All archives    Admin

07月≪ 2020年08月 ≫09月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031

2018'06.15 (Fri)

「スイーツバイキング」(Twitter企画より)

ものすごくお久しぶりです。まさかこんなに書けなくなるとは。
もう忘れ去られてるでしょうがここが私の図書戦SSの場なので、せっかく書いたお話は最初にここにアップがしたくて帰って来ました。
書かない日々が続くとそれが日常になってしまうんですね。3人賑やかにいた子供も今では2人が家を出てしまいました。時間的には余裕出来たはずですが、婆さんと四六時中生活しているのでお話書く機会を逸してます。そして書くのはまるで介護日誌になりそうで(笑)。あ、イラストは時々描いています。
それでもちょっと面白そうなイベントが流れてくると乗っかりたくなります。乗っからないと書けないんですよ。なのできっかけにしたくてリハビリに書いてみました。
Twitterで「堂郁をスイーツバイキングに行かせてみた」って企画です。途中まで書いて他とダブりまくりだろうなぁとボツってみたものの・・・今日が期限というので突貫ですが、自分なりに形にしてみました。今や言葉が出てこない拙さですが、よろしければ読んでみてください。
時期は恋人期で、「マイ・レイディ」後です。

↓こちらから どうぞ(きゃー久しぶり(〃∀〃))

【More】

「スイーツバイキング」
(堂郁をスイーツバイキングに行かせてみた企画)Twitterより


「堂上、これ」
小牧から日報と共に差し出されたのは二枚のチケット。
「毬江ちゃんからだよ。昨日一緒に食事行った時にもらってさ。系列レストランのスイーツバイキングの優待券なんだけど、ここ笠原さんが行きたいって言ってたらしいから」
先日試験を終えた毬江が図書館に来た時に柴崎含めた三人で集まっていた。賑やかなお喋りの中、郁が甘い物を食べたいと言ったのだろう。毬江が気を利かせてくれたらしい。
小牧としては毬江の同級生の男の件で当たった 罪滅ぼし・・・という訳では無いが、誤解が解けた後のデートは殊更甘かったから、この不器用なカップルにおすそ分けしようといったところか。堂上はここ数日残業続きで、二人きりの時間を取れていないようだった。

チケットの写真には、王道のケーキや旬のフルーツをふんだんに使ったタルトなどが彩りよく並んでいる。
「確かに笠原が好きそうなバイキングだな」
堂上はチケットの裏表を確認してふと頬を緩めた。

事務室には進藤をはじめまだ残っているタスクメンバーが数人いた。作業の手を緩めはしないが、皆チラチラと様子を伺っている。
「笠原」
郁を呼びつける堂上にニヤニヤが止まらない。
長年2人を見守ってきたのだ。郁の入隊以降、己の気持ちに蓋をし頑なに上司であろうとした堂上にはヤキモキしたが、その分ようやくカップルとしてまとまった二人の動向に興味津々だ。
小牧の話は郁にも聞こえていたのだろう、期待満々の顔で堂上の前に立った。書き終えた日報で緩む口元を隠している。
椅子に座っている堂上が郁を見上げて言った。
「今度の公休に────」
(堂上の奴もここで堂々とデートに誘うようになったか)
感慨深いものがある。中には目頭が熱くなる者も。
「・・・柴崎の公休が重なるようならば行ってくるといい」
そう言うと、すいっとチケットを郁に見せた。
(「「「は?」」」)
誰もが手を止め、呆気にとられた。
小牧は隣に立つ郁の落胆の音を聞いたような気がした。
(ちょ、堂上)
用途が違うと合図を送るが、堂上はバリバリと頭を掻いただけで無視を決め込む。
郁は口元を隠していた日報を堂上の机に置くと、チケットを受け取らずに帰り支度を始めた。
「どうした、行かないのか?」
「柴崎とは重なってないのでいいです・・・帰りますね。残業お疲れ様です」
力のない笑顔を見せ、郁は事務室を出ていった。

「どーじょーーぉ」
様子を見ていた進藤が後ろからヘッドロックをかける。
「なんだ今のは。姫さん背中丸めて帰って行ったじゃないかよ」
「ちょ、構わんでください」
進藤の腕を引っペがしてわざとらしく咳き込んで見せた。
「なんで一緒に行ってやらんのだ。小牧ぃ、何とか言ってやれぃ」
他のタスクメンバーからもブーイングの嵐だ。
分かっている。郁が欲しかった言葉が何であったかは。しかし、映画や食事に誘うのは何の躊躇もしないが、スイーツバイキングは堂上にとってはあまりにもハードルが高すぎた。
「笠原さん、堂上と行きたかっただろうね」
当然の事を言われて苦虫を噛み潰したような顔になる。
堂上としても流れで誘えるつもりでいた。しかしつい自分がその場にそぐわない気がして、どうせ好きなスイーツを食べるのなら気の合う友人と行ってもいいのではないかと思い至り、一瞬にして誘う言葉を飲み込んでしまったのだ。
小牧がやれやれといった顔をしているのを見て堂上はため息をついた。
こんな時、小牧のようにスマートな言葉がでてくることはない。いっそのこと郁がわかりやすく不貞腐れてくれれば、ご機嫌取りのようにでも誘い直しが出来たのに・・・などという他人任せな思考に陥ると、不甲斐なさでいっぱいになった。

