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2016'07.07 (Thu)

「堂上、2人」11

こんにちは。
夏ですよ!夏!
しかし猛暑であったり 天気によっては涼し過ぎる朝だったりで、ちょっと体調が怪しかったりします。基本頑丈なんですが冷えには弱いので、スーパーの冷房とかには対策が必要ですよね、って つい忘れて出掛けるのが常です(^^;。バテないように注意しなければ。

さて、お仕事も子供の部活も落ち着いてきましたが、なかなか書くことのペースは戻って来ず。日々気にはしてても後回しになっています。小ネタはあれど形にせずにいたら、そんなこんなで夏休みに突入してしまうではないか!Σ(°■°)

我が家から歩いて数分のところにプールがあります。ここは夏休みだけ開放され 無料で遊べる便利なスポット。夏休み中は毎日のように通ってきました。
がしかし!老朽化が激しくとうとう今年から閉鎖となりまして、途方に暮れております。
もうね、プールの底はザラザラだし、虫溜りも酷くて 濾過装置は機能しているか甚だ疑わしいほどの水の色に「絶対に水を飲むな」状態で、多分都会の母ちゃんなら子供を入れる勇気が出ないであろう環境のプールだったんですが、なんたってタダで遊べる魅力には勝てず(^^;無いと困る。
でもチビは学校のプールには頑として行きたくない。だって自由に遊べないから。
てことで、もう この夏はどう過ごそうかと頭が痛いです。


更新です。若堂上、途中から放置していたのですっかり話の流れを忘れておりました。今回は教官の方は出てきませんが、彼は未だ悶々としていることでしょう←

↓こちらから どうぞ


【More】

「堂上、2人」11


「あ、じゃあココはもう何度か来てるんだ。」
郁が若堂上を連れて来た居酒屋は、基地からさほど遠くないところにある安くて旨い店の1つ。宴会をするほど大きな座敷はないが、手軽に飲み食いできる店だ。寮の先輩に教わって柴崎とは何度も足を運んでいる。
「好きなのどんどん頼んでね。注文は任せるよ」
ちょっとお姉さん風を吹かせてみるのも気持ちがいい。郁は若堂上にメニューを渡すとウーロン茶だけを注文した。


「ここの店長の作る角煮が好きでさ」
若堂上が真っ先に注文した角煮に箸を入れる。
「うんうん。一緒に入ってるこの煮玉子も味が染みてて絶品だよね。」
郁は堂上班の面々と一緒にこの店に来たことはないが、好みが同じと知って内心嬉しくなった。
「店長、髪が薄くなってた・・・やっぱりここは未来なんだな。」
店内に入ると 店長が大きな声で迎えてくれるのは同じだった。
ただ、今の自分が存在しない世界。代わりにつまらない男になった自分がいて、なんとなく気になるこの女性がいる世界。
若堂上は無邪気に煮玉子をほおばる郁に質問を投げかけた。
「笠原一士はどうして特殊部隊なんかに。図書隊は良化隊との抗争があって危険だから普通は図書館員志望だろ?防衛員を志願する女子なんて聞いたことがない。」
「や、あたしもまさかいきなり特殊部隊に任命されるとは思ってなかったんだ。元々第一志望が防衛員だっただけで・・・」
そもそも防衛員を志望したのは目の前の三正を追いかけてきたからだ とは言えるはずはなく目が泳ぐ。

「ふーん。ま、適性があるんだからいいんじゃないの?」
「へ?」
ぽん、と出た若堂上の言葉に呆けてしまった。『向いていない』とか『辞めちまえ』とまで言われた相手にこうもすんなり認められるとは。そして教官本人じゃないけど本人に言われた気に、ほんのちょっと錯覚される。
「な、何か変なこと言ったか?」
ぽっと頬を染めたような郁の表情に若堂上はドギマギした。郁のその表情は反則だ。
「きょ、教官に扱かれて やっと少しは使い物になってきたのかな、だといいな。」
郁の胸が早鐘を打つ。さっきもだが、どうやら若い堂上はストレートにモノを言うようだ。
「教官」の話が出て不機嫌になる若堂上の表情を見て、郁はクスリと笑った。
(わかり易いなぁ〜)
年下ということもあるが、考えていることを直ぐに顔に出す若堂上は新鮮に目に映る。なんせ教官の方は眉間のシワがデフォルトなのだから。

