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2016'05.18 (Wed)

「サイレント」

こんばんは。今日も今日とてパソコンと格闘・・・の手前で引っかかっている英香です、がソレは置いといて(T^T)ナンテコッタイ マダヤッテルヨ。

更新していない間もご訪問ありがとうございます。そしてコメントして頂きありがとうございます。コメントされると 読んで貰えてるんだと嬉しくて嬉しくて。忘れられてるだろうな と書くことから遠ざかっていたのが、その一言で書く勇気を貰えます。重ねてありがとうございます。

さて、ここ数日ザーと雨が降って寒かったかと思えば今日は夏日。こちらの地域は暫く暑さが続くようです。でも朝晩というか家の中はまだ涼しかったりするのでしつこくコタツの住人をしているわけですが。

長男が家を出て 1ヶ月半。あんなにベタベタしてた母ちゃんですが、思ったほど長男ロスに陥らずに通常営業しております。ちょっと意外( º_º )。奴はGWに2泊帰って来ただけなんですが(ほぼ寝てた)、今はLINEもあって連絡手段が確立されてるし、割とセキュリティのしっかりした寮に入ってるしで、そんなに心配の必要ないかな と。今のところ。
職場からは家より近い長男宅にほぼ週1ペースで泊まりに行ってる父ちゃんのチェックも入ってますからね。←( ˘• ₃ • )ズルイ母チャンモ行キタイ

更新です。
が、季節はずれもいいとこです。
というのも、スマホのストレージ?とやらがいっぱいで、とにかくいろいろ削除してたんです。写真とかメールとか使ってないアプリとか。子供の写真消してて岡田君スクショの割合が多くなりました(笑)。
最近はメモ機能のところでお話ポチポチしてるんですが、ここも削除削除してたら書きかけが見つかりました。私はあまりストックとか持っていないんで珍しい(単に忘れてた)。若堂上がまだ序盤でずっと先になりそうなのでこちらをば。
あら、今日夏日でした? えーと、今の季節は忘れてください(^^;。
期間は恋人、なんと正月休館明け直後です。寒いんですよ〜。

↓こちらから どうぞ


【More】

「サイレント」


年末年始の休館明けした1月。世間は松の内で正月気分は僅かに残るが、特殊部隊の変則勤務も落ち着き日常が戻ってきた。
西から迫る低気圧や前線の雲が広がりつつあるようで、今日は外の日差しが乏しくヒンヤリとした寒さに包まれている。外出の足が鈍っているのか図書館の利用者は少なめだ。館内警備の堂上班の足音がいつもより響いて聞こえる。

「へぇ〜、堂上は外堀から埋めていくタイプか」
「違う。だから たまたま妹にバレてだな、」
「そのおかげで難なく両親に恋人を紹介できたんだろ? 案外スムーズに事が運んでるんじゃん」

『知ってます?小牧教官。堂上教官ったらもう御両親に笠原を引き合わせたんですってよ』
カウンターに寄った時に柴崎から声をかけられた。それはもう、ニヤニヤと目を細めてそこらのオバチャンの如く小牧に吹聴する。明らかに堂上へのからかいも兼ねて。
そんな柴崎に同調した小牧もからかいモードだ。
堂上から休暇明けにそれとなく話を聞いてはいたが、慌ただしくしていて細かなところまで報告されなかった。そもそも堂上は酒を入れなければ軽々しくそんな事は話さない。しかしここぞとばかりに突っ込んで探るにはいいチャンスだ。歩を緩める訳では無いが、それだけ平和な館内だった。

「笠原さん、緊張してただろうな。ガチガチになってる場面が想像できるよ」
突然彼氏の家に訪問するとなると恋愛初心者にはハードルが高かっただろう。それでも気に入られたんだ というのは2人の様子を見れば分かる。「笠原さん、いい子だもんね~」などと振れば堂上の仮面仏頂面は容易に剥がれるなんて事は、本人が気付いていないだけ。余計なことは言わん、とそっぽを向いていても耳が赤くなっているのは丸見えだ。
小牧の方は両家公認ということもあり、家族ぐるみで迎えた正月だった。振袖姿の毬江も堪能したし、互いに良い休暇が取れたようだ。
事が運ぶ。もういい歳なんだから 異性との付き合いが軽々しくはなく、何に向けて事を運ばせるかは暗黙の了解だ。今年は大きく何かが変わる、堂上の横顔を見ながらそんな期待をして小牧は頬を緩ませた。
「んな話はここでするなよ」
足音が響くということは声も響く。
警備に集中するぞ、と堂上は歩くスピードをあげた。


堂上と小牧は閲覧室に入って室内を見渡した。利用者の殆どが受験生とみられる学生だ。黙々と机に向かう彼等の邪魔をしない様に、不審者不審物の存在がないか確かめながら静かに移動する。

郁と手塚は児童室にいた。ガラスで仕切られた室内の様子は閲覧室からも窺える。
長い脚にすがりつくように遊ぶ男の子を困惑気味にだがなんとかあしらっている手塚の姿は、士長への昇任試験以降の努力が見て取れる。その隣で馴染みの母親と親しげに話す郁もすっかりベテラン館員の顔だ。絵本を手に穏やかに談笑している郁の柔らかな表情に吸い込まれるようにして────つい堂上の足が止まる。


