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2017'02.15 (Wed)

「見守る視線」茨城県産純粋培養乙女誕生祭提出作品

おはようございます。筋肉痛だった英香です。
うちのワンコは躾のできていない大型犬。先日散歩中に迷い犬と遭遇しました。小型犬でどうやら逃げ出してきたのか人慣れしてて寄ってくるんですが、こちらは飛び掛っていく気満々です。体重35㌔overのワンコを全力で引っ張って阻止!まとわりつく小型犬に噛み付いては大惨事( ꒪Д꒪)←経験済み。しかし運動不足の私にはあっという間に限界が・・・手を離すわけにいがず恥も外聞もなく「助けてー」と叫んでも、ここは田舎道、誰ひとり 車さえ通っていないという(;_;)。やがてどこかに行ってしまいましたが、心臓破れるかと思いました。また出くわすかもとヨレヨレと近くの電柱に括りつけて寒空に待機。こういう時に限ってスマホ不携帯なんですよね。家にはチビがいたのでガード役に呼びつけたかったんですが。昨日は腕とか足とか腰とか背中とか首とか、全身ギシギシになってしまいました。躾、大事・・・

久しぶりの更新です。
郁ちゃんのお誕生日を祝おう!という企画 「茨城県産純粋培養乙女誕生祭」 に参加させていただきました。こちらのサイトにはいろんな書き手さんのお祝いSSが沢山詰まっています。うちとは違い甘いお話がたっぷりです。是非御訪問を。
実はお誘い受けてから 書き散らしの中にそんな書きかけがあったのを見つけてびっくり。書きかけの日付けが自分の誕生日だったので 当日そんな発想をしてたんですね。しかし放置から既に半年経過、すっかりその後の展開を忘れてしまっていて(´・_・`)。なんで堂上さんそんな態度なの?と書いた本人に謎。基本全体が決まってから書き出してたはずなんですけど・・・結局思い出せませんでしたが、ほぼ確実にお蔵入りだったお話が何とか出せます。これもこの企画を作ってくださった茨城乙女まつり実行委員会様のおかげです。ありがとうございます。
郁ちゃんの誕生日の季節等は設定しないようにしたので、想像にお任せします。それでもお互い気になるな〜で、堂上さんの言う「少なくともこっちはお前より早かったことは確実だ」辺りを意識しつつ。
以下、投稿作品です。上官部下期間です。

↓こちらから どうぞ

【More】

「見守る視線」


柴崎は業務の合間に、書架の整理をしている郁を見つけて声をかけた。
「笠原、明日は定時に終われそうなの?」
「うん。特に何もないからいつも通りだよ。」
館内イベントが終わったところだ。残業につながるような仕事はない。
「じゃ、明日の夜は外で食べましょ。あんた誕生日なんだから奢るわよ」
「わ、やったぁ!」
郁は両手を軽く上げて喜んだ。
どの店にしようか、そんな事を小声で雑談しながら手際よく本を棚に並べると、空になったワゴンを押してその場を離れた。


翌朝の目覚めは良かった。
郁はカーテンを開けると大きく伸びをした。朝日が目に眩しい。
「んー、いい日になりそう」
出勤時間には余裕で間に合う。ギリギリ滑り込んで朝から堂上に怒鳴られる、なんてことにはならなさそうだ。せっかくの誕生日に朝から拳骨はいただけない。

「おはようございまーす」
特殊部隊事務室に郁の元気な声が響く。
「オハヨー」
「朝から元気だな」
事務室にいる隊員達から笑顔で声がかかる。
「教官、おはようございます」
郁がいくら余裕をもって出勤してきても 堂上はいつも先に来て準備万端だ。
既に今日の仕事の準備に取り掛かっていた堂上は、手にしていたファイルから視線を上げると郁の顔をじっと見た。
「・・・」
「?」
いつもなら素っ気なくとも挨拶を返してくれる堂上が何も発しない。
「やだ、何かついてます?」
朝からガッツリ食べてきたからご飯粒でも付いていたのかと慌てて口元を手で拭った。
「いや、おはよう。ミーティングまでにコレを読んでおけ」
1枚の紙を渡された。見れば小牧や手塚も目を通しているところだ。内容は先日まで図書館で開催されていたイベントの業務部報告書。滞りなく終わった為、特に問題なさそうだ。
「はい」
郁は気持ちの良い返事をした。


午前中はグラウンドで格闘訓練だ。柔道着を着ての訓練以上に戦闘服による訓練は実践主体の動きが要求されるが、抗争を重ねた郁の動きは入隊時より様になり 戦闘のレベルも上がってきている。喧騒の中で郁の気合いの声が響く。
だが、手塚と組んでいた郁は殺気めいた気配を感じた。
組み合っていた右手を離し、素早く背後を振り返った。
「あれ?」
「どうした笠原」
突然の行動に手塚も一旦手を止めた。
「ううん。何でもない・・・」
「久しぶりの訓練だから集中出来てないと怪我をすることになるぞ」

