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2016'02.03 (Wed)

「月を仰ぐ」1(リク7)

おはようございます。お久しぶりです。
試験前に予備校選んでるような受験生を持つ母、英香です・・・。ちょっとぉ(´д⊂)。
「だから言ったじゃない。」
「や、オレ、(勉強しないで遊んだのを)反省はしてるけど後悔してないし。」(←コレにはドキっとしたww)
「お前は反省も後悔もしろよ」
な・・・。

インフルエンザが猛威を振るっている最中ですね。予防接種したことがなくてもここ数年我が家は無事で過ごしています。今年も何とか回避したいと思っていますが・・・。

リクエストで更新です。前編後編(場合によっては中編)になります。時期は上官・部下。リク内容は最後に、ですが、題名でお察し出来るかもです。
(連載抱え込んでる気がしますが、書けるものから ということで(-人-))

↓こちらから どうぞ

【More】

「月を仰ぐ」1(リク7)


当麻が日野の稲嶺邸に移って数日が経過した。
夕方の稲嶺の帰宅に合わせて警護の交代をする堂上班のシフトも軌道に乗ってきた。
警護に抜かりはないが、日中当麻が書斎に籠って執筆している間、時間の余裕がある時は通いの家政婦であるフクさんの手伝いもする。フクさんは難しい事件内容には興味が薄いのか動じず、ただ若い労働力を得た事を単純に喜んでいた。

稲嶺邸の庭は洋風のガーデニングになっている。縁側とはバリアフリーで繋がっており、陽気が良くなれば外でお茶ができるよう 洒落たガーデンテーブルのセットが設置してある。堂上はそのイスの修理を依頼され、ガレージにある工具を取りに行った。
稲嶺が小牧・手塚組と戻るのは6時頃。それまでガレージ内には車はない。シャッターの閉まった中は暗い為 電気をつけた。
ガレージの中は、昔使っていたであろう色々な道具の保管庫も兼ねており、ガーデニング用品や交換用のタイヤ等も整理されて置かれている。車の搬入時にある程度の配置は頭に入れてあるので、工具類は直ぐに取り出せた。夕方には当麻が使う書斎のヒーターに灯油を入れねばならない。そんな段取りを頭に、工具箱を手にして庭に戻った。

相変わらずフクさんは郁に高いところの用事を頼む。キッチンの吊戸棚の中の不要な物を処分したいそうだ。
「そこは何年も手をつけていなくてねぇ、助かるわぁ。」
稲嶺邸も随分さっぱりしてきている。小牧や手塚もアレコレ手伝っているとは聞いているが、キッチンは女性である郁の方が何かと頼みやすいらしい。郁が奥の方に仕舞い込んだままの調理器具等をテーブルの上に並べていくと、フクさんは必要なものとそうでないものを吟味する。どこの家庭も不要品の倉庫なんだな、と苦笑いだ。
郁はついでに埃を拭く為にバケツを片手に脚立に登った。
物を出し切って空になった棚を拭き上げ 脚立から降りようとした郁が、足を踏み外してバランスを崩した。
「ひゃっ!」
バシャンガラガラと音をたててバケツの水がひっくり返り、郁も強かに汚れた水をかぶってしまった。
「あらあらあら」
「やだ、すみません!」
バケツ半分程入った水がぶちまけられ、郁は慌てて雑巾に水を吸わせて立て直したバケツに搾る事を繰り返す。フクさんはその間に近くにある予備の布巾を散らし、大判のタオルを持ってきて広げ、郁の肩にかけた。
「これだけ拭いてくれれば後は私がやっておくから、郁ちゃんは着替えていらっしゃいな。」
「あ、いえ、このくらい・・・っくしゅん」
「ほらほら、風邪でもひいてお仕事に支障が出ると困るんでしょ?。シャワーでしっかり温まってね。」
正直 濡れた髪や 襟元から入った水が背中を伝って気持ちが悪い。着替えはこの際昨日着てきた服で代用すればいいとして、郁は有り難くシャワーを借りる事にした。

ざっとタオルで濡れた服を拭き、持ち込んだ荷物から着替えを取りに居間へと向かった。あくまでも警備中だ。バディである堂上に事情を話さねばならない。いつ何が起きるかわからないからだ。
郁は着替えを手に堂上を探した。確か庭で椅子の修理をしているはずだ。しかし庭を覗いても堂上の姿がなく、縁側からテラスに出ても見当たらない。
季節は冬だ。冷たい風が濡れた髪を逆撫でると、郁の背筋がぶるりと震えた。
「ダメだ、ホントに風邪ひいちゃう。」
ここで体調を崩しでもしたらもっと迷惑を掛けてしまうかもしれない。手早く身支度し時間のロスなく済ませようと、郁はそのまま急いでシャワー室に飛び込んだ。。


