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2016'08.21 (Sun)

「夏の誓い」

こんにちは。
夏休みの終わりが見えてきました。ここまで来ると 早いなぁとも思えます。
結局プールは諦め(酷い)、ダラダラと過ごしたような。
子供達がそれぞれ大きくなると もう揃って過ごすことは難しく。でも年の離れたチビはそれらしく過ごさせたいわけで。でも彼はそんなことはお構いなくゲームに勤しむ毎日でした。いいのか?

が、ここに来て 部活三昧の娘に漸く休日が!。なのでちょっと家族で旅行に行ってきます。婆さんはもうついていけないってんで義弟夫婦にお願いして。
夏休みはスーパーくらいしか出ることもなく、盆は長男の嫁なので落ち着けず。一般的?な主婦なので特に忙し過ぎるとは言いませんが、少しは外に出たいヽ(`Д´)ノ。
という欲求を汲んでもらいました。

朝 弁当作らなくていいんだよ。
三食昼寝付きなの♡。
温泉────は都合により 1人お留守番なのは(T-T)日程選べなかったので仕方なし。くそう。
台風?。お篭もり目的なのでこの際関係ない(といいな。運転は父ちゃんだし)。
リフレッシュしてきますよ〜。

その前に更新です。時季に合わせて仕上げるタイプではないのでどうしてもズレてしまうのですが、お盆といえば我が家のオリキャラ故堀田英司二正関係のお話でアップです。
堀田さんって誰?ですよねぇ(^^;。
index3のNo.77「支え」とか
index6No.138「ひぐらし」他で出てくるオリキャラです。(スミマセン、久しぶりで記事のリンクの方法忘れちゃいました←)
我が家の勝手な設定ですので、オリキャラ嫌いな方はスルーでお願いします。特に「支え」のエピソードがないと分からない内容ですのでご注意下さい。我が儘で申し訳ありませんが、了承して頂けると嬉しいです。
あ、時期は郁ちゃん査問直前 数日前です。

↓こちらから どうぞ


【More】

「夏の誓い」


この夏、図書の隠蔽事件が発覚し図書館内は混乱していたが、通常通り業務は行われる。
今日も特殊部隊事務室に郵便物が届いた。
郁がデータ入力の手を止めて仕分けをしていると、中に1枚のハガキが紛れていた。宛名は「特殊部隊一同様」。全体に角張ったしっかりした手書きの文字で、裏返せば「暑中見舞い」の文面。
「これ、誰なんですか?」
近くを通りかかった進藤にハガキを渡しながら尋ねると、一目見て相手を特定した。
「おお、橋本じゃねえか。相変わらずデカい文字だな」
の割に案外マメなヤツだよ と懐かしそうな顔をする。
そこへ外に出ていた堂上と小牧が事務室に帰ってきた。
「よう。橋本から暑中見舞いのハガキが届いてるぞ」
声をかけられ、自席に資料を置いた堂上と小牧がやってきた。ハガキを受け取った堂上の手元を小牧も覗き読む。
「懐かしいなぁ〜。相変わらずマメですよね」
キョトンとしている郁に向けて説明するのは小牧の仕事か。
「橋本卓也二正は 以前この特殊部隊に所属していたんだ。俺達が入隊した時直接指導してくれた先輩のうちの1人だよ。都合で関西図書隊に異動していって もう3年になるかな」
豪傑な隊員が多い中、物静かな人物だったらしい。
「お前らでいうと 小牧タイプだったな、橋本の方は」
「の、方?」
進藤の言葉に郁は疑問が湧いたが、それまで黙っていた堂上が「隊長に」とハガキを机に置くと自席に戻っていった。そんな堂上を小牧と進藤はやや複雑な表情で見送ったが、すぐに昔話に花が咲く。
特殊部隊はあらゆるエキスパートが集まる集団だ。橋本二正は身体能力が高いばかりではなくメカニックにも強かったらしく、抗争では真っ先に新しい武器を手にして活躍したり真夏に壊れた事務室のエアコンを直したりと、手先の器用な隊員で信頼も厚かったという。
そんな話を耳にしながら、郁はひとり黙々と資料の整理をしている堂上のことが気になった。橋本二正のハガキに小牧と同じ懐かしそうな笑みを浮かべていたし、親しみを込めて見つめてもいた。しかし今 話に加わることなく仕事をしている堂上の背中にはいつもの勢いが感じられない。拒絶ではない、寂しさ的な空気を纏っているような。そしてそれを感じているであろう小牧と進藤が 敢えて触れないでいることに、郁は不自然に思いつつも何も訊けないまま、そのハガキを隊長宛の郵便物の一番上に置いた。


