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2015'12.25 (Fri)

「ほろ酔い加減」

こんにちは。
MerryX'mas、ですね。
子供が大きくなってくると、家族揃っての行事が難しくなってきます。当たり前にしていたパーティーも 実はほんの数年間しか出来ないんですね。だからこそなるべく欠かさないようにしたいです。
とかいいつつ、実際面倒で 今年のクリスマスツリーは前日に出したというww。あかん、まだチビ主役に遊ばねば!。小4チビにはまだまだサンタさんに付き合ってもらって。友達から何と聞いてこようが、我が家のルールは小学生まではサンタさんがやってくることになっています。うん。
しかし昨夜は枕元に置いた時にチビがムクリと起きちゃいまして(絶対確認した!)。しまった!と思ったのですが、朝は普通に起きてきました。別にサンタの話に触れることなく、プレゼントのゲームソフトを開け、淡々と・・・。追求しない方がいいと思ったのか、単に寝ぼけただけか。
墓穴だけは掘らないよう、母ちゃんもスルーな方向でいます(^^;

更新です。もっと早くにアップする予定が、やはりなかなか進められず。時期をやや逸してしまいましたが、なんとか( ̄∇ ̄*)ゞ。
今年最後のお話になりそうです。
上官・部下。県展後っぽく←

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【More】

「ほろ酔い加減」


「飲んでるか〜。」
「うえぇ~~~い。」
特殊部隊の飲み会は いつもの場所のいつもの店。屈強な男達が座敷を占拠して飲んで騒ぐ。
何かと理由をつけて集まるのだが、今日は第1回タスク忘年会だ。後日第2回第3回へと続くのは例年のことだから、敢えて突っ込むことはしない。この先堂上班の業務は過密スケジュールとなる為、ほぼ強制的に今回の出席を命じられた形だ。

「笠原〜飲んでるか~。」
進藤が離れた席から堂上班が座る入口付近に声をかけた。
「ダメです。明日は子供達と接することになってるんですからね、余分に飲ませないで下さいよ!。」
業務部から柴崎を経由して、『クリスマス前ミニイベント・読み聞かせ会』の朗読要員として、郁に協力要請があった。明日の午前中は手塚と共に警備兼ねての参加が決まっている。
「笠原、今日は一杯にしとけよ。酒の匂いプンプンさせるわけにいかないんだからな。」
堂上は店員が運んで来た料理を奥のテーブルに送りつつ、向かいの席に座る郁に釘をさした。郁は酒に弱いくせに見た目で選ぶものだから、堂上が気付いた時にはすっかり出来上がっている事が多い。何より堂上の目を盗んで口当たりの良いカクテルを、度数関係なく無責任に勧めては飲ませる先輩隊員達が多いのは困りものだ。上官だからと、寝落ちされた郁を毎回寮まで背負って運ばされていてはたまったもんじゃない。
「大丈夫ですよ。この後 柴崎に部屋で打ち合わせがあるから待ってるって言われてますし、早めに上がらせてもらいます。だから────」
料理を取り分けた皿を手に、にこりと微笑んだ。
「教官は二次会に出てくださいね。」
パクリと唐揚げを美味しそうに頬張った。
郁とて気にはしている。飲み会翌日に目が覚めるといつの間にか寮のベッドの上で、酔いつぶれた郁を堂上が運んで来てくれたのだと 柴崎に面白おかしく聞かされる。その度に申し訳なく思うのだ。酒好きの堂上が二次会に参加出来ないのは明らかに部下の不始末のせい。
柴崎との約束もあるが、今日位はいつも世話になっている上官に ゆっくりと美味しいお酒を楽しんでもらいたいと思っている。これは、部下からのお礼。
郁はちびりと薄めのサワーを舐めた。
「・・・あぁ。」
そう言われると、それはそれで。堂上は最初に乾杯したカシスソーダを大切そうに抱えている郁に、視線を落とした。
アルコールに弱くはあるが、賑やかな酒の席は好きな郁だ。この店はフルーティーで甘い酒も多く取り揃えており、それを楽しみにしているのも知っている。
チラリと横にあるチーズの盛り合わせを郁の前に押しやる。
「そうしてもらえるのなら有難いな。」
堂上はぐいっとビールを飲み干して日本酒を追加した。

