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2012'12.12 (Wed)

「鬼がいなくても」

ちょっと間が空いてしまった英香です。
昨日・今日と近所の役員活動で こちらに来られませんでした。危うく2日空けちゃうところでした。滑り込みセーフですかね。
実は地道に稼いで頂いたカウンターが近いうちに1万打。嬉しいなあ、とにへにへしております。有り難うございます!。
取り敢えず更新しておきます。恋人期でオリキャラ出ます。
(漢字チェックしてないので後でこそっと直すかも。)

↓こちらから どうぞ

【More】

「鬼がいなくても」


日報に向かう。チラリと壁にかかっている時計を見る。
日報に向かう。パチンと携帯のフラップを開けて、閉じる。
日報に向かう。ドアをじっと見る。見る。見る……。
「か、笠原さん。」
小牧がククッと喉をならして笑う。
「そんな念力かけたって 残念ながら堂上はまだ帰って来ないよ。」
はっと 我に返った郁は、真っ赤になって肩を竦める。
「いえ、別に…。」
慌てて日報に取り掛かった。

堂上が1週間の出張から帰って来る。何事もなければ今日の業務時間内に戻ると あらかじめ聞いていたのだが、途中事故で電車が遅れていると連絡が入ったのだ。

出張が堂上班の公休翌日であった為、ゆっくり別れは惜しんでおいた。デートしてホテルで2人の時間を過ごした後に、駅の改札で見送った。
かえってそれがいけなかったのかな。1人で帰寮する足取りは重かった。

日報を小牧に提出し 判を押して貰う。「堂上」とない日報は寂しげにファイルに綴じられた。
「心配しなくても 今日中には戻るよ。足止めくってる堂上も 今ごろヤキモキしてるだろうね。」
もう帰って 寮で待ってるといいよと郁を促して、小牧も帰り支度をして事務室を出ていった。
郁も主のいない机を見やってから帰る事にした。

寮の玄関に足を踏み入れようとして 踵を返す。郁はそのまま通用門に向かった。そこへ後ろから声を掛けられた。
「笠原。」
振り向くと見知った顔。防衛部に所属している同期の伊藤という男だった。同期会では大抵中心となって纏めてくれている。
「帰らないで 出かけるのか?。今日は堂上二正と一緒じゃないのか。」
「あ、うん。教官は出張中。ちょっとコンビニまでって思って。」
ふーん と頷く伊藤は 丁度小牧くらいの体格で、色が黒くて人懐っこい笑顔が特徴の男だ。
「俺も出かけるからさ、そこまで一緒に行こうぜ。」
郁の隣に並び 断る間もなく歩きだす。
お互い気さくなもの同士、他愛ない話をしながら歩を進める。
「なあ 笠原、二正がいないなら これから呑みにいかないか?。1度ゆっくり話してみたかったんだ。」
コンビニに着く手前で伊藤が立ち止まって言った。
「へ?。なんだ 飲み会に行くところだったんだ。」
「いや、違うけど…前からチャンスがあればって思ってた。――個人的にさ。」
バリバリと頭を掻いて いつもの笑顔を見せる。
「あたし、お酒飲めないの知ってるじゃん。」
「ちゃんと送るよ。どうせ寮は一緒なんだし。それとも堂上二正が恐い?。」
「どういう意味?。」
「どうって、二正 結構独占欲強そうだし、笠原 自由に遊べてないだろ。いない時くらい 羽を伸ばしても罰は当たんないと思うぜ。」
伊藤は強引に郁の腕を取った。
「ちょっ、余計なお世話だよ。別に独占されてないし、羽なんて伸ばす必要ない。」
腕を外そうとするも 相手も素人ではなく、引き摺られそうになる。
「上官だからって遠慮してたら ホントの恋愛なんて出来ないさ。俺と付き合ってみないか?。」
「はあ?。何言ってんのよ。遠慮なんてしてないってば。」
腹が立った。投げ飛ばしてやろうかと 掴まれた腕を引いて体勢を整えた。

「その手を離せ。」
低く 鋭い声が響いた。
「ど、堂上二正…。」
伊藤は郁の腕を開放した。
そこには駅から走って来たのであろう、軽く息をあげている堂上が立っていた。
「教官!」
郁が駆け寄ろうとしたのを 伊藤が割って入ると、キッと堂上を見据える。
「堂上二正、笠原を開放して下さい。」
「……どういう事だ?。」
堂上は射るような目付きで伊藤の視線を受ける。
「上官権限で笠原を縛るのは止めてくださいって事です。俺は笠原に交際を申し込みます。」
郁は目を丸くする。
「ちょっ、突然何言いだすのよ!。大体さっきから聞いてると、あたしが無理やり教官に付き合わされてるみたいじゃない。有り得ないから!。」
逆なら有り得るけどというセリフには 堂上から指導が入った。
「そいつが申し込みを受けるとは思えんが、もしそうであっても 俺は渡すつもりはないな。」
「凄い自信ですね。笠原の本心は――。」
郁は伊藤を追い越し 堂上に突進した。
飛び付いて来るかと身構えた堂上に 郁は襟首を掴んで押し付ける様にキスをして、直ぐに堂上の肩に顔を埋め ギュッと縋る。
「これが本心のようだが?」
堂上は郁を抱きしめて 伊藤に言い放つ。
「失せろ。」
唇を噛んで固い表情をしていた伊藤は、大きく息を吐いて破顔する。
「ちぇっ、鬼の居ぬ間にと思ったのにな。寂しそうだったから 付け入る隙があるってね……残念。」
じゃ 1人で飲むか、と 去って行った。

顔を伏せたままの郁の耳元に 堂上は囁くように「ただいま。」と言ってキスを落とす。
「お帰りなさい。」
漸く顔をあげて 堂上と向き合った郁は、笑顔で迎えた。
「見つけた時は 肝を冷やしたぞ。」
「……ごめんなさい。」
「熱烈な出迎えして貰ったからな。ま、ヨシとするか。おまえ あのまま投げにいくつもりだっただろ。」
「う、無理そうでしたか?」
「いや、あいつが怪我しそうだったから止めてやったんだ。」
しれっと答えてから路地に引き込む。
「――間に合ってよかった。」


1週間ぶりの会話は甘すぎなくても、1週間分のキスは長く深く そして熱く―。
23:24  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年07月23日(火) 13:44 |  | コメント編集

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 | 2014年08月24日(日) 15:19 |  | コメント編集

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