All archives    Admin

07月≪ 2020年08月 ≫09月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031

2016'07.16 (Sat)

「残暑の候」(0の小話)

こんばんは。
日々夜中にパソコンと格闘して勝手に撃沈している英香です。・・・と、ブログ始めてから何も変わってないような( ノД`)。
今は また娘が演技する曲探し。「軽快で かつエレガント」という訳の分からない条件で親子して曲を漁っているものの、なかなか先生から許可が下りず。夜中まで作業して「コレは使われてるから」「何か足りない」と返されるので、とにかくいろいろ聴きまくっていますが迷子に陥ってます。「耳に残るリズム」って?。うーん、難しい。けど 楽しい作業でもあります。

更新です。前回記事にした 長男が熱中症になった時、寮からの帰りの新幹線で書き留めておいたお話です。ちょっとおふざけ入ってたので仕上げようか迷いましたが、修正してアップです。
0の教官シリーズの小話的な?
因みに0の教官とは、不定期連載の「郁の王子様バレを教官が知ったら」設定で、基本郁ちゃんに押せ押せ教官のお話です。・・・あれ、こんな説明で良かったんでしたっけ?。久しぶり過ぎて こちらも迷子(^^;
突発で考えなしだったので 時系列微妙です。でも時期としては季節重視で発覚から間もない、ということでお願いしま(^-^;。

↓こちらから どうぞ

【More】

「残暑の候」


シーズン遅めの台風が掠めていった後は 高気圧に覆われて晴れ間が広がった。夏本番は過ぎたとはいえ残暑の気温は急上昇だ。しかも雨上がりで湿度が高いのだから、グラウンドでの訓練は地獄の暑さとの戦いだ。夏の暑さに長く晒された身体は 普段鍛えているにもかかわらず悲鳴を上げる。

「本日の屋外訓練は十分な熱中症対策をして実施すること。各自水分補給を心掛け、いつ緊急事態が発生しても対応出来るのが大前提だ。いいな!」
猛者ども相手とはいえ副隊長の緒形は注意喚起をした。


無風のグラウンドに太陽がギラギラと照りつける。新鮮な酸素を欲しても、熱い空気を避けるために浅くなった呼吸では十分に取り込めない。
そんな中、号令に合わせて腕立て伏せをしていた郁のテンポが次第にズレていく。学生の頃から炎天下で陸上のトレーニングをしてきた郁は、普段であれば必死についてくる。
「笠原、無理はするな」
気付いた堂上が声を掛けた。
が、地面と対峙している郁は反応しない。やっとのことで腕を伸ばして身体を起こしても視線は下がったままだ。
「笠原」
郁は全体の号令も聴こえてはいないのであろう。堂上の声にも気付かずに腕を曲げるが、支えきれずに中途半端に身体が沈む。頬には髪が張り付き、シャープな顎からはポタポタと汗が滴り落ちる。
ムキになっているのだろうが、姿勢も崩れて意識朦朧状態と判断した堂上は、郁を止めるべく近づいた。

郁の肩を叩いて合図しようと身を屈めた時だった。最後の力を振り絞り、急にグッと腕を伸ばした郁が顎を突き上げるようにして必死に上半身を伸ばした。

ごちん

「「っ!!」」
郁の額に衝撃があった。目の焦点が合っていなかったような意識がハッキリする。
「いったーい」
ゴロンと転がりながら額に手を当てた。半泣きで体を起こして横を見れば、口元に手を当て仰け反るように片膝立てて悶絶している堂上がいた。
「くっ、このどアホウ!急に起き上がるな!」
「えー、そんなこと言ったってぇ・・・っつ」
額の中心部分がヒリヒリする。ただの打ち身ではないようだ。

「相変わらず騒がしいな。」
この暑さの中でも涼しい顔をして様子を見に来た緒形が、額を摩っている郁に目をやった。ほんのり赤くなっている部分に小さな横線が。
「あぁ、歯がぶつかった痕が出来ているな」
覗き込んだ緒形が苦笑する。
「歯?」
郁は目を真ん丸にして体ごとくるりと堂上に向き直ると、堂上は眉間にシワを寄せながら抗議した。
「口ん中が切れたかと思ったぞ、この石頭がっ」
理不尽に文句を言われた郁の頬が次第に赤く染まる。両手で額を抑えて「え、や、その・・・」と1人しどろもどろになっているその反応に堂上が不審に思っていると、横から進藤がニヤニヤと口を挟んできた。
「見てた見てた。見事なデコちゅーだったな」
「はあ?」
素っ頓狂な声を上げたのは堂上で、郁は横で頬ばかりでなく一気に顔全体を赤らめた。
「デコっ・・・や、ち、違って・・・その・・・」
郁にしたら じわじわと意識してきている堂上の唇が触れたと思うと(正確にはぶつかったのだが)びっくりして、その上そんな事(デコちゅー)につい思い至ったのを進藤に言い当てられて身の置き所がないようだ。
「何だ、お前 こんなのをカウントに入れるのか」
「ちょ、そんなわけ・・・っ」
堂上の言葉に更に羞恥で身が竦む。これじゃ意識しまくりなのがバレバレではないか。
堂上は、狼狽えている郁の様子に最初驚いていたものの、やがて口角を上げて余裕を見せた。
今郁が考えていることなんて手に取るように伝わってくる。この歳になって女を可愛いとか思う自分がくすぐったい。

「何なら正式にしてやってもいいんだが?」
手首を掴んで額から手を外させると、顔を寄せて「フッ」と赤くなっている場所に息を吹きかけた。
「ひゃっ」
郁の体がびくりと跳ねる。その反応を楽しんでいるような堂上の目から逃れたくて顔を背けた。
「からかわないで下さい!」
どさくさにグーでパンチを繰り出すも堂上には軽くかわされてしまう。
堂上はぷっと膨れた郁の頭をくしゃりとかき混ぜた。
「そんだけ元気があるなら大丈夫だろう。水飲んで休憩してろ」
ずいっとペットボトルを突き出して、堂上は持ち場に戻っていった。郁の傍らにある水は空だ。
くそう。からかわれているのか大事にされているのか。確かにカラカラの喉が水を欲している。クラクラする頭でぼやきつつも有り難く水を飲む郁に進藤が言った。
「ああ、ソレはデコちゅーじゃなくて間接ちゅーだな」
遠慮なく2人を眺めて楽しむ隊員たちは、むせる郁に大笑いした。


「あー、ここに熱中症患者が発生したかも」
小牧が真っ赤な顔をして地面に這いつくばっている手塚を指さした。
「気の毒に。あてられたか」
「アレに耐えられないようじゃ、この夏を乗り切ったと言えないぞ〜」

手塚にとっては、どの訓練よりも厳しかったようだ。




20:04  |  図書戦  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2016年07月17日(日) 20:21 |  | コメント編集

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

 | BLOGTOP |