郁にしたら、楽しい食事は久しぶりだった。査問中は味を感じている余裕はなかった。収まりつつある寮での風当たりも、未だに払拭しきれない空気があるのだから。女の社会では多々あること。
そのうち若堂上は話を聞く側になって、じっと郁の顔を眺めるばかりになった。ひとりで喋っていた形の郁も若堂上の視線に気付いて「ん?」と首をかしげた。
「あんたの話はアイツのことばかりだな」
くっと眉を寄せてビールを呷った。
「え、そんなことは・・・ほら、なんてったって1番共通の人物だしそんな深い意味は・・・言われてみれば変だよね、本人に本人の話を聞かせたりして────ってややこしいな」
同じ顔をしているのに、つい気軽にペラペラと。郁は頭を掻きながらへにょりと眉を下げ、じっと見つめてくる若堂上の視線から逃れるように手元の飲み物を一気に飲んだ。
「わ、あれ?」
食道あたりからカッとなる。それまで意識されなかった血流を感じて頬が熱くなった。
手にしたのは最初に頼んだウーロン茶ではなくて、若堂上が注文したアルコールだ。
「口に合わなかったか?適当に頼んだんだけど、そういうの飲むんだろ?」
「や、美味しいよ。うん、おいし・・・」
隊の仲間と飲む時は堂上が口煩く指図する。やれ水と交互に飲めだのペースが早いから少し休めだの。しかし今日は開放的になって、ちびちびとだが勧められるがままに飲んだ。


「・・・まさかこんなに弱いとは」
若堂上は目の前でテーブルに突っ伏している郁に苦笑した。そんなに飲ませたつもりはなく、ごく常識的なペースで飲み進んでいたと思う。ただ口当たりが良いがためにいつもより飲み過ぎたのであろう。急にふわふわと体が揺れて、吸い寄せられるようにテーブルに頭をつけた郁は睡魔と戦っている。
放り出されたように机にある郁の手指を、若堂上の無骨な指でそっと突く。反応のないのをいいことに、ちょいちょいと悪戯に触れてみた。
長くしなやかな指は女性らしく。同じ銃を持つのに、隊の奴らのような節くれだった太い指とは大違いだ。
────触れたい。
存在自体が危うい状況下であっても、確実に彼女に惹かれている自分がいる。元の世界でも 待っていれば何れ現れるのかもしれない。
でも。
郁の手に重ねるように置いた手を形の良い頭へと伸ばし、顔に掛かった髪を払えば、郁が「ん」とうっすらと目を開けた。
「・・・王子様」
「!?」
にへらと笑った郁の目はぼんやり若堂上を見据えていたが、急に覚醒した。
「マズイ!寝ちゃう」
がばりと起き上がると目の前に鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている若堂上。
「どしたの?あたし何か言った?」
郁は自分が何を口走ったのか分かっていなかったが 普段だだ漏れな自覚はある。しかし確認するよりもフラフラする頭を立て直す方が先だった。しっかりしなければ。
「帰ろっか。外の風にあたれば大丈夫。」
このままでは寝てしまう。いつも教官には世話になっているから若堂上には迷惑をかけたくなかった。


の 割に、足元がおぼつかない。街から離れると人気はなく 更に歩く揺れ幅が広がった。
「大丈夫じゃないじゃないか」
辛うじて自分で歩ける程度。真っ直ぐでなく、何度も軌道修正をする。
「酔ってないですぅ」
ほどよく酔っている桜色の頬を膨らます女というのは、こうも可愛いものだろうか。
「酔っ払いなほどそう言うんだってよ。ほら」
若堂上は郁に背中を向けて屈んででみせた。
「え、まさかあなたにまでおぶわれる訳には・・・」
「という言い方は、奴か」
若堂上は未来の自分に対抗心が湧き上がり、苦虫をかみ潰したような顔をする。
「いいから、ほら」
半ば強引に郁を背負うと歩き始めた。自分より背の高い女は 立っていると持ち上げる必要がない分案外背負いやすい。複雑な気分だが、背中に体温が満ちるのを感じて頬を緩めた。
僅かな抗いを見せただけで郁はその背中に体重を預けると、いつもよりやや薄いその背に掌をつける。
これがあの見計らいの時見た背中そのもの。高校生の自分が目標にしていた背中。
やがて頭の重みを支える力をなくして遠慮がちに目の前の逞しい肩に頬をつけると、重い瞼が閉じていく。若堂上が歩く度に揺れる心地よい振動と、自分と同じ速さの鼓動が伝わって来る感触に安心してゆっくりと息を吐いた。

おずおずと腕が首に回され、きゅっとしがみつかれれば間近に感じる吐息はアルコールの分熱く。
「軽いんだな」
背ばかり高いだけで確実に標準より軽い。鍛えているといっても筋肉のつき方が格闘家ではなく、あくまでアスリートタイプなのだ。
若堂上が一度背負い直したタイミングで郁が呟いた。

「・・・・・・」

立ち止まった若堂上が再び歩き出す。
外灯にはカナブンが羽音を立てて飛び回っていた。



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 | 2016年07月10日(日) 20:03 |  | コメント編集

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