午後の業務も終わり、疲れた体を引き摺りながら帰寮した。夏バテとはいかないまでも、毎日の訓練で疲労は溜まる。
郁はベッドに体を投げ出すと いつの間にか一寝入りしてしまったようだ。
「!」
気付けば 柴崎はとっくにくつろいだ格好をしている。優雅にファッション誌を捲ってお茶を飲んでいるではないか。
「柴崎〜、なんで起こしてくれなかったのよぅ!」
「起こそうとしたけど 返事だけでヨダレ流して寝続けたのはそっちの勝手でしょ」
そりゃそうだけど、と郁は時間を確認するために携帯を探す。
「あれ?」
ベッド周りにもポケットにもカバンにもない。
「うわーん、忘れてきたかも」
緊急時には連絡があるかもしれないので、常に所持していなければならないのは鉄則だ。最後に手にしていたのは報告書を書いている時で、そのまま机の上に置きっ放しにして来た気もする。バレたら拳骨間違いない。堂上に。
「ヤバっ。取りに行ってくる」
郁はひらひらと手を振る柴崎に言い置いて、慌てて庁舎に向かった。


「あれ?」
既に日も落ちた中、庁舎の一室にだけ電気がついている。特殊部隊事務室だ。緒方副隊長あたりが残業でもしているのか。まさか・・・
そっとドアを開けて中を覗く。
堂上の席には・・・いない。ホッとしてから緒方の席に・・・いない。
「・・・誰もいないの?」
電気の消し忘れなのかと、誰の席にも人影がない事務室に足を踏み入れた。
「あった~」
郁の机には携帯がちょこんと残されていた。気付かれずに済んで良かったと携帯を手にして、帰ろうと気を抜いた時だった。
事務室の一角に訪問者用の応接セットがある。そのソファに人が横たわっていることに気がついた。びっくりして思わず大声を出すところだったが、辛うじて呑み込む。
「きょ・・・教官?」
電灯の光を遮るように腕で顔を隠しているが、どう見ても堂上だ。両足は肘掛けに乗せてあり、ぶらりとソファから垂れ下がった方の手の床には数枚のプリントが落ちている。郁同様 連日の暑さで疲れているのか、気配に敏いはずの堂上が目を覚まさない。
「めずらしいなぁ・・・」
思わず見入ってしまうのは仕方がない。こんな姿を晒しているところなんて初めて見たからだ。
腕の隙間から見える目は閉じられており、普段厳しく檄を飛ばす厳しい表情がかき消されたその無防備な寝顔は意外にも幼く────。
「かわいいかも」
ぐっすり寝入っている堂上に、ちょっとイタズラ心が湧き上がったのは、いつもの迫力が見られないからか。
郁は滅多に見られないものを間近で堪能してやろうと、ソファ横に膝をついた。

大嫌いなはずだった。でも今は王子様と同じように追いかけたい相手でもある。
すぐ怒鳴るし拳骨は落とすし小言も多い堂上が、ただ厳しいだけではないのは知っている。それでも知らない面もまだ多いのが事実だ。今日の昼間のことや 過去の失態のことだって────。

「ん・・・」
急に堂上の規則正しい寝息が乱れ、それまで穏やかだった表情が曇ると 見慣れた眉間の皺が寄せられた。呻き声が漏れる。
様子がおかしい。
次第に苦悶の色が濃くなり 身体を捩り始めた堂上を、郁は慌ててその肩に触れて揺すってみる。それでも起きない堂上の唇が 微かな音を揺らすのを見ると、耳を寄せて聴き取ろうとした。
「・・・えい・・・じ、さん・・・」
「え?」
えいじって男の人の名前だよね。
女の人の名前じゃないことに何故か安堵している自分に、そんな場合じゃないと焦っていると、急に腕を引っ張られてバランスを崩した。

何が起こったのか。
寝ているはずの堂上が郁の腕を掴んで引き寄せたのだ。そのうえ下から強く抱きしめられて郁は身動きがとれない
「教、官っ」
きつく腕の中に閉じ込められて息苦しい。突然の展開に戸惑いで混乱していると、ふと脳裏に昼間の堂上の背中が浮かんだ。抗うのをやめて動きを止めると、その腕から微かな震えが伝わってきた。
堂上は何かに縋っているのだ。
郁は自然と堂上の背中に手を添えた。

「っ!!」
いきなり上下が逆転した。背中にはソファの座面。正面には天井をバックに堂上の驚いたような顔。郁の顔の横に両手をついて激しく肩で息をしながら上半身を支えた堂上は、郁を組み敷いているこの状況を理解すると 弾けるように飛び退いた。
「なんで・・・いや、スマン」
堂上はソファに浅く座り直し、両手で顔を覆って 鈍った思考を取り戻そうと試みた。
その間にのろのろと郁は体を起こした。

夢を見た。

普段は閉じ込めていて それでも忘れられない光景の夢を。
入隊して浅い堂上の目の前で、抗争の末に 兄と慕った隊員の身に起こった悲しい結末は、不運という言葉では収まらない現実だった。どれだけ強くて優秀でも、決して油断していなくても。
この世界は危険と隣り合わせなのだ。

────「教官、大丈夫ですか!?」

堂上の目指していたその図書隊員は橋本二正とバディを組んでいた。信念を持って図書を守り 愛する者を守り、戦う強さを教えてくれた。2人は理想のバディの姿だった。橋本二正からのハガキが急速に記憶を呼び起こす。

