All archives    Admin

07月≪ 2020年08月 ≫09月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031

2016'12.04 (Sun)

「煽るのは君」

こんばんは。
寒〜っかったり、日中穏やかな暖かさだったり。でも11月の雪にはびっくりでした。慌ててスタッドレスに履き替えましたが、間に合って良かったです。今年の雪はどうなるんですかね。
今年も後1ヶ月。プレ大掃除をしたり ちょっとお仕事頑張ってみたり。でも何をやっても進まぬ要領の悪さに辟易。1番はコタツの存在ですね←悪者にしつつもloveloveですけど♡。コタツで電子書籍の試し読みを始めちゃうと あっという間に時間が経ってしまいますよね。「お母さんは何時でもスマホ見てる」・・・その通りでござーい。子供より悪習慣ついてます(^_^;。試し読みで我慢して絶対的に買わないぞ!っと決めていたのに、先日とうとう図書戦以外で初めて買ってしまいましたよ。うん、でも後悔しない。

さて、久しぶりの更新です。ストーリーのあるものはなかなか集中力が続かないので(重症ですね←)、またまた単品です。久しぶりすぎて ちょっと恥ずかしい内容に更新ボタンを押すのを躊躇しちゃいそうな(笑)。だからこそ 読んでどうだったか教えてもらえると有難いです。
恋人期間。堂上さんの入院中です。No.123ポジションの後辺りです。・・・あ、しばらくindexの追加をしていませんね。年内にはスッキリしたいな。

↓こちらから どうぞ



【More】

「煽るのは君」


堂上が基地近くの病院に移ってきた。「まめに顔を見せろ」の言葉に従うように、郁は足繁く通っている。
初めて叶った恋。
憧れて追いかけて、漸く手にした回り道した恋だけれど。今はふわふわした暖かい気持ちに包まれているようだ。

ただ 足取り軽くエレベーターに乗っても、到着する頃には心臓は忙しなく跳ねる羽目になり歩調はゆっくりになっていく。
会いたい。でも恥ずかしい。
同じ職場、同じ班。これまで毎日しかも一日中顔を合わせていたのに、今の堂上は郁の知らなかった顔をする。しかも入院中だから訓練も警備もないので殊更だ。それにまだ慣れられなくて困るほどに。

いつの間にか病室のドアの前まできていた。プレートの名前を確認して深呼吸をする。
「慣れなきゃ。一応彼女だし」
ついと言葉に出して自らを後押ししてノックをする。
・・・・・・
「あれ?寝てるのかな」
返事がないので そっとドアを開けて覗いてみると、ベッドの上に堂上の姿はない。リハビリならもう終わっている時間だ。改めて廊下を見ても姿はない。
「すぐ戻るよね。待ってればいいか」
郁はいつもの定位置、枕元の椅子に座ると、緊張が緩んでホッと肩の力を抜いた。


静かだ。
むさ苦しい男どもの掛け声は聞こえてこない。しかも汗と埃のにおいにまみれることはない清浄化された空間。
最初に運び込まれた救急病院の病室では怪我の処置が頻繁にあった為に消毒液のにおいが強かったが、転院して落ち着いた今ではさほど気にならない程度。
郁はベッドのマットに手を伸ばした。シーツがシワになっているのは堂上がここにいた証し。掌で擦りながら椅子からベッドに移動して腰掛けると、改めて視線を巡らせた。
殺風景な白い空間。主のいない部屋は広く感じられる。ベッドからの眺めが少々高いのは怪我の処置がしやすいように設定されているからだろう。ちょっと視点が変わっただけで眺めが違うんだな、と新たな発見だった。この位置から堂上は自分を見つめているのかと思うと、頬が熱くなる。しかもこの場所は、病院のにおいに混じって堂上のにおいがする気がして つい鼻が探してしまうのだ。
「やだ。何してんだろ」
膝に置いていた紙袋をぎゅっと抱きしめていた郁は、袋の中から洗いたてのタオルを取り出した。リハビリで汗を流している堂上のタオルを洗って交換するのが郁の仕事だ。着替えは小牧が定期的に世話をしている。彼女としては欲しいポジションだが、付き合いたての彼氏の下着を洗うとかはまだまだハードルが高いのだから仕方がない。ここは全力でタオル係を務めるとしたものだろう。
自分ができる「彼女の仕事」。
想いが通じあっても入院中であるためにデートをするわけでもなく、この場でお喋りする程度のお付き合いだ。しかし幸い個室であるから 見舞い客や看護師に警戒さえしていれば ナニ はできるわけで────。
一気に顔が赤くなり、キャーとひとり悶える。
そうだ、何が一番恥ずかしいって・・・あの堂上とキスをすること。会話している時は普段と変わらないのに、会話が途切れると堂上の手が郁の頬に伸びてくる。これまで時々反則的に見せていた表情に甘い声と仕草が重なると、郁は痺れたように動けなくなる。
「あんなの、慣れるはずないじゃん」
優しく触れてくれるのに、いつまで経っても慣れなくて固く力が入ってしまう。初めては自分から仕掛けたくせに、上塗りがあまりに甘く切なくて自分はぎこちなく応えるばかり。好きな人とのキスは気持ちよくて大好きだ。恋愛初心者だからといって されるがままというのもどうかとも思うし、時々笑われているみたいで悔しい、という考えに至ってしまうのは負けず嫌いの郁だからこそか。
郁は手にしたタオルに顔を埋めた。こっそり垂らしてあるカミツレの香りを吸い上げると、堂上の甘い顔を思い浮かべた。

