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2015'11.27 (Fri)

「堂上、2人」9

こんにちは。
ぐっと寒くなってきましたね。今までが暖かすぎたとも言えますが、体がついていきません。コタツが恋しい季節です。入ると出たくなくなる罠に毎度陥っております。
無事前売り券分を消費できました~(^-^)/。計5回堪能し、内3回はチビに付き合ってもらいました。「何で同じ映画を観なきゃいけないんだ。」と言いつつも ついてきてくれるチビに感謝(笑)。
後は続編の続編を期待しつつ、引き続き堂郁世界で遊ばせてもらおうかと思っています。映画は映画♡。妄想は妄想ですので(^Д^)。

我が家の受験生っぽくない受験生も さすがにお尻に火がついてきたらしく、、、って 遅いわヽ(≧Д≦)ノ!。それはそれは呆れる所業に口あんぐりなんですが、それでも親としてサポート出来ることはする覚悟ではいるので、それなりにバタバタし始めました(やっと)。
とりあえず体調管理だけはしっかりしたいと思います。

連載で更新です。キリがいいところまで と書いていたら長くなってしまいまして、2回に分けてみました。なので次回はそんなにあいだ開けずに更新に来られるかな と思っています。とんでも設定ですが、もう少しお付き合い下さい。
(大丈夫ですかね?)
↓こちらから どうぞ


【More】

「堂上、2人」9


道場を飛び出して走り たどりついた先で胸を押さえた。心臓がドキドキして普段より息が上がっている。
壁を背にして息を整える。道着を来たままでは遠くに行けないと思って 自然と足が向いたのは倉庫の裏。
「投げちゃった・・・」
がむしゃらとはいえ、まさかの1本だった。
郁は頭をかかえたが、今更この状況下で、実は王子様の正体を知りました なんてことは言えない。今でこそ尊敬しているが、散々いがみ合ってやらかした後だ。誰だかわからないからこその浮かれた憧れを本人にぶちまけ、しかも比べるようなことを言って────傷つけた。あの時の堂上の引っ張たかれたような表情の意味を考えると居た堪れない。
こんな自分を堂上がよく思ってるはずがない。あまつさえその事が・・・辛いなんて。

「あ、いた。」
飛び込んで来たのは、若堂上だ。
整えたと思った郁の鼓動が飛び跳ねる。正直 まだ混乱の収まらぬ頭のままでは会いたくなかった。どちらの堂上にも。
郁は咄嗟に壁を向いて表情を隠す。
「笠原一士、いったいどうしたんだ。俺が怪我でもさせたか?。それとも・・・」
郁に近寄り肩に手を掛けた。ぐいっと肩を回して顔を覗き込めば、あさっての方向に視線は外してはいるものの 頬を赤らめ恥じらいを見せる女の表情が目の前に。若堂上は息をのんだ。
この世界は若堂上にとっては確証のない未来。その身の存在は危ういもので、二正の堂上の言うように詮索や関わりは持つべきものではないというのは頭では理解している。

それでも、、、今湧き上がる感情は本物で現実だ。

「かさは・・・」
「あ、えと、違うの。じゃなくて、その・・・あんま、見ないで────」
郁は腕全体で表情を遮る。
あの時助けてくれた王子様。先日頭に乗せられた手は 確かにあの時の手と同じだった。会いたくて追いかけてきた憧れの象徴が目の前にいるという有り得ない状況に、どう反応したらいいのかわからない