別に酒を飲むなとは言っていない。適度に上手に付き合うならば大いに結構。
空腹を避け 飲む前にしっかり食べろ。チーズや今食べている唐揚げで油をとっておけば アルコールの吸収も抑えられる。酒は水と交互に飲め。口当たりがいいからと呷るように飲むな。膝詰め説教したくなるところをぐっと堪える。
「酒っていうものは・・・」なんて、如何にもオッサンが若い女の子をナンパしているようなシチュエーションを見せて 他の隊員からヘンに勘繰られるのも癪だ。

だから、たまには心ゆくまで飲むとしよう。


暫くしてから 郁は腕時計に視線を落とした。
「あ、そろそろ帰りますね。」
郁はテーブルの下に押し込んでおいたバッグを引っ張り出した。
「笠原~もう帰るのか〜?。おーい、堂上、帰るってよ~。」
進藤が運ばれてきた新しい酒を手にしながら堂上に声をかけた。
「いえ、大丈夫です。そんなに飲んでないし、まだ時間も早いので1人で帰れます。」
壁のハンガーに掛けてあるコートを取ろうと立ち上がった郁がふらりと揺れたように見えた。
郁が飲んだのは最初の一杯だけ。追加は烏龍茶だったのは確認している。意識はしっかりしているし、足取りは まあ、心配するほどではなさそうだ。堂上はツマミに箸をつける。
寂しい、だなんて思い過ごしだからと。
「ホントに大丈夫ですからね。教官はゆっくり飲んでて下さい。」
にっこり笑って周りにも挨拶して出口に向かう郁を簡単に見送ろうとチラリと顔を見た。
「ん。────っ!?。」
腰が浮きかけたが ぐっと抑える。────なんだあの顔は。

「あーあ、姫さん1人で帰って行ったぜ~。」
「今 外は酔っ払いが多いんだよな~。」
「ほろ酔いの女の子なんて 格好の餌食だぞぉ~。」
進藤が堂上の隣りで飲んでいる小牧に声をかけた。
堂上はピクリとしたが、枝豆の皿に手を伸ばし 口に放り込んで言った。
「あの程度を飲んだだけですよ。酔っ払いのひとりや2人、タスクの人間なら対処出来るでしょう。」
さも平然としながらも気にはなる。────たかが薄いアルコール一杯如きで ほんのり頬を赤らめた顔は、血色が良くなった分、頬だけではなく 口紅と違った自然な赤さの唇が目に付いた。あんな顔を晒して歩くのかと思うと、クッと眉間に皺がよる。
そこに手塚がトイレから戻ってきた。
「笠原、帰ったんですね。」
顔だけ店の出口に向けて言った。
「そうさ~、女の子1人でかえしちゃったんだよな~。」
進藤がわざと堂上に聞こえるように声をあげると、手塚が腰をおろしながら呟いた。
「そこのカウンター席の男3人が、今 笠原の後を追うようにして店を出たように見えたんですが・・・・・・ま、アイツなら大丈夫ですよね。」
「え、大丈夫じゃないんじゃないの?。さっき僅かだけどふらついて見えたんだけど・・・ね、堂上。」
いきなり小牧に振られて 堂上は酒にむせた。
「ゲホ・・・い、いや、気付かなかったな。」
ウソだ。しっかり見ていた。
「ほろ酔いの女の子は色っぽく見えるんだよな~。」
あの潤んだ目で振り向かれたら。しかもヤツは不用意にも見詰め返したり───するアホウだ。
「途中にある公園の外灯って、最近 切れかかってたんじゃなかったっけ。」
スッと堂上の背筋が冷えた。熱燗でも注文しようか?
「しゃーねぇーな。ここは年長者である俺が責任を持って・・・」
「えー、進藤一正、顔がやらしい。」
しかし、タン とグラスを置いて先に立ち上がったのは堂上だ。
「────・・・、」
「どしたー、堂上。」
にやにや顔の進藤が コートを手にした堂上を見上げた。
堂上は大きなため息をついてみせる。
「他班の手を煩わせるわけにもいきませんから・・・」
そそくさと部屋を出る堂上ににやにや顔を向けるのは進藤だけではない。
仕方が無い、というように のっそり座敷を出て、ため息混じりに店を後にし、寮に向かう最初の角を曲がったところで────歩くスピードをあげた。