イベント期間中は警備を任されていたので数日ぶりの本格的訓練となる。特殊部隊が子供向けのイベントに駆り出されることは滅多にないが、敢えて必要と判断された時は威圧感を与えないよう主に堂上班が指名される。郁や手塚が入隊する前は 無駄にデカい身体をなるべく小さくして警備をしていても、目が合っただけで泣かれることがあったと聞く。女性も含まれ 総じて線の細い堂上班は そんな時真っ先にローテーションに組み込まれ、かつ回数も多いのだ。

郁は辺りを見回したが、隊員達は技を繰り出し、各班長は指導にあたっている。格闘に優れた堂上は別の班の隊員にも体術の説明をしていた。
「?ごめん。集中集中!」
防具をつけ直した郁は改めて手塚に向かっていった。


昼休憩、郁は柴崎と食堂で落ち合った。シャワー室をひとりで使う郁の方が早く休憩に入れる。
「あ〜、お腹減った」
「あんたはいつでもお腹空かせてるわよね。朝もあんなに食べたのに」
「だってそれだけ動いたんだもの。食べないとやってらんないわよ」
「で、それは?」
柴崎は郁のトレイに乗っているプリンを指さした。
「食堂のオバチャンに『今日は誕生日です』って言ったらくれたの。言ってみるもんだね~」
プリンに頬ずりする郁にため息をついた。
「安上がりでいいこと」
「何よぉ、プリンは神なのよ。ついでにアジフライも追加してもらっちゃった」
食べっぷりの良い郁は食堂のオバチャンからも愛されている。
「で、堂上班のみんなにも祝ってもらったの?」
「まさか。あの人達は他人の誕生日なんて興味ないわよ。そんな話をしているのは聞いたことないもん、スルーよスルー」
「男ってそんなもんよね。言ったところで『は?』しか返ってこなさそう」
「でしょ、だから今夜は楽しみにしてるからね」
「この勢いで食べられたら破産しちゃうわよ」
「大丈夫、午後は館内業務だから」
郁はニコリと笑った。


遅れて食堂に入ってきた堂上達は 郁とは別の席に着いていた。
「で、どうするの?」
「・・・なんの話だ」
小牧の問いに素っ気なく答えた堂上は味噌汁をすすった。
「笠原さんだよ。今日誕生日だろ」
「あぁそうか、だから柴崎が笠原と外に食べに行くって」
手塚は無理やりそう聞かされていた。
「だからどうした。誰しも1年に1度やってくる日だ」
「そんなこと言ってるから進展ないんだよ」
そう後ろから堂上の首に腕を回してきたのは進藤だ。
「女性隊員を迎えるにあたってのマニュアルを渡したのに 肝心なところを実行しないんじゃ、作った意義がないだろうが」
「あの妙なマニュアル作ったのは進藤一正だったんですね、どーりで。ありゃなんですか」
「むさ苦しい男の中に 初めて女の子が入ってくるんだ、ここは女を知り尽くした既婚者の俺が教えてやらないでどうする」
「女性隊員を迎えるだけなのに 余計な項目があり過ぎです」
体力面や体調具合の考慮などは必要だ。しかし────
「何を言う。女って生き物は記念日をやたら大切にしてるもんなんだ。そこを押さえておかないと女心は掌握できんぞ。逆に押さえておけばな、こっちのもんだ」
スナイパーは器用にウインクをした。
「ヤツに女心があるかどうかは別として、仕事には必要ないでしょう」
いい加減にして下さいと、さっさと食事をかきこんで席を立った。
「仕事にも左右するんだよな~コレが」
進藤の言葉を無視と決め込んだ。他の隊員達も露骨に面白がっているからだ。朝から生温い視線を送ったり 訓練中にやたらと肩を叩いてきたのもそのせいだ。しかし普段あんなに扱いている『クソ教官』から突然祝われたって気持ち悪がるに違いない・・・『懐かれている』なんて幻想だ。
「だいたい そんなキャラじゃない」
堂上は食堂から出る間際に 談笑している柴崎と郁が目に入った。僅かに視線が合ったのは柴崎の方。祝ってくれる相手がいるのなら任せておけばいい。そう納得して普段通り午後の業務に入った。