小牧の言う通りだ。

具体的に描いた未来がある。
その為に必要な段階を 図らずも一歩踏み出せたのだから、癪ではあるが静佳に感謝だ。
正直家族には心配をかけた。入院中に泣きそうなほど怒って駆けつけて来た静佳の顔は記憶にあるが、そこに触れないでおくのが懸命だろう。「別に心配なんてしないわよ、慣れっこだもの」と言うに違いないのだから。
郁の存在は堂上家に絶大なる安堵をもたらした。歓迎されないはずはない。まあ、歓迎の仕方には問題あったのだが、コレも図らずも郁の本音を聞けたのだから────

「もっとキスがしたい」というささやかだが郁にしたら大胆な願い。

お前、知らないだろ。チャンスがあればいつだって、とこちらも思っているなんて。しかしタイミングが良くなければキスどころか抱き寄せることさえままならないのが寮暮らしだ。
しかも30も過ぎた男が欲しいものなんてものは。


そんな思考に陥っているといつの間にか郁の様子が変わっていた。手塚から離れてはしゃぎ始めた男の子を宥めながらも笑顔は絶やさない。そしてふと上げた視線が堂上と合うと更に輝きが増した。
ここは図書館。周りは受験生。
郁は感情のままに、しかし声を出すことはなくパクパクと何かをアピールする。
「なんだ?」
小牧もその様子に気付いたらしく、ガラス越しの郁に視線を移した。

あの満面の笑みは 初売りで買ったデジカメで写したベストショットの時のよう。全身全霊で好意を寄せてくる恋人の唇が、1音1音区切って伝えてくる言葉。
唇を丸く突き出し、次に口角を横に引いた。続く3音はまとめて動けば『~で す よ』と察しがついた。
最初の2音節が分からず堂上が眉を寄せると、郁は更に大袈裟に口を動かす。再び丸めた唇を突き出し、首でリズムをとるように弾ませると いっと口角を引く────と、それを見た堂上の顔が一気に赤らんだ。
アホか、なに小っ恥ずかしい事言いやがるんだ。
そんな2人を観察していた小牧が最大級にニヤけている。
小牧の視線に耐えられずに足早に児童室に移った堂上の形相に手塚はおののいたが、構わず郁は近付いてきた堂上に小声で弾むように伝えた。

「ゆ・き、ですよ、雪」

「・・・は?」

小突こうと振り上げた堂上の手が宙で止まった。
郁が指差す外を見れば、チラチラと雪が舞っている。冷えた地面には既にうっすらと覆い始めている様子もわかった。
「ホントだ」
状況を把握した堂上に郁は笑顔を向けた。
「積もりますかね」
ワクワクと期待している目は、隣ではしゃいでいる男の子と同じ輝きだ。

「ブッ」
後ろで小牧が口を押さえて吹き出した。
「ど 堂上、何て言ってると思ったんだよ」
間仕切りの戸はキッチリと閉めて、それでも相当抑えながら上戸に落ちている小牧に、堂上はバツの悪そうな顔をした。
「へ?どうしたんですか?」
2人の上官の対照的な表情を見比べて首を傾げる郁から、堂上は小牧を無理やり引っ張りながら離れた。
「警備中だぞ、警備中!遊ぶなよ」
言い捨てて足早に去る上官達を手塚はキョトンと見送ると、郁と顔を見合わせた。


「かわいいよ、堂上」
堅物の親友がわかり易くとらえ間違えたのが微笑ましい。
「愛しの唇が唱えた言葉が何なのかは、希望的観測が先立つものさ」
「うるさい」
「いやいや、あながち違ってはないだろうし」
「黙れ」
「いつもならそっちで間違いはなかっただろうね」
「・・・」
最後に小牧はイタズラっぽく眉を上げた。
「そっちとは 何でしょう」
「放っとけ」
それ以上は無視を決め込んだ堂上にクスクス笑うだけの小牧だが、実は身に覚えがある。

......................................................

「雪だよ」
と空を見上げた小牧に、毬江がほんのり頬を染めた。その様子を不思議に思っていると 微笑みながら毬江は言ったのだ。
「雪が降ってるのはわかるの。それを教えてくれているのも。でも小牧さんからは・・・小牧さんだから別の言葉を言って貰ったって思っちゃう」
背伸びをして、そっと小牧の唇に触れる。
「『好きだよ』って」
耳の聴こえない毬江は、同じ口の形を都合良く読みたくなるのだと言う。「雪」であるか「好き」であるか、その時の状況や文脈で判断するのだ。でも今は後者を選びたいと。
虚をつかれたが その手を取って微笑み返すと、小牧は毬江の耳元に囁いた。
「正解」
見つめ合い、肩を竦めて笑った毬江は可愛かった。


恋人の唇から読み取れる言葉は いつだって、甘い形。

21:18  |  図書戦  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2016年05月19日(木) 12:40 |  | コメント編集

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