「何してるんだ?郁」
「〜~〜~〜~つ!」
郁は声にならない声をあげた。だって思い浮かべたのは脳内堂上の姿であって声ではない。しかも不埒な妄想をしていたところに本人だ。
「ど ど ど 堂上教官っ!」
松葉杖をついた堂上がドアにもたれかけて郁を見ていた。いったいいつからいたんだか。
「どこかで入れ違ったんだな。今日はリハビリ終わってから玄関ロビーにいたんだが」
「え。もしかして出迎えに行ってくれてたんですか?」
「・・・飲み物買いに行ったついでだ」
ぶっきらぼうな言葉の裏に教官も早く会いたいと思っていたんだろうかと想像すると嬉しくて顔がにやけて、握りしめていたタオルを口元にあてた。
「あ、使っちゃったから コレはまた洗ってきますね」
複数枚あるから、一枚くらいどうってことない。
「いいからよこせ。こっちは汗をかいてきたんだ」
左で松葉杖一本支えた状態でつかつかと歩み寄ると、タオルを取り上げ首に掛けて顔を拭う。
(あ、あたしがさっき顔をつけちゃったんだけどな)などと思うと更に茹で上がる。そんな顔を隠すように下を向いていると、堂上はベッド脇に松葉杖を立て掛けて郁の隣に座った。
「で、お前は何やってたんだ」
「う・・・」
まだ突っ込むか と上目遣いで堂上を伺うと、バチリと答えを要求する視線と合った。
「れ、練習・・・」
「練習?なんの」
わざと言わそうとしているのが分かった。見ていたなら大体察しがつくであろうに。
「キ・・・」
「ん?」
堂上の手が 郁の頭にのり、その先の言葉を逃さないとでもいうように撫でる。
「キスの練習をしてました!」
やけになって宣言をすれば、堂上の撫でる動きが止まった。
さすがに引かれてしまったかと 口にした後悔が押し寄せる。薄目を開けて様子を伺えば堂上は郁から顔を逸らせており、益々不安が広がった。
しかしよく見れば耳が赤くなっている。言わせておいて照れるとは何事だ。恥ずかしいのは言わされた方なのに。
「だ、だって・・・どうしても慣れなくて。教官みたいに余裕なんてもてないしっ」
「だからってなんでタオル相手にしてるんだよ。練習なら本人と・・・」
そう言いながら堂上は唇を寄せてきた。
「っ!だからっ」
郁は咄嗟に堂上の首に掛けてあったタオルで堂上の目を隠した。だってこんな時の堂上の目は いつにも増して甘くなるのだから。
「今教官に見つめられると恥ずかしいんですってば!」
目隠し状態の堂上に打ち明けた。もう心臓がどうにかなりそうだ。
「・・・なら このまま」
あまりに可愛いことを言う唇を早急に塞ぐ。初々しさを堪能するのがどれだけ堂上を酔いしれさせていることなのかを想像出来ないでいる郁だ。それでも練習までして応えようとしているとなると、鬼教官としては────
「ん・・・!?」
いつになく長いキスに、郁の手は堂上のシャツに必死に縋るしか出来なくなった。当然目隠しなんかしていられなくなり、タオルは滑り落ちて役目から外された。
鼓動の早さと呼吸が噛み合わなくて息苦しく、喘ぐように空気を取り込もうとしたところで堂上の舌が滑り込んできた。びっくりして胸を押し戻すように腕に力を入れると、激しい動きから一転ゆっくりと絡めてくるように優しくなる。
恋人のキス。
やがて郁は不思議と力が抜けて、自然と応えられていた。それどころか────

カタン

立て掛けてあった松葉杖が倒れたのだ。
触れ合った唇はそのままに、互いの視線が絡み合った。こんな至近距離で堂上の目を見たことがなかったのに・・・きゅうぅと胸が締め付けられる。
堂上が微笑んで唇を離し 包むように抱き締めると、郁はそのまま体を預けた。

肩で息をしていたのを整えると抗議した。
「これ、練習じゃなくて 実践なんじゃ・・・」
「効率的だろが。成果が出たんじゃないのか?」
堂上の肩に埋めた顔を上げさせると、真っ赤になっている郁の目は潤んでいた。
「あの・・・・・・上手くできたんでしょうか」

堪らないな

「え?」
堂上の心の声が漏れ聞こえたのだろうか、小首を傾げた郁を前に堂上は慌てて落ちたタオルを拾い上げると後ろ手に隠した。


「実践上等」
タオルなんかにいい思いさせてたまるか。
余裕がないのは堂上の方。練習なんて必要ないからと、郁のキスを独り占めする────。


19:05  |  図書戦  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2016年12月04日(日) 23:22 |  | コメント編集

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

 | BLOGTOP |