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2016'04.10 (Sun)

「月を仰ぐ」3(リク7)

こんにちは。春らしくなりました。桜も満開╰(*´︶`*)╯から あっという間に桜吹雪になっています。せっかくの満開時期に雨風強くて残念でしたが、山手の方は下界より少し長生きなようです。

さてさて、1人減った我が家の生活も何とかなっています。何とかなってない気のする長男からの時々びっくりするような内容のLINEに振り回されつつ( ̄▽ ̄;)。
長男の部屋は次男が使うことになり、初日は独りでベッド寝したんですが────今のところ舞い戻ってきておりますwww。産まれてこの方ずっと添い寝だったチビ。「今日から」「やっぱり1日おき」「うーん1週間したら」←今ここ。さて、そろそろ1週間経ちましたがね(^Д^)ドウナルコトヤラ。

さて、ここまで更新してないとかえって更新しにくい気もしますが続きです(結局する)。お返事もお返し出来ていませんが、先日久しぶりにコメントいただけました。しかも「続きを!」との嬉しい催促です。反応頂けてないとモチベーション上げるのが難しく、つい遠のいておりました。今はpixivが主流でこんな辺境は需要ないのかなぁと ちょっと萎えつつあったので、その一言が嬉しかったです。そしていつも励まして頂いている常連さんもホントありがとうございます。
自己満足と言いつつも つい気になるのは正直なところなので、引き続き楽しんで書いていけたらなと思います。

で、コソっと修正をば。
「月を仰ぐ」の前中後編をナンバーに変えました。いや、頭の中ではあと5行くらい(?)なのにちょっと1話のバランスが悪くなってきたので( ̄∇ ̄*)ゞ。リクエスト内容は最後になんですが、一応index2No.57の「月に誓う」からの派生された話になっています。
ソレを踏まえて頂いて。

↓こちらから どうぞ


【More】

「月を仰ぐ」3(リク7)


郁はぎゅっと両腕で自分を抱え込むと、ダッシュで寮の自室に戻った。
(見たんだ見たんだ見たんだ見たんだ)
ベッドにダイブしてうつ伏せ、今度は枕にしがみつく。
やっぱりあの時 堂上がいたのだ。バスタオルを巻き付けた姿で扉を開けた時に見たと思ったシルエットは気のせいじゃなかったと確信した。
ハラリと落ちていった光景が思い出される。あれが堂上の目にもバッチリ写ったはず。
声にならない叫び声を枕に顔を押し付けてぶつけてみるが、羞恥に身体が震えるのは収まらない。

「あら、お帰りなさい。」
心臓が口から飛び出るかと思うほどびっくりしたが、声の主は当然同室の柴崎だ。風呂上りのスウェット姿でも艶めかしい。
「お疲れ様。早く食事とお風呂済ませちゃいなさいよ。」
濡れた長い髪をくるりと巻いてクリップでアップにしたままで鏡台の前に座った柴崎は、入念なスキンケアを始めた。
そんな後ろ姿を郁はそっと枕との隙間から盗み見た。襟ぐりの広めなスウェットから伸びる華奢なうなじに見とれる。柴崎の女性らしい肢体は衣服の上からも伺え、女の郁から見てもうっとりするくらいだ。それに引きかえ────

「どうしたの?早くしないと食堂しまっちゃうわよ。」
鏡越しに郁に話しかける柴崎は怪訝な顔をした。
郁は枕を抱きかかえたまま起き上がったものの、顔をあげられないでいた。
「・・・食欲ないから部屋にあるもので済ます。お風呂も────入ってきたからいい。」
今食堂や風呂場に行って 堂上とかち合うにはバツが悪過ぎる。
「ふーん・・・あ、そうそう。」
郁の挙動不審は今に始まった事ではない。聞き出そうとするのはいつだって出来るとして、先に情報を伝える事にした柴崎は、フェイスクリームを塗り込むと郁に向き合った。
「最近風呂場で覗きの報告があるのよ。」
「へ?覗き?」
郁は頓狂な声を出した。
「このところ館内の警備強化はされてるんだけど、この敷地内でこんな噂が出るだなんてね。まだハッキリした証拠とかはないんだけど、窓の外で音がしたとか気配があったとか複数の声が上がってんのよ。あんたも入浴中は注意しておいた方がいいわよ。」
そう言ってから頬杖をついた。
「ま、笠原に何かあろうものならあの人が黙っちゃいないだろうけどぉ?。」
痴漢の囮捜査で男性恐怖症になった郁を堂上は殊更気にかけた。郁自身ではどうしようもないトラウマを抱えたあの時期に、堂上の存在が無二のモノであったのは間違いない。
どう克服させたかはわからないが 今ならもっと堂々と守るだろうと思うと、柴崎はニヤニヤと口元を緩ませた。2人手を繋いで基地に現れた時のように。
「え、う・・・いや・・・。」
誰かに覗かれたんじゃなくて本人に見せちゃったんだけど。
「心配しなさんな。寮側で対策するって話だし、今は当麻先生の警護に集中していればいいのよ。」
女性のトラウマは いつどんな形で復活するか分からない。事前に郁にはこの件には関わらないでいいようにと話はついている。勿論既に情報を得ていた過保護な男によって釘を刺されているのだ。
郁の曇った表情を覗き魔に対する不快感からくるものと思った柴崎は手早く話を畳むと、疲れた身体を早く休めるよう郁を促した。

