の方は?
高校生の時に会った王子様の「今」である堂上教官は、今までどう思っていたのだろう。自分が事あるごとに王子様王子様と騒いでいた時の堂上の態度が脳裏に浮かぶ。
「迷惑そうだった・・・。」
郁の胸が今まで経験したことのないほど締め付けられる。
知りたかった王子様なのに。
郁の心に堂上が2人。あの時の王子様そのものの三正の堂上。そして王子様にされて迷惑に思っているかもしれない今の堂上教官。もしかしたら嫌われてる?
混乱の極みのまま、ベッドに潜り込んだ郁の頬に涙が伝った。こんなに辛いのは何故だろう。
自分が分からない。教官の気持ちも分からない。



翌朝ギリギリに出勤し どこか怯えるように コソコソと席についた郁に、二正の堂上は眉を顰めた。
査問が終わり、身の潔白を証明されたというのに、郁の表情は沈んでいる。
「おい、笠は・・・」
「教官、コレ。」
振り向きざまに堂上の顔に突きつけたのは新券の一万円札。
「なんだ?」
「手塚のお兄さんが食事代を返すって封筒に二万円送られてきました。あの時 教官とあたしとで割り勘にしたから・・・。」
「!奴が接触してきたのか!?」
心配してくれているのに、嫌われていると思うと目を合わせるのも辛い。
「ミーティング始まりますので。」
血相を変えた堂上を無視するように横をすり抜けようとした。
「待て!だいたい どうした その顔。」
郁の肩を掴んで顔を覗き込もうとした堂上の手が払われた。若堂上だ。
「しつこいぞ。いちいち詮索しすぎじゃないか?」
郁は間に入ってきた若堂上の影に隠れる。泣きはらした顔を見られたくないのもそうだが、酷い事を言ったり面倒を掛けてばかりいた自分なんかの王子様にさせられて、今まで鬱陶しいとか煩わしいとか思われてきたのかと思うととても合わせる顔がない。
2人の堂上が睨み合っているうちに朝の全体ミーティングが始まった。
まともに挨拶も出来ない、そんなことにも郁は凹んで背中を丸めた。


格闘訓練。郁は道着に身を包み、パシンと自らの頬を叩いた。自分の中では処理しきれない案件は、とりあえず一心不乱に体を動かすことで消化すればいい。あまりに情報が交錯し過ぎて何から対処すればいいのかも分からない。今は堂上が王子様だという事実より、言葉に出来ない不安感が郁の心を占める。
ずっと追いかけてきた背中。
今追いかけている背中。
各班長が道場の中央に集まっている中に 堂上の姿を目の端で見るに留めた。