会えたら何を伝えたかったんだっけ?どうしたいんだっけ?。あれだけシミュレーションしていたはずなのに何も答えが出て来ない。
若堂上がそんな郁を腕ごと抱え込むようにして引き寄せたのは、何の躊躇もない自然な行動としてだ。
「そんな顔されると、堪らなくなるな。」
いろんな理屈はクソ喰らえ。思うままに抱きしめれば、不思議とそれまであやふやだった自分の存在がハッキリと感じられるようだった。満たされる胸の内を自覚して 、若堂上はますます力をこめる。
「え、ちょっと、待って・・・」
郁の頭はパンク寸前だ。この人は教官であって教官でなくて、王子様であって王子様で────
「ダメなの。離して。」
顔を隠していた手を若堂上の胸に当てて ぐっと押しやる。
「どうして。俺は、」
「違う。あなたは知らないから。」
「何を?」
そう訊いてくる若堂上には何も言えない。この先若堂上が犯す見計らいのことなど。そしてあの辛く厳しい査問にかけられることも。
────あたしのせいで。その上こんなあたしの王子様に勝手にされるなんて。
まっすぐ見つめてくる若堂上の目が眩しい。
────ごめんなさいと謝ればいい?。でも高校生だったあたしは あなたに会えたことを微塵も後悔なんてしなかった。
そして王子様が堂上教官と知った今、心に占める思いは憧れの王子様に会えて嬉しいというよりも、堂上教官に嫌われているかもという心配ばかりが広がっている。
「出来が悪くて迷惑ばかりかけちゃうし、ひどいこと言うし、こんなあたしじゃ・・・」
王子様の話をした時、堂上はあからさまに嫌そうな顔をしていた。それはきっと こんな自分の王子様になってしまったことが嫌なんだ、という結論に至り 胸に刺さる。
「そんなことない。何にでも真っ直ぐで、一生懸命で、そんなあんたは可愛いよ。」
真剣な若堂上の言葉に、ばくん と郁の鼓動が跳ねた。
「ちょ、まさかっ。その顔で言われるのはありえないから。」
「その顔って・・・俺は俺だろ。だいたい あんな頼りない男には俺はならない。俺ならあんたを何からでも守ってやるし、大事にできる。文句ばかりで部下を突き放して責任を負うこともしないあんな奴!」
「教官はそんな人じゃない!。文句を言うのはあたしがみそっかすなだけで、突き放されたことなんてないし、逆にいつだって責任感ある・・・」
そうだ。教官はいつだって────入隊してからずっとあたしがまずいことなった時は必ず来てくれた。図書隠蔽の嫌疑だって真っ先に否定してくれたし、手塚慧に揺さぶられていた時に有無を言わさず連れ出してくれたのは堂上だった。
「・・・正義の味方。」
その人間性は疑いようがなく、尊敬するべき人物だ。
「たとえ嫌ってる部下であっても放り出すような人じゃないの。」
「嫌う?。アイツがあんたのことをか?」
郁の喉が くうぅと鳴る。その泣きそうな顔の郁の肩に、思わず力を込める。
「じゃあ、俺を見ろよ!。あんたを傷つけるようなことは絶対しない。俺ならどの世界にいたって!」
郁は首を大きく横に振った。
「ダメ。あたしがあなたを傷つける。たとえ元に戻っても、あなたの世界のあたしが────それだけのことをさせてしまう。だから・・・」
郁の涙がこぼれる。
「言えないけど・・・言えないけど・・・だからそんな事を言ってもらえる資格はないの。きっとあなただってあたしのこと────」
「!?」

これから自分に何かが起こるのか?。
暫く沈黙の時間が流れた。

「たとえ」
若堂上は力強い声で、俯く郁に言った。
「この先何が起ころうと、俺は俺の意思で行動する。」
その静かな宣言に、郁は視線を合わせた。
「俺が行動することは、全部自分の意思だということだ。その結果起こることは誰のせいでもない。自分で決めて、自分の責任で判断することに 俺は絶対後悔はしない!。」
まるで誰かに言い聞かせるようだった。
郁はその若堂上の言葉を 目を閉じて心の中で反芻する。
あの時の王子様は、規則違反と分かっていながらも助けてくれた。その後の処分のことまで承知してのことだろう。
声高らかに響いた見計らいの宣言が蘇る。記憶にある精悍な背中には、強い意志が溢れていた。
────あたしも自分の意志でここに来たんだ。自分の決めた事を否定したくない。
郁は背筋を伸ばして前を向いた。
たとえ嫌われていようが 今を見る、そう決めて。
目の前には6年前の堂上。
「過去の自分を見るって、どんな気持ちなのかな?」
改めて見る王子様は、意思も強そうだし、いろいろやらかしていそうな若さがある。今の堂上にとっては、恥ずかしい とか 出来れば直視したくない存在なんだろうなと、くすりと笑える。
「・・・笠原一士、あんたさあ、」
「ん?」
「隙だらけ。」
下からずいっと顔を寄せてくる若堂上に、郁は仰け反った。顔が近くて、若堂上のふっと笑った吐息がかかる。
「決めた。」
「な、何を。」
郁は1歩離れて頬を赤く染めた顔を逸らした。その横顔を若堂上は見つめて宣言するように言った。
「俺はこれから過去の時間に戻れるかどうかで悶々とするより、この未来で自分の意思を持って行動する。」
郁は意味を図りかねてキョトンと若堂上を正面から見た。
「覚悟、しといてもらおうかな。」
不敵な笑みは、今の堂上とまるで同じ。
「え、ちょ、鬼教官が2人とか?」
驚愕する郁に若堂上は苦笑する。

二正になった自分がどう思っているかは知らないが、自身は1人の女性として見た郁に惹かれているらしい。過去の世界のことを考えなければ今は思う通りに行動すればいいと若堂上は吹っ切った。

12:29  |  図書戦  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2015年11月30日(月) 18:28 |  | コメント編集

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