────「教官ってば!!」

強く揺さぶられて漸く気づいた。
顔から両手を外すと、心配そうに覗いている郁が目に入った。

「俺は眠っていたのか」
堂上は頭をぶんぶんと振った。意識をハッキリさせる為に。
「なんでお前が?」
「ちょっと忘れ物しちゃって。取りに来たら教官が・・・」
堂上の方は記憶が曖昧だった。夢と現実が綯い交ぜになっている感覚からまだ脱せずにいるくらいに。郁の顔を見ながら、かき消せない不安と焦燥感に苛まれる。
遠ざけねば。強くそう思えて、意味が分からず何か尋ねたいと思っているだろう郁の肩を 距離をとろうと押しやった。

しかし郁の行動は意外だった。
ふわりと堂上を抱きしめたのだ。
「・・・何の真似だ」
「いえ、その、何となく」
郁は中腰になって堂上の頭を抱きかかえるようにしたまま動かない。というか動けない。
(ど・・・どうしよう)
後先考えずに行動するのは郁の悪い癖だ。しかし今 こうすることがいいんじゃないかと、体が勝手に動いたのだ。が、今更引っ込みがつかなくてたらたらと汗が流れる。
郁の肩口に押し付けられる形でいる堂上も動かないでいた。すっかり目が冷めたが、せっかくだからと静かに目を閉じて 郁の華奢な肩から伝わる早めの鼓動に耳を傾けながら、迂闊な部下の行動にこっそりと笑みをこぼした。
過去の自分を追い掛けて こんな危険な世界に踏み込んできた少女は、思ったよりバカでタフで目が離せない。そしてどんなに追い払っても無駄らしい。どうせ隊にいるのなら、俺の傍にいろ。涙を見せるなら俺の前だけにしろ。強くなれ。離れるな。


動けないでいる2人の耳に、ヒュ~と甲高い音が聴こえた。続いてパーンと乾いた破裂音。
窓の外から聞こえてきたのはロケット花火の音だ。図書館近くの公園から上げているらしい。基本禁止の花火遊びも、時々若者がイタズラで盛り上がる。
固まったように動かなかった郁が これ幸いと窓に駆け寄ると、今度は打ち上げ花火が上がった。
「わ、今は家庭用の花火も案外立派ですね」
緊張を誤魔化すようにはしゃいでみせる。
図書館敷地の背の高い木々の隙間から丁度見える位置に上がる花火は、色鮮やかに広がった。
「あ、連発花火だ。本格的だな・・・あ」
パチンと事務室の電気が全部消されて一気に暗くなる。
「え?」
「この方が見えるだろ」
「ま、まあ・・・ソウ、デスネ」
ドキンと心臓が跳ねる。花火の鮮やかさよりも打ち上がる音よりも、背後からゆっくり近づいてくる足音の方が気になって落ち着かない。
その足音が郁の背後でピタリと止まった。
堂上の腕が横から回されてきて抱きしめられると郁は「ひゅっ」と喉を鳴らして息を吸い込んだ。
「なななな、なんで────」
「何となくだ」
先程郁がしたことの仕返しか。
しかし耳元で囁く形をとるだなんて反則だ。

えいじさんって誰ですか?
橋本二正とは何かあったんですか?
さっきの────あなたを苦しめていた夢は何ですか?
訊きたいことは沢山あったが、きっと教えてもらえないのだろう。堂上が以前査問会に呼ばれたことがあるとの話を、あれだけしつこくまとわりついて訊きだそうとしても頑として口を割らない。特に今は何を訊いても答えないスタンスが出来上がっているし、またどうせ上官権限を発動させて切り上げるに違いない。

「無事でいろ」

唐突な命令に後ろを振り向こうとしたが ぎゅっと力を込められて阻まれた。
「何がですか」
「いいから何が何でも無事でいろ」
「意味分かんないです」
この先 何があろうと自らを守れる様に鍛えてやる。その上で守りたい。堂上は目の前の背中に誓った。
「返事は」
「・・・はい」
詳しいことは教えてくれないのに返事だけを強制されたようで、郁はぷっと膨れた。
続けて耳元で低い声が響く。
「それから、逃がさんぞ」
「逃が、逃がさん?」
堂上は腕を外すと、郁の肩を掴んでくるりと正面に向かい合わせた。郁の胸がまたドキンと鳴った。
だが郁を拘束していた堂上の手には数枚の紙。
「今日提出のデータ処理、桁が全部違う」
顔面に突きつけられて「やり直し!」と怒鳴られた。
「えええええーーー今からぁ?」
電気のスイッチが入って、堂上はさっさとパソコンの前で残業モードだ。
「・・・ロマンチック台無し」
赤らめた顔は一瞬にして青ざめた。
しかしブツブツと文句を言いつつも従ってしまうのはもう習性だ。



花火の音からキーを叩く音に変わった夏の夜。

全体掲示板には、橋本二正からの暑中見舞いハガキが貼り出されていた。ハガキには手描きの風鈴が 添えられていた。

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 | 2016年08月30日(火) 22:32 |  | コメント編集

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