「笠原、考え事してると怪我をするぞ。」
朝は郁の様子を遠巻きにしていた手塚が声をかけてきた。
「ふぇ、、、わ、わかってるって。」
手塚としても 郁の異変が兄の再びの接触から来ているのではないか気掛かりでもあるのだ。
「大丈夫。何の問題もないから。」
吹っ切るためにも相手を願おうかと思ったが、手塚は小牧と組んでいる。
「笠原一士」
呼びかけられた声にドキリとした。若堂上が現れてからは、身長的にも彼と組む事が多い。自然の流れだ。
王子様・・・いや、今は 考えない 考えない。平常心 平常心。
「「よろしくおねがいします」」
若堂上と郁が対峙するのを二正の堂上が離れた位置から見ていた。
集中しなければ。郁は気を取り直して 一歩前に出て腰を落とす。もう何度となく組手をしてクセもわかってきている。今の堂上よりも線は細いが それでも筋肉がしまっていて固い。時計回りで相手の出方を伺いつつ、襟を取ろうとすり足で移動し 時折踏み込む。まだ無駄な動きがある とわかるのは、散々今の堂上に投げられ鍛えられてきたからか。
先に若堂上の右手が郁の奥襟を捉えると 体を押し開かせ、 あっという間に前に引いて体制を崩す。多少の身長差は若くてもものとはしない堂上だ。郁は捉えられた襟を切ろうとしてもがいて身体を起こした。
「!!」
互いの顔が至近距離に。目と目がかち合う。
「きゃっ」
普段の声ではなかった。なんというか、訓練中に聞いたことのない声に その場にいた者は動きを止めた。
驚いたのは組んでいた若堂上も同じだ。慌てて両手を離す。
目の前の郁は、頬を染めて動揺あらわだ。
「わ、や、ちょっと・・・」
アタフタと両手で顔を隠すが 耳まで真っ赤になっては隠しきれない。胸がドキドキと忙しなく打つのが 全ての人に聞こえてきそうだ。
「え、どうかした・・・」
「いやいやいや、何でもない、何でも!」
その挙動不審さは 何でもないわけもなく、どう見ても────
「なんだ、笠原。急に男として意識したのか。」
進藤の軽い冷やかしに、郁はびっくりしたように言葉を失った。
気にしないでいられるはずはない。夢にまで見た(顔は覚えなかったが)憧れの王子様そのものが目の前に存在しているのだ。会いたくて会いたくて、望み続けた王子様。
そして次の瞬間に一気に茹だって真っ赤になったので、周りの隊員はやんやとはやし立てる。
「お、いよいよ笠原にも色気がついてきたようだぞ。」
「ここで新たな展開か!」
「歳が近い方が良かったのか?」
若堂上が小突かれもみくちゃにされている。
「おい、堂上。ボケっとしてると若いやつに姫さん取られちまうぞ。」
奥から二正の堂上を押し出す進藤のその表現に、郁はドキリとした。みんな知ってる?これには今まで気にもとめていなかったが、それが王子様の正体の更なる裏付けとなる。
皆の視線を感じた二正の堂上はふいと郁から顔を背けた。その素振りが迷惑に思っているからだとすると、凄く傷ついていることに更に動揺した郁の目に涙が滲んだ。
その様子に2人の堂上が狼狽えた。
「やっぱりお前 変だぞ!?。いったい何があったんだ。」
追及し始めた二正の堂上に、状況の飲み込めない若堂上は眉をひそめる。
ここで報告できるはずもなく、しかし誤魔化せば誤魔化すほどしどろもどろな郁に、堂上の追及が厳しくなった。
「もしかして兄貴が・・・」
手塚が余計?な事を言ったので、堂上の気圧が急に上がった。
「この後に及んで私信で揺さぶりをかけてきたのか。」
「ち、違います!ただお金を返すっていう手紙でした。ってか言えません!」
「言えよ!」
「待ってよ、その手塚慧の手紙が関わってるかまだ分からないだろ。笠原さんが言いたくないってことを無理やり聞くのは────」
小牧が割って入ったが 冷静さを欠いた堂上は力尽くで押しやる。
「あんな罠仕掛ける男だぞ!奴に関する判断は俺がする!だからっ」
堂上が ぐいっと郁の腕を掴んで引き寄せ正面で見据えた。
「っ!!」
郁の腕が堂上の手を 先程の組み手の時より鋭く切った。
空白の後、ズダンと大きな音がして はっと我に返った郁の目の前に堂上が倒れていた。背中を強かに打っているらしく身体を捻っている。
「キャ────ッ!堂上教官!スミマセンでした!」
パニックになった郁は頭を抱えて道場から駆け出していった。

「すげー さすが二代目クマ殺し。堂上から一本取った女として伝説に残るな。」
「完璧だったな。」
堂上は畳に寝転がって天井を仰ぎ見る。
「堂上~。やばいんじゃねえか?」
進藤が 堂上をのぞき込んでやけに楽しそうに声をかけた。そのにやけ顔に不貞腐れる。
「余計なお世話です。」

過去の俺には顔を赤らめるのに 俺には血相変えて逃げ出すのかよ。

若堂上は逃げ出した郁を追っていったようだ。
天井のシミをぼんやり眺める二正の堂上は 大きなため息をついた。





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 | 2015年11月05日(木) 21:00 |  | コメント編集

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