脱衣場には空のカゴがあったので、その中に着替えの服を。その横に濡れた服を脱ぎ置いて浴室に入った。
冷たい浴室は寒い。少し熱めに温度を設定し、ガタガタ震えながらシャワーの湯が温まるのを待った。やがて湯気が浴室内に充満すると、郁は冷えた体を温めるべく頭から浴びた。汚れた水を被ったのだ。「お借りします」とシャンプーに手を伸ばした。
今 風呂は夕方の警備交代後に基地へ戻ってから入ることになっている。帰寮して消灯までの2時間で食事と風呂などを済ませる為、最近はゆっくり湯船に浸かる時間は少ない。それでも広い湯船で手足を伸ばすのは、1日の疲れを癒す至福の時。緊張感ある仕事の合間、唯一リラックスできる空間だ。ぼーと天井を眺めながら体を沈めていると楽しげに話す声が響いて聞こえる。それはその日あった極日常の会話であったり、恋の話だったり。そんな彼女らの背中に目をやると、白い肌にシャワーの飛沫が弾けて飛ぶのが眩しい。
「あたしなんか生キズ絶えないもんね〜。それに・・・」


突然声が掛けられた。
「郁ちゃん、このタオル使ってね~。」
一瞬声が出ないほど驚いた。
「あ、は、はい。有難うございます!。」
そうか、鍵しなかったんだ。しかしスポーツタオル1枚しか持ってきていないので貸してもらえると有難い。
充分温まったところで郁は体を拭き 脱衣場に出た。
「あれ?」
着替えを入れておいたカゴがない。濡れた服も見当たらない。
「やだ、もしかして・・・」
フクさんが気を利かせて全部を洗濯してしまったら着るものがない。狼狽えていると廊下から足音が聞こえてきた。さすがにフクさんも気が付いて戻って来てくれたのだろう。
郁は慌ててフクさんが置いていってくれたバスタオルを体に巻きつけ、顔だけ出そうと扉を開けた。
しかしカチャリと開けた途端、タオルの巻きがゆるかったのかハラリと外れてしまったのだ。
「きゃ!」
必死で落ちていくバスタオルを掴み、胸元を隠しながら最速で戸を閉めた。と同時にノブの上にある鍵のサムターンを回し────ドアに張り付いたままの郁の心臓はバクバクと音を響かせた。

トントン

戸をノックされ、郁の心臓は口から飛び出そうに跳ねた。
「郁ちゃん?」
フクさんの声だ。
「ごめんなさいね。私、郁ちゃんのお洋服 全部持って出ちゃったみたいで。」
「・・・あ、は、・・・」
喉が張り付いたようで声にならなかった。バスタオルを今度はきっちり巻き直し、鍵を外してそっと戸を開けた。
戸の外にはケロリとした顔のフクさんが カゴを持って立っていた。
「濡れた服だけ洗おうかと思ったんだけど、こちらのは乾いてるし、お着替え用だったのね。悪かったわ〜。」
「いえ~、ははははは・・・」
郁は恐る恐るフクさんの後方に目をやった。背後・廊下に人影はない。
「あのー、今、ここに・・・」
「なあに?」
にこりと首を傾げるフクさんに不自然な様子はない。
「あ、いえ───あの、もうすぐ交代の時間ですし、濡れた服はそのまま持って帰りますので洗濯は結構です。」
「あらぁ、そおなの?。」
夕飯の準備にかかるフクさんは素直に引き下がり、郁は服を受け取って手早く身につけた。肩は冷たく冷えてしまっていたが、実は体温は上がりっ放しだ。まだ濡れている髪をガシガシとタオルで拭きながらも、心臓は忙しなく 手は小刻みに震える。
何故なら。
最初に戸を開けた際、廊下に居たのはフクさんではなかった気がするのだ。
戸を閉めながらタオルが落ちていくのを慌てて上げるのに精一杯で 記憶は定かではないのだが、視界の端に入った影は────いや、まさか。
ふるふると頭を振るが体内の血という血が沸騰するような感覚が抜けきらない。だが、とにかく早く任務に戻らねば。戻る?。どこに。
混乱しながらも髪を乾かして居間に行き、コソコソとカバンの中に服を押し込んだ。

「稲嶺顧問が戻られたぞ。」
「ぎゃぁーーー」
思わず声が出た。振り向かなくても分かる、この声は堂上だ。
「なんて声出しやがる。」
意を決して振り向けば、カートリッジタンクを手にした堂上が立っていた。書斎のヒーターに灯油を追加するところなのだろう。
「あ、あ、す、すみません、あたしの仕事なのに。」
「別にいい。ミーティング始めるぞ。」
さっさと書斎に入っていく堂上の背中を緊張しながら目で追った郁は、その姿が見えなくなると肩の力を抜いた。
普段通りの堂上だ。
「気の・・・せい、だったのかな・・・。でも。」
足音が聞こえたのも、目の端に入った影も────。
カバンを胸にギュッと抱えて、郁は唇を噛んだ。

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 | 2016年02月04日(木) 17:04 |  | コメント編集

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