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2012'11.19 (Mon)

「かくれんぼ」

書き直した英香です。
チビの瞼の腫れは 何とか落ち着いたようで。
そして昨日UPする予定だったのは、一晩置いて手直ししたら長くなりすぎて――なので、急きょ別物を更新です。上官・部下期。内乱辺り。ほんの日常です。

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「かくれんぼ」


はらはらと紅く染まった秋の葉を眺めながら 1人郁は昼食をとっていた。
ここは図書館の中庭。冷たい風が吹くようになったとはいえ、昼頃の数時間はぽかぽかとした陽が降り注ぐ。今日のバディだった堂上は 昼休憩直前に玄田に呼び出されて行ってしまったので、気が向いて外で食べる事にしたのだ。
サンドイッチと菓子パン、ホットの紅茶で簡単に済ませて足元の紅い絨毯をのんびり足で掻き回す。そこへ見知った子供達が駈けてきた。
「郁ちゃん、かくれんぼしようよ。」
かなちゃんとさらちゃん、ゆうまくん といった仲良し3人組だ。かなちゃんは人質事件からすっかり立ち直り、もう普段通り図書館に来るようになった。子供達の笑顔に郁は破顔した。
「うん、いいよ!。」
時間にはまだ余裕がある。腹ごなしも兼ねて 一緒に遊ぶ事にした。

「みーつけた!」
郁が鬼となり、樹の後ろやベンチの裏、茂みの中に隠れた子供達を見付けて回る。
「今度はかなが鬼ね。」
よーし、と郁は隠れ場所を探す。この大きな体を隠すには……と庭全体を見渡した。

なかなか探しに来ないなあと、郁は身を潜めて待っていた。時間も迫っている。ここは自分から出ていくか、と覚悟をしたところ
かさりかさりと足音が聞こえてきた。にまりとして 頃合いをはかる。あと少しというところで
「ばあ―――……。」
郁は庭に集めた落ち葉の下に隠れていた。色とりどりの銀杏 紅葉 楓の葉にまみれた郁の前には、目を見張って固まっている堂上。
「どどどど 堂上教官!!」
暫し固まる2人の間を 乾いた風が吹き抜けていった。
「……そこで母親が子供達を迎えに来たんだがな、おまえが見付からないと困ってたから代わりに来てみれば――。」
郁は所在な気な腕を下ろして もじもじと指を絡める。
「おまっ ばあーって、ば…。」
堂上の言葉は続かない。肩を震わせてから小牧ばりの上戸に陥る堂上に、逆に目が点になる。
口元は押さえ切れず、体を折って腹を抱え 涙まで浮かべる様子の堂上を初めて見た。これまで 苦笑くらいしか見たこと無いかも。いや、利用者に見せる柔らかい笑顔があったか?。
でも。
明らかに初めて見る全開の笑顔は 自分 笑われてるんだけど、バカにされてるんだけど、何故かほんわか温かく 先程までの日射しの様に感じられた。
「そんなに笑わなくっても…。」
ぶすくれた態で落ち葉を払いながら、忙しない鼓動を誤魔化してみる。
「すまん すまん。」
並んで歩き出したが かさりと音をたてて立ち止まる。堂上が郁の頭に手を伸ばして 付いていた紅葉を払うと また「ぶっ」と吹き出して歩を進めた。
「教官! しつこいです。」
郁は堂上を抜き去ると前を急ぐ。珍しいものが見れたと内心笑みを溢して。

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