館内警備で閲覧室を巡回している時だった。
「郁ちゃん!」
小さな女の子が絵本を抱えて駆け寄ってきた。顔馴染みの幼稚園児だ。
「こんにちは。いい御本は見つかった?」
「うん!これにしたの」
ずいっと見せたのは、先日の読み聞かせで使用した絵本だった。
「この間のお姉さんみたいに読みたいの」
この絵本の読み聞かせを担当したのは柴崎だったと記憶している。どの館員も読み聞かせに長けているが、特に柴崎の巧みな技法は子供達を物語の世界に見事に引き込んでいた。
「出来るかな」
ちらりと不安を過ぎらせた女の子の頭にポンと乗ったのは、今日のバディの堂上の手だった。
「出来るさ」
言葉は少ないが、頭の上で弾んだ手に女の子の不安げな表情が緩んだ。
「うん。もう全部ひらがな読めるんだよ」
「そうか」
「借りてくる〜」
女の子は母親の元に戻り手を繋ぐと、カウンターめがけて引っ張った。母親も郁達に会釈をして楽しそうに応対している。
親子を見送る堂上に、郁は感心して声をかけた。
「教官って顔怖いのに子供受け案外いいですよね」
「・・・余計な評価が多いぞ」
怖いとか案外とか。
「だって本当のことだし。イベントでも意外と普通に溶け込んでましたよね、手塚なんて裏方ばっかりやってたのに。それって・・・」
堂上の右手を指さした。
「武器ですか?」
「は?」
指摘されて怪訝な顔をしたが、ふと思い当たることがあったのか。
「妹がいるからな。子供の頃からの癖かもしれん」
無意識なアクションは 昔から言葉を選ぶのが苦手だった兄が妹をなだめる時の手法の1つ。達者な理屈ばかり並べても泣き止まないのだから、頭を撫でながら必死で宥めていたという。
「子供相手だとついな────警備に戻るぞ」
そう言って歩き出した堂上の背中に唇を突き出した。
郁は自分の頭に手がいった。
「子供あつかいかぁ・・・」
何度となく堂上の手に世話になっている。拳骨ももらうが励まされることもしばしばあり、それをもう自然と受け入れられているのだ。
しかし小さな女の子と同レベルなのかと、少し寂しく感じた。

......................................................


「で、なんでコイツはつぶれているんだ?」
夜、堂上は柴崎に基地外に呼び出された。郁を回収しろと。
「え~だってぇ、教官が酒の飲み方教えろって」
「んなもん、部屋でやれ、部屋で」
郁も柴崎は、結局いつものカジュアルレストランでいつもよりちょっと高いお祝いの食事をした。その後、新しい店がオープンした情報を得て寄った洋風居酒屋がここだ。物珍しさもあって郁は飲み過ぎたらしい。
「1つ大人になったんだからって つい飲んじゃったんですよ。知ってました?今日誕生日って」
「・・・履歴書にあったからな」
その返答に柴崎は肩を竦めた。

「わ、堂上二正まで」
堂上の後からやってきたのは、同じく柴崎に呼び出された手塚だ。こちらは飲み連れとして。
「手塚、これから付き合いなさいよ。この子に合わせてたら飲んだ気しないのよね」
「おまえ、上官をただの回収係に使うのか!?」
「え~だってぇ、あたしじゃ手に負えないものぉ。てなわけで教官、僚艦には電話してあるのでよろしくお願いしまーす」

手塚の背中を押して手を振りながら店を出ていく柴崎に、堂上は今日何度目かのため息をついた。
「どいつもこいつも勝手なことを」
テーブルに突っ伏して寝ている郁を 起こして歩かせられないかと肩を揺するが、すっかり寝入っているようだ。しかも揺らした弾みで 寝言が零れる。
「うーん……子供じゃないもん」
堂上は自然と頭に向いていた手を一旦止めた。
巡回時、背中で聞いた郁の呟きを思い出した。
『子供あつかいかぁ・・・』
止めていた手をわざと乱暴に動かし前髪をかき混ぜた。
「子供、だろうが」
それでも起きない郁に呆れる。
無防備に晒す寝顔は5年前より少し大人びたところはあるが、ことある毎に突っかかるわ 噛みつくわ 危なっかしい行動をとるわ、とても大人とは思えない────が、背中に負ぶうために引き上げた郁の吐息からはほのかに甘いアルコールが香った。
不覚にもドキリとした。

気づいてはいる。子供だと自分に言いきかせていることを。
2度と会うことはないと思っていた少女が突然現れ、しかも部下となったことに動揺しなかったわけではない。しかし、たとえ────たとえ手を伸ばしたいと思っても 少女がずっと憧れ探し求めているのは居もしない王子様なのだ。
「俺が子供あつかいしないで どうする」
「子供じゃない・・・」
相変わらず律儀に呟き返す郁に苦笑する。
「今日だけ、だぞ。」

誰への宣言か。

頭の上に乗せるつもりだった手を腰に回して 腕を釣り上げていた手を後頭部に添えると、今まで郁にしたことのない体勢になった。起きないのは確認済みだ。耳元に短く言葉を落とし そのままぎゅっと力を込めれば、アルコールで高くなった体温を直に感じる。
「やっぱり子供だな。温い・・・」
郁を慣れた手つきで背中にまわしてから肩越しにその頭を叩くと、寮に向かうために店を出た。隊の飲み会で慣れた送り道だ。歩く度に背負った郁の寝息と脚が夜風に揺れた。



帰寮した柴崎は、僚艦監視の元で送り届けられた郁が ベッドの中で満足そうな顔をして寝ているのを覗き見た。
「プレゼントはいかがだったかしら」
たかだか誕生日の部下をあしらうのに殺気を漲らせながら1日様子を伺う上官と、お酒をいれれば女友達に 子供とあつかいが同じだって愚痴垂れる部下。これがただの上官と部下だと言い張るんだから面白い。
「あんたへの頭ポンポンには、女の子とは別のものが込められているわよ」
さてと、と柴崎は新しいSNSを立ち上げた。
「特殊部隊の面々も気にしてることだし────情報は共有した方が得策だわね」


郁の誕生日に見守り隊が結成された、、、かもしれない。

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