郁は布団に潜り込んだ。
囮捜査によって思っていた以上にダメージを受け、あんなに安心感を得ていた堂上の手でさえ受け付けなくなった事に郁自身が混乱した。そんな迷惑をかけ使い物にならなくなった部下を堂上は見捨てずにいてくれたのだ。それは恐怖症が消失して以降も。堂上の面倒見の良さは誰よりも感じている。
仕事では特別扱いはしない。でも、見守ってくれている。
好きだと自覚したからこそ、あんな事故のように見られたくなかった。
動じていなさそうだった堂上の顔を思い出す。
こんなペッタンコな裸を見たって────
「何とも思わなかったんだな・・・」
女として見てもらえていない、そう考え付くと 羞恥より惨めさに涙が滲んだ。



夜は回避出来ても仕事は休めない。
朝は約束通り寮の玄関で堂上と落ち合った。稲嶺を迎えに行かねばならないからだ。
いたたまれず目を合わせることは出来ない。口数少なく助手席でもややドア寄りに身体を寄せる態度を取らざるを得なかった。時折堂上の視線にヒリヒリと痛みを感じ、不自然に顔を背けて外の景色に没頭するべく必死になった。
堂上の方も不必要な会話はしない。無線から哨戒中のやり取りが雑音の中から聞こえてくるだけだった。

ある意味何事もなく朝の送迎が終わると庁舎へ戻る。堂上が何か声をかけてくる素振りを見せても 郁は殊更避けまくり、緊張の面持ちのまま隊長室へ。隊長代理の緒形への報告と打ち合わせの為だ。
ここ数日当麻周辺には動きがない。このまま警護を進めるとの引き継ぎが行われるだけのところだったが、進藤も入室してきて柴崎情報と同じ話題が出てきた。
「寮の件は外部からの侵入とは考えにくい。今余計なことで労力を使いたくないんだが、放っておくわけにもいかないからな。図書隊が大変な時に酔狂な奴がいるもんだ。」
小さな混乱が足元を崩しかねない。さっさと方を付けたいのは山々だ。
「いつ現れるかわからないからずっと張ってるわけにいかないしな。窓は鍵をかけることとして、それでもそんな兆候があれば警報器で知らせるよう手筈は整えてみたから、女子寮側でも徹底しておいてくれ。」
警報器が鳴ったら待機している者が外の現場に駆けつけることになっているらしい。本来寮の会議で決めることだが、特殊部隊には独身者が多く殆ど寮で生活をしているからこんな時に頼りにされるのは定番だ。
得てして覗かれた本人は身動き出来ない事が多い。女子寮内での防犯意識を高め 対処方法の徹底をすのが先決だ。
「笠原を風呂場に配置しておけばその場でお縄にしちゃうんじゃないか?」
進藤が何気に笑いながら放った言葉に堂上が噛み付いた。
「こういったことに笠原を使うことはしません。」
キッパリと却下した堂上の背中を郁は見つめた。

昨日からのマイナス思考は ひねくれた見方をしてしまう。
また足でまといになると思われてるんじゃないか。
1番は。
直接目にして、改めて女らしくないから餌になんてならないと判断したんじゃないか。
(見て損した、とか思ってるかも。)
ここまで思考が及ぶと、情けなくて悔しくなる。

「あたしが囮でも何でもします。女子寮の問題ですから、あたしがいる時はこちらで対処しますよ!。」
郁の頑なな声色に堂上は振り返ったが、郁は いうだけ言って隊長室から出て行ってしまった。
「!?笠原、何言って・・・」
顔色を変えた堂上はそのまま郁の後を追うように退室した。
いつもと違う様子の2人に、残された緒形と進藤は顔を見合わせ首を捻った。


「笠原!」
廊下に出て、図書館に向かおうとしていた郁の腕を掴んだ堂上の手は振り払われた。
「触らないで下さい。」
ハッと慌てて堂上は距離を置く。
「・・・当麻先生から頼まれている資料を用意してきます。」
郁はどういう態度を取ればいいのか分からない。強い拒否をし、とにかく別行動をしたくてさっさと業務に就きたかった。
「あ、ああ。頼む・・・」
郁の勢いに堂上は躊躇した。しかし先程の郁の言葉には引っ掛かりがある。改めて郁に向き合った。
「いいか、寮の件は関わらなくていいんだ。お前は余計なことをするな。」
「余計なこと?」
郁はカチンときた。
「あたしが捕まえようとすることが余計なことなんですか?あたしは使い物にならないんですか?」
「誰もそんな事は言ってない。こういうことはこちらに任せておけばいい。」
「こういうことって?」
じわりと目が潤む。
「どーせあたしなんかじゃ何も釣れないと思ってるんでしょ!」
「は?」
郁はキッと堂上を睨みつける。
「貧弱な体でスミマセンね!だから見られたって全然平気なんですよ!余計なことでも放っといて下さい!」
真っ赤になって喚き散らす郁に堂上は眉間のしわを増やした。
「違う、だからそういう事じゃない!お前は分かってない!」
「分かってますよ!教官だって見たんでしょ!?スミマセンね、ツマラナイモノ見せちゃって!もう忘れて下さい!」
走り出そうとした郁をここで逃がすわけにはいかない。触るなと言われたが構わず郁の手を掴んだ。
「待て!あの時は────」
「やめて下さい!!」
振り向いた郁の目には大粒の涙。
「もうあの話はしないでぇ・・・」
それまでの勢いとは逆の消え入りそうな声で泣き出した郁に、堂上は何も言えなくなった。掴んだ手を緩めると郁はスルリと離れ、そのまま足早に図書館の方へと去って行った。

「アホウ・・・」
郁を掴んだ手を握り締める。
「アホウは、オレだ。」
その拳を壁に打ち付けた。廊下に響いたその乾いた音に重ねて大きなため息が出た。


13:23  |  図書戦  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2016年04月11日(月) 14:53 |  | コメント編集

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 | 2016年04月12日(火) 02:15 |  | コメント編集

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