見送ったタスクメンバーのいる座敷は爆笑に包まれた。
「相変わらず分っかりやすい奴だなぁ。」
「あんなソワソワするなら 最初から送ってけばいいのに。」
「どうせなら送り狼になる根性を見せて欲しいもんだな。」
「「無理無理無理無理」」
急な場の盛り上がりに戸惑っている手塚に、小牧が言った。
「柴崎さんに、笠原さんはちょっと遅れる ってメール入れておいて。」
「・・・はい。」
戸惑いながらもメール画面を立ち上げた手塚のグラスにワインを注ぐ。
「まあまあまあ、いいからいいから。」
『どうして』とは言わなくなった手塚に 小牧はクスリと笑った。


「どこ行った。」
居酒屋から寮までの道のりは 暫く賑やかな店舗が続く。堂上はキョロキョロと辺りをうかがいながら足早に郁の姿を探した。女のひとり歩きなんてさせるべきではない。時間が早くても どんどん日が短くなる時期だ。街灯の届かない暗い場所なんていくらでもある。
路地を覗きながらもなかなか見つけられないでいると、大通りを抜けて一気に人影が疎らになり、不安が膨らんでくる。
と、前方に見慣れた後ろ姿。男3人が取り囲むように立って話し掛けているのを見て、体がカッと熱くなった。

「郁!」
咄嗟に名前を呼ぶと、駆けつけて男達の間から郁の手首を掴んで引っ張り出した。そのまま自分の背後に回し込むと、男達と対峙する。
「何だよ。」
1番体格のいい男が不服そうな目で睨んでくるのを 堂上は更に睨み返した。
「コイツは俺としか飲まないことになってるんでね。」
堂上に下から上目遣いで睨まれると凄味が増す。物言わぬままのオーラから威嚇と攻撃心をストレートに受け、怯んだ男達は舌打ちをして離れていった。
「どうしたんですか 教官。今日は二次会までゆっくり飲むんじゃ・・・」
「アホか貴様!。ふらふら歩いてるからあんな奴らに捕まるんだ!」
掴んでいた郁の手首を振り放す。
「え?。ただ道を聞かれただけですよ?。ちょっと裏手で説明しにくい居酒屋だったんで 途中まで案内しようかと────」
「アホウ!ナンパの常套手段だろが!。」
「は?まさか~。あたしなんか誘ったって無駄ですもん。何かあったらコレですし。」
ブンっと拳を振り上げた。
堂上は目の前に突き出された郁の手首を無言で掴み、ぐっと引き寄せた。
「ひゃっ。」
ふらりとよろけて堂上の懐に倒れ込む。
「わ、ちょっ!」
厚い胸に手をついて押し退けようとするが、顔色ひとつ変えない堂上はびくともしない。思ったより力の入らない事に郁自身が驚いた。
「この状態で野放しにした方が悪い、な。」
耳元で囁かれる形になり、郁の心臓が跳ね、酔ってる以上に頬を赤らめた。
「いえ、あの・・・・・・」
堂上は郁を解放すると、体勢を整えさせ、さっさと歩き出した。
「すみません。またあたしのせいで、教官 二次会行けなくなっちゃって・・・」
慌てて追いつくと、堂上に謝った。また迷惑をかけてしまった、と落ち込む。
「あ、今から戻っても二次会に間に合────」
「今更戻れんわ。」
大体想像がつく。どうせ面白おかしく言われてるのだろう。
しゅんとする郁に堂上は言った。
「じゃ、飲み直しとするか。」
「え?」
「お前もほとんど飲んでないだろ。俺としか飲まないことになってるってことにしたんだし、今日ぐらいは付き合ってやる。」
さっきの男達に言ったことは有効なのか。
「でも。」
「柴崎には後でわびを入れる。潰さんから安心しろ。」
「ふ、2人きりで忘年会ですか?」
郁の俯いた顔が少し上がる。
「忘年会はさっきやってきたからな。前倒しのクリスマスでもいいか。」
パッと郁は顔を上げて堂上を見た。暗がりで横を向いているからよく見えないが、からかっているわけではなさそうだ。
────教官と2人きりでクリスマス?
郁の心はふわりと暖かく 軽くなった。
しかし突然降って湧いたような誘いに返事が出来ず、立ちつくしていると、堂上の不機嫌な声がしてきた。
「なんだ、嫌なら別に・・・」
「いえ!行きます行きます!。」
断る理由なんてない。
「教官、お酒のイロハを教えてくださいね!」
「アホウ、妙な言い方するな!」
ぺしりと頭を叩いて店に向かう。

イルミネーションで飾られた道を歩く2人は やがて光に溶けていった。


14:43  |  図書戦  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2015年12月26日(土) 00:36 |  | コメント編集

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