「ん?」
いつの間にやら見知らぬ書類が机の上に。
「罰だ」
進藤がとどめを刺した。



翌日は警備ではなく久しぶりの図書館業務だった。郁は何事も無かったように普段通りで、レファレンスも無難にこなした。もう苦手だとかで足を引っ張ることはない。
配架中だった堂上が郁に声をかけた。
「さっきの利用者は満足そうな顔をして借りていったな。何の本だったんだ?」
「えっと、グルメ小説です。あと今は廃刊になってるグルメ雑誌も。その小説を検索にかけたらヒットしたんで、書庫からバックナンバーを数冊上げてもらったんです。雑誌連載だったんですね」
「わざわざ雑誌もか?」
貸し出されずに残った本を郁から手渡された。
「雑誌だと小説に出てくる料理の写真つきのレシピも見られて得した気分になるんですよ。ほら、読むと食べたくなるし作りたくもなるから」
「なるほどな」と感心する。
気に入ってもらえて良かったと微笑む郁の横で、堂上は目次に目を通す。それは習慣になっている確認作業だ。廃刊した雑誌を見る機会はあまりない。僅かな機会を無駄にしない堂上のその姿勢は昔から尊敬するところだ。
「ん?この作者」
堂上が目に止めた項目は、まさに先ほどの利用者が目当てにしていた小説だ。
「軍事評論もする、堅い小説を書いている作家じゃないか」
食レポにも近いその小説は、食べ歩きをした作家そのままを主人公においたようだった。
「あ、実際に作る人みたいですよ」
別のページにはにこやかな顔で生クリームを泡立てている写真が掲載されていた。デザートのコラムのようだ。
「本の著者近影にはない表情だな」
昔の雑誌だ。知っている顔より若く朗らかに見える。
「甘い物の前では緩んじゃうんですよね。検索して知った作家さんですけど、このシリーズは読んでみたいかも」
ジャーナリストとしても活躍し、政治や戦争物を多く手掛けている中では異彩を放つ小説だが、作者のこだわりの賜物であることが伺われる。
「だな」
堂上は同意すると、ポンと郁の頭に手を置いてから業務に戻った。


次の公休には元々映画を観る約束をしていた。アクション満載の映画で、特にカーチェイスがかっこいいと話題になっていた。上映まで時間があったので先に早めのランチを済ませるプランだ。
しかし昼前だというのに目当ての店の前には既に長い行列が出来ていた。
「うわ、これは時間かかりそうですね。並んでたら映画の時間に遅れちゃいそう」
郁が調べてきたというこのレストランは焼きたてパンが有名で、店外まで小麦が焼ける甘く香ばしい匂いが漂ってくる。
「食べたかったのにぃ・・・他のお店を探します?」
「そうだな、行きたいところがあるんだが、そこでいいか」
堂上は繋いでいた郁の手を引いて、くるりと方向を変えた。


「あ、ここ・・・」
別のビルの高層階。漂ってくるのは甘い香り。
堂上は一度郁に見せたことのあるチケットをポケットから取り出した。小牧から貰ったスイーツバイキングの優待券だ。
「来たかったんだろ?」
「はい!あ、でも教官は・・・」
「あっさりしたやつなら好きだって言ったろが」
初めて一緒にお茶した時もケーキセットを注文していた。チーズスフレを食べる堂上は意外だったが、嫌いではないことは知っている。
「でも・・・」
ここはスイーツばかりで、食後に付き合って貰うデザート一つとは訳が違う。しかもこういった会場は女性グループが大半を占めるのだ。勿論話があった時は二人で来たいと強く思ったが、堂上にとって苦手な場であろうことはすぐに想像出来た。だから強請るようなことは出来ないと諦めていたのだ。
「読めば食べたくなるし、作りたくもなる」
堂上の言葉に、下を向いていた郁が顔を上げた。
「もしかして」
「読んだ。今は甘い物が食べたくて仕方がない。入るぞ」
先日郁が利用者にレファレンスした雑誌をそのまま借りたのだという。
優待券は効力を発揮し、待ち時間も短く、更に良席を案内された。
チケットにある写真通りにスイーツが並んでいる。
「わぁー、美味しそう」
その煌びやかに飾られたスイーツ達を前にして笑顔が弾ける。遠慮が先に立つ郁が素直に喜ぶ姿を見て、堂上の心も軽くなった。ランチにありつけないと残念そうに丸めた郁の背中が、先日誘い損ねた後の姿と重なったのだ。もう同じ轍は踏まない、この笑顔を見ていたいのだから。

お皿の上にはパティシエ自慢のスイーツが並ぶ。想像と違ったのは甘いだけのデザートばかりではないということ。堂上も十分楽しめる内容だ。
「幸せ〜」
一口大のケーキを次々と頬張る郁を見ていると、高かったハードルなんて思い込みで何でもないものだったんだと知り得た。
「お前のレファレンスは俺にも効果あったな」


スイーツバイキングには甘いカップルが良く似合う。


17:03  |  図書戦  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2018年07月02日(月) 08:25 |  | コメント編集

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2018年07月31日(火) 22:27 |  | コメント編集

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

